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アドバネクス Research Memo(5):EV化により1台当たりの販売金額は従来車の1.25倍へ  7月17日15時55分

■事業戦略

(3) 自動車用部品おける同社の領域
アドバネクス<5998>は、「エリア」「顧客」「領域」「加工技術、製品」の4つの軸をそれぞれ伸ばし、事業の“面積”を拡大する事業戦略を取っている。自動車市場では、同社の強みが発揮でき、難度と品質厳格度の高い分野に参入領域を拡大してきた。

同社の自動車向けの領域は、2000年の参入当初、オプション系のカーナビなどのカーエレクトロ二クスやアンテナに領域が限定されていた。エリアは、日本とタイであった。2005年以降に計器とインテリア、2010年からはパワートレイン、そして2015年以後は安全・制御系(先進運転支援システム=ADAS:advanced driver assistance system)、HV・EV、自動運転へと広げている。

自動車の駆動方式で見た同社製品の潜在需要は、従来の内燃機関(Internal Combustion Engine:ICE)車よりもHV、さらにEVの方が1台当たり大きくなる。ICE車向けの同社製品搭載量を100とすると、HVで120、EVでは125に拡大すると推定している。ICE車が必要とするエンジン、ラジエーター、クランクシャフト、フレーム、サスペンション、シート、ボディなどは、同社の事業領域に入らない。一方、安全・制御系のADASなどはICE車、HV、EVに共通するため、同社にとっていずれの駆動方式でも需要がある。ICE車向けは線ばねなどシンプルな製品が多いが、EV向けの製品はフォーミングとインサートモールドなど複数の加工技術を用いるものも多くなるため付加価値が高くなる。

日本政府は、次世代自動車の普及拡大を自動車産業政策の重要課題と位置付け、「日本再興戦略改訂2015」において、「2030年までに新車販売に占める次世代自動車の割合を5から7割とすることを目指す」としている。特に、EV・PHVは、CO2削減効果が高く、災害時に非常電源として使えるため普及に力を入れている。経済産業省の「自動車産業戦略2014」によると、従来(ICE)車の新車販売に占める割合が2016年の65.2%から2030年では30~50%へ低下し、ハイブリッド車は約30%から30~40%へ、EV・PHVの割合が1%未満から20~30%に拡大する目標となっている。

3. 戦略製品と重点分野
(1) 「インサートカラー」
「インサートカラー」は、プラスチック部品締結部の補強部品である。自動車は、世界的に燃費規制が強化されるなか、車体軽量化のためプラスチック部品の使用が増加する傾向にある。プラスチック部品をボルトで固定する際に用いる金属製補強金具であるインサートカラーは、車1台当たり数百個が使用される。インサートカラーは、自動車部品専用の埼玉工場の主力戦略製品となる。

(2) 医療機器用部品
同社の2019年3月期の医療市場向け売上高は1,847百万円、売上高構成比は8.8%と3番目に位置する。医療機器向けは、グローバルニッチトップ企業を目指す同社に適した市場になる。世界人口の増加、全世界の医療費支出の増加を背景に、安定的な市場拡大が期待される。市場のトレンドとして、セルフケアの進展によりディスポーザブル器具の需要増加が見込める。モデルチェンジが少なく、長いライフサイクルと高収益が商品特性になる。一方、ネガティブ要素としては、開発・試作コスト、長い試験期間、行政の許認可、企画中止のリスクが挙げられる。それらが高い参入障壁となっており、クリアできれば、安定的かつ高収益を享受できる。

(3) 規格品
幅広い用途と大きな需要が見込める規格品の販売にも注力している。規格品の主力製品は、アルミなど軟らかい母材のねじ穴補強部品「タングレス・インサート」、ボルト・ナット脱落防止部品「ロックワン」である。同社の技術的優位性を生かして開発されており、従来製品に対しコストパフォーマンスや作業効率に優れ、他社にまねされにくい。

a) 母材のねじ穴補強部品「タングレス・インサート」
「タングレス・インサート」は、アルミなどの軟らかい母材のねじ締結部分を補強する部品である。航空機では、アルミニウムなどの軽量母材がねじ穴の補強を必要とし、1機当たり数十万個が使用される。タングレス・インサートは作業性が従来品に比べ格段に良いことなどから、従来品より高い値付けがされている。しかし、材料の投入量や製造工程数が従来品と比べて多いわけでなく、収益性が高い。同製品は、年率10%程度の成長が見込まれる。

b) ボルト・ナット脱落防止部品「ロックワン」
住設・インフラ分野で期待されているのは、ボルト・ナットの脱落防止スプリング「ロックワン」である。ターゲットとする市場は、鉄道、マンションなどの建築物、高速道路、電力などである。いずれも認証手続きを踏まえなければならず、導入されるまでに時間を要する。地下鉄での導入は既に始まっており、また、日本建築センターの評定書を取得(2017年10月)したことから建築物への採用も進んでいる。販路に関しては、各市場の専門商社を活用することになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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