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かなしみ(泣)の裏に潜むもの…インスタグラムの人気イラスト作品集【Book】  2月20日17時42分

~的確な言葉が見つからない独特の世界観~

いきなりだが、今回ご紹介する『ケイゴ式』は、Keigoという人物がインスタグラムで発表して大人気となった1コマイラスト作品を本にまとめたもの。
ただ、なんと表現したらよいのか。言葉を探すのが非常にむずかしい作品だ。

本のオビのキャッチコピーを見てみる。
「じわじわくる笑いはくせになる」
「シュール、ヘタウマなどいろんな表現が浮かぶが、どれも該当しないような気がする不思議なイラスト......」
ウェブ上でも「シュール」「ジワる」「癖になる」などの言葉が多く見られる。でもひと言でこれ!という的確な言葉が見つからない。それがKeigo氏の作品の持ち味なのだろう。

収録された作品には、多彩なキャラが繰り返し登場する。中でも登場回数の多いキャラがいて、
ワニくん、キリンくん、ウサギくん ゾウくんあたり。なぜか動物が多い。
そしてネタのモチーフはどれもその動物の身体的特徴を使ったものだ。
ワニは口が長い
キリンは首が長い
ウサギは耳が長い
ゾウは鼻が長い

幼稚園児かっ!
...と思わずツッコミを入れたくなるほどの、なんという単純極まりない着眼点。あまりにベタすぎる。赤ちゃんでもわかること。
でもあえてそれを使って笑いに転化するそのクリエイティビティ!
たとえば、
・ワニくんは口が長いので、ボクシングでどうしてもパンチが届かない(泣)
・キリンくんは首が長いので、レインコートのフードがかぶれずびしょ濡れになる(泣)

そうなのだ。Keigo氏の作品を言い表すとしたらこの2つの文章の末尾に付けた文字(泣)
なのではないか。そしてこの(泣)よりももっと的確に表している文字がある。
それは、SNSなどで使われる「絵文字」の「泣いている顔」だ(←使用できないためご覧いただけないのが無念..(泣)。
この絵文字の一連の顔は「スマイリー」という名前で通っているキャラクターで、日本だと「ニコちゃんマーク」などと言われている。その名前通り、涙を流しているのに、なんだか笑ってもいるようにも見える不思議な表情なのだ。
まさにKeigo氏の作品はこれではないか!
かなしいこと。でも悪いけどちょっと笑っちゃう。そこには密かな滑稽さと、さらには自虐も潜んでいて。そんな気がする。

~みんな背負っている、生まれの性(さが)~

本書で、自分がいちばん好きなキャラ(の作品群)は「棒磁石のふたり」だ。
N極同士・S極同士は決してくっつくことができない。
これまた幼稚園児でも知っている磁石の特性をモチーフにしている。とことんベタだ。
1つだけ挙げると、陸上競技のリレーを描いたもの。
バトンを渡そうとしてもN極同士が反発するので、決してバトンパスができない(泣)。

近づけば近づくほど離れていく
あなたのぬくもりを一度でいいから感じたい
でも永遠に触れることさえできないふたり
決してかなうことのない
これがこの世のさだめ
生まれの性(さが)
あゝ無情......

棒磁石のふたりも、ワニくんもキリンくんも
本書に登場するキャラクターはみんな背負っている
どうすることもできないさだめ
#かなしみ
だけど滑稽でもあり。人生の悲哀。
幼稚園児並みのベタなネタを、人生の笑いと涙に転化させてしまうKeigoワールド。なんだか深いなと思ってしまった。

~(おまけ)インスタグラムで見られるなら、本は読まなくてもいいかな?~

はいそう思ったみなさま。本書についてはそうとも言えない。理由は2つ。

1)各作品にハッシュタグ風に、言葉が追加されている。
これが効果的で、おもしろさを変化させたり、倍増させていたり新たな機能も果たしている。インスタグラムにこれはない。

2)作品の並べ方の妙
ページの並べ方にも意図がある。ページの順番に読んでいくと、関係ない作品がシリーズのようにおかれていて、連作のようになっていたりする。そして上に書いた、ハッシュタグ風のコメントがここでも相乗効果を発揮し、おかしさが静かにエコーしてくる。

本書はただインスタグラムから集めて詰め込んだだけではない。作品の魅力をさらに引き出してくれている。だから本を読んだ人はインスタグラムだけを見た人より、Keigoワールドをまた違う味わいで楽しめると思う。

(実業之日本社 編集本部 岡田大和)

『ケイゴ式』Keigo 著 1300円+税 実業之日本社




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