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プラザクリエ Research Memo(5):自社大型工場の稼働も軌道に乗り、サービス・メニューの拡充が本格化  8月08日15時35分

■中長期の成長戦略と進捗状況

3. オンライン事業
オンライン事業は、デジタルプリントの自社大型工場が稼働したことを受けて、2019年3月期から本格的にスタートした。商材はフォトブック(2018年4月)、Tシャツ(2018年6月)、ソフトバンクとの協業による「Myフォト」サービス(2018年12月)と、順次拡大してきている。

2020年3月期に入ってからは、5月にチーム(職場、サークルなど)でおそろいのオリジナルアイテムを作成するオリジナルブランド「WeTy」をリリースした。また6月には(株)サンリオの「ちゃんりおメーカー」で自作したキャラクターを商品化できる『ちゃんりおグッズストア』を全面リニューアルした。これらは自社大型工場の稼働によってプリント可能な商材やキャパシティが増加したことに伴うものだ。

今後については、プラザクリエイト本社<7502>のオンライン事業の特色を活かしたマーケティングを通じて売上増加を図る方針だ。具体的には、店舗(パレットプラザ)とのいわゆるオムニチャネル戦略だ。スマートフォンやPCからの受発注は言うまでもないが、それに加えてパレットプラザ店頭からの受発注にも注力する方針だ。これをきちんと機能させるために、店頭でのオンライン発注を店舗自体が促進するようなインセンティブの仕組みを導入済みだ。顧客の側からすれば、店頭での相談や実物の確認をへて注文できる安心感があり、店舗側は来店した“ついで買い”需要が見込めるなど、win-win関係の構築が期待される。

商材・サービスの拡充は今後も継続的に実施される見込みで、どのようなスピードで成長するか見守りたい。


DIYキット『つくるんです®』シリーズが大ヒット中。
法人ビジネスと合わせた外部への卸売事業が存在感のある規模へと成長
4. 商品・法人事業
同社は2018年秋に、『つくるんです®』の第1弾としてミニチュアハウスやペーパークラフト、ウッドパズルなどのDIYキットを発売した。これはロボタイム(本社・中国蘇州)が全世界で販売するクラフトキットについて、日本国内の独占販売契約を結んで同社が販売したものだ。

現状は東急ハンズ、丸善、ビバホーム、紀伊国屋書店などを始め、全国の書店、玩具店等を通じて販売するほか、パレットプラザ店舗でも小売りを行ってる。これが同社の想定を超えるヒットとなっており、同社の卸売上高の規模は初年度(2019年3月期)においてオンライン事業に匹敵するレベルに成長したとみられる。

ロボタイムのラインアップは幅広く今後も新商材の投入を続けるほか、「ちゃんりお」や「ハローキティ」とミニチュアハウスのコラボ商品などのオリジナル企画にも注力し、一段の拡販を狙う考えだ。

同社は法人事業として証明写真BOXや社員証、会員証などのICカードプリンターなどの卸売を展開してきたが、これらと『つくるんです®』は、サードパーティ(外部事業者)への御売という点で共通している。これら法人ビジネスと商品ビジネスを統合して“外部卸売部門”として見た場合の事業規模は、オンライン事業同様、存在感のある規模に達しており、今後は決して軽視できないビジネスラインと言える。


上場企業の強みとキャリアからの強い信頼により、店舗数拡大による急成長ステージに。一方で法改正の影響で不透明感が高まっている状況
5. モバイル事業
モバイル事業については、前述のように、同社の上場企業としての経営力や財務基盤が評価されて追い風が吹いている。背景には事業環境が厳しさを増すなかで、代理店の強化に向けた代理店政策の変更がある。端的に言えば、同社はキャリア(ソフトバンク)から“選ばれた”存在になったということだ。

こうした流れを受けて2019年3月期はソフトバンクショップ主体に16店舗を新規出店した。一方でワイモバイルショップを中心に14店舗を退店したため純増2店舗となったが、ワイモバイルショップからソフトバンクショップへの切り替えが大きく進捗した。

この流れは2020年3月期に入っても続いており、2019年5月の時点で6店舗の新規出店(内容は商流変更、すなわち他業者からの店舗譲受)が決定している。同社は通期の新規出店数は15~20店舗に達する可能性があるとの見方を示している。一方で今期は、楽天による新規参入に備えて退店数が少なくなる可能性がある。各キャリアの店舗展開は言わば陣取りゲームであり、不用意に出店用地と商圏を明け渡すことを避ける狙いがあるとみられる。

仮にこうした見方が正しければ、前期同様、店舗数の増加に伴い売上高の大幅増収が期待できるところだが、今期はそこの見方が非常に難しくなっている。理由は改正電気通信事業法が2019年秋から施行され、端末代金と通信料金が分離される(いわゆるセット割引の禁止)ことだ。これの影響としては、高単価のハイエンドスマホから中低価格帯スマホへと需要シフトが起こることが予想される。代理店から見れば販売単価の大幅下落となる。また、解約に伴う違約金の上限を1,000円にする省令改正案が総務省のモバイル研究会で議論されている。これもまたキャリアの収益モデルに大きな影響を与えると想定されている。

このように、同社のモバイル事業は、対キャリアでは信頼感と存在感の高まりで事業拡大の追い風状態にあるものの、国の制度変更という点では渦巻いた暴風が吹き荒れており、場合によっては向かい風をまともに食らうこともあり得る状況だ。それゆえ同社自身も、2020年3月期については、店舗数増大は織り込みながらも、モバイル事業の収益については慎重にみながら、事態の推移を見守る方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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