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全豪オープン男子決勝 —膝をつき雄叫びを上げる、その男の生き様に迫る【Book】  1月28日15時14分

明日仕事だ…なんて思いながら日曜日の夜を過ごすサラリーマンたちよ。朝早いから、できるだけはやく寝たいよね。私も例にもれず、そう考えている。
でも、見ちゃうんだ。時刻は0時40分。おもむろにテレビをつけて切り替えたチャンネルNHKが映し出すのはそう、全豪オープン男子決勝戦「ジョコビッチ×ナダル」の一戦だ。
WOWOWで観られない関係で、この日はSNSの情報を全て絶っての放送待機。幾度となく、テニスファンを魅了してきた両雄の激突をまえに、賃貸1R暮らしの部屋は熱気ムンムンだ。

試合前の通路内でジャンプをするナダルは闘志むき出し。対するジョコビッチはいたって冷静に、前だけを見てコート入場のその時を待つ。
彼らの対戦成績は27勝25敗のジョコビッチ優位で、今回のサーフェス(ハードコート)に限った戦績でいえばジョコビッチの5連勝中。
しかしナダルも今大会、一度もセットを落とさずに勝ち進む絶好調をキープしていた。どちらに転ぶかわからない拮抗状態、緊張が高まる…。

しかし、それを裏切るかのように、試合は序盤から大きく動いた。
畳み掛けたのはジョコビッチだ。第1セットの第1ゲームを難なくキープしたかと思ったら、次のナダルのサービスゲームをあっさりブレイク。そのまま第1セット、第2セットともに危なげなく取って優勝に王手をかけた。

とにかく、ジョコビッチの攻めがはやすぎる。すべてのショットの打点が高く、終始ナダルに攻める隙をつくらせない展開だった。
チャンスがあればコート内に入って厳しいコースに正確なショットを叩き込む。ナダルを後ろに釘付けにしたと思ったらドロップショットで前後に揺さぶる。美しいと言わざるを得ないスーパーショットの数々に、深夜2時にも関わらずずっと唸りっぱなしだ。

捨て身で攻めているかと言われれば、まったくそんなことはない。むしろ全く綻びのないディフェンス能力に、観ている誰もが息を呑んだ。

ナダルは左利きを活かした鋭いサーブと、高く弾むフォアハンドで相手のミスを誘うテニスを得意としている。しかし、ジョコビッチは相手ストロークの角度よりも更に鋭角に切り込んでいくショットを連発。まさに“倍返し”といった状況だ。
どこに打っても返ってくるんじゃないか…そんなことまで考えてしまうプレーは完成されていた。
青いウェアを纏った彼は、壁そのもの。青い壁。パンツは白いから、『半分、青い』壁。

完璧な試合運びでブレイクを許さず、大会単独最多7度目の優勝を飾ったジョコビッチ。「彼のプレーは信じられない」とナダルに言わしめたプレーは、結果にふさわしい圧倒的な内容だった。

だが、ジョコビッチとて今までずっと順風満帆だったわけではない。2017年に肘の手術を行い、半年間の療養期間があったことは記憶に新しい。そして復帰後の2018年全豪オープンでは完治が叶わず、4回戦敗退。苦汁を飲むこととなった。

遡れば生まれたときから努力の人生だ。セルビアのスキーリゾートでピザ屋を営む両親の元で育った彼は4歳からテニスを始めたが、11歳で空爆を経験。絶えず練習を繰り返してプロ転向するも、2013年には幼少期のコーチであったエレナ・ゲンチッチさんの訃報が届いた。テニス界のスーパースターも、こうした歴史なしでは語れない側面が見え隠れする。

このようなジョコビッチの内面を垣間見ることができるのが『ノバク・ジョコビッチ伝』だ。
「ノバクはテニスに対してはとことん真剣だ」と語る本書は、生まれてからチャンピオンになるまでの葛藤が深く刻まれている。

212pで「2人(フェデラーとナダル)を尊敬しすぎていたんだ」と語るジョコビッチが書かれている。その心理的な壁をどのように乗り越え、今大会のような鋼鉄のメンタルを保つことができたのか…その生き様が描かれている。これは「今」読むべき一冊だ。

(実業之日本社 編集本部 鏡 悠斗)

『ノバク・ジョコビッチ伝』クリス・バウワース 著 本体価格1900円+税 実業之日本社




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