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あのころの思い出を胸に今日も生きていく【Book】  1月25日16時29分

今年は2度目の年女を迎え、歳を重ねるにつれて過去のことを思い返すことが多くなった。あのころ出会って今も会っている友達がいれば、あのころだけ仲良くしていて今は会わないけれど、あの一瞬が大切な思い出になっている友達もたくさんいる。

本書は女性作家6人が女子高生をテーマに“あのころ”を描く青春アンソロジーだ。あのころ抱いた淡い気持ち、嫉妬や憧れが混ざった複雑な気持ち、女子高生ならではの繊細な心を美しく描き出している。

■窪 美澄「リーメンビューゲル」
美術の時間を通して仲良くなったハルカと透子を巡る出来事を描く。両親の離婚に悲しくなったり、お互いの秘密を話したりする姿を見ていると、あのころは様々な悩みがあったことを思い出す。

■瀧羽 麻子「ぱりぱり」
いわゆる“普通”じゃない姉と“普通”の妹の交流を描く。子供の頃は「こんな姉、いなければ良いのに」とまで思った姉を今は愛おしく感じられるのは、オトナになったからなのだろう。お互いの愛情を感じられるやさしい物語だ。
私も幼い頃は妹と喧嘩ばかりしていたが、いつの間にかしなくなっていた。大人になった今では、あのころの諍いも笑えるほど些細なものだ。

■吉野 万理子「約束は今も届かなくて」
主人公は、波佐間さんと交わした約束を二度と果たせないことに悲しみを覚える。これは作者自身の実話のようだ。この波佐間さんのように、一度も同じクラスになったことがないのに、何度か言葉を交わしただけなのに、後になって強く印象に残っている友達っているんだよなぁ。そのうえ自分も同じ理由で約束を果たせなかった友達がいるので、共感した。

■加藤 千恵「耳の中の水」
仲良しな友達同士の恋、失恋や浮気を通して変わっていく女心や友情を描く。友達に彼氏ができたら嬉しい反面、寂しくて素直に祝福できなかったりすることもある。ピュアで傷つきやすい女子高生のもやもやとした感情が見事に表れている作品といえる。

■彩瀬 まる「傘下の花」
東京から転校してきた慧子と八千代の恋に似た友情模様を描く。母親が新しい恋人を連れてきてショックを受けたり、八千代がカフェのオーナーとキスしていたという噂を聞いて嫉妬したり。こういった揺れ動く様々な感情が今では懐かしく感じる。そして、美しくみずみずしい描写も見所だ。

■柚木 麻子「終わりを待つ季節」
女子校を舞台にミスター八女の真澄と彼女に憧れる琴子、仲良くなった二人の交流を描く。女子校で男っぽい女の子にきゅんとする気持ち、女子校の私には共感できてしまう。でも実はイケメン女子にも悩みがあったりするのだ。作者本人も女子校にいただけあって、やはり彼女の女子校物語は非常にリアルに感じられる(以前紹介した『王妃の帰還』もまた、女子校を舞台にした彼女の作品である)。

私たち大人も確かに過ごした“あのころ”。いろいろ悩んだりしたこともあったが、それらはすべて今につながっている。あのころ悩んでいたことが、今では大したことないことに思えるのは、自分が成長した証だと思う。楽しかったことも辛かったことも、あのころの思い出を胸に今日も生きていく。

(フィスコ 情報配信部 編集 細川 姫花)

『あのころの、』(実業之日本社文庫)  窪美澄・瀧羽麻子・吉野万理子・加藤千恵・彩瀬まる・柚木麻子 著 本体価格552円+税 実業之日本社




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