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米失業率は50年ぶりの低水準に【フィスコ・コラム】 10月13日09時00分

アメリカの雇用情勢の底堅さが目立っています。米中貿易戦争で世界的な景気減速懸念が強まるなか、直近の失業率は実に50年ぶりの低水準となり市場を驚かせました。足元のインフレ指標は低調ながら、目先の個人消費の伸びを予感させる材料となりそうです。


米9月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+13.6万人(予想+14.8万人、8月16.8万人=修正後=)、平均時給は前年比+2.9%(予想+3.2%、8月+3.2%)と、市場の想定を下回りました。雇用者数と賃金の伸びの鈍化でインフレ上昇期待は低下。半面、失業率は3.5%(予想3.7%)と1969年12月以来、50年ぶりの水準に改善しています。それを手がかりにドル買いへ振れる場面もありました。


失業率の推移をみると、今年4月と5月に3.6%へ低下した後、6月に3.7%へいったん上昇。8月まで3カ月連続で同じ水準となり、雇用の改善はピークアウトしたかにみえました。足元では製造業だけでなく非製造業の指標から息切れ感が顕著になってきたため、連邦準備理事会(FRB)が10月29-30日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測が再燃しています。


失業率の3.5%への低下は一時的だとしても、雇用関連指標が遅行指数であることを考えるとアメリカ経済の拡大はまだ続いているとの見方もできそうです。また、広義の失業を示すU6失業率は、7月に2000年のITバブル期以来の低水準に低下して以来、改善基調を維持しており、今回は19年ぶりに節目の7.0%を割り込みました。正規雇用を目指す非正規雇用者も減少しているという意味です。


パウエルFRB議長は今年7月の議会証言で、失業率とインフレ率の関連性は今後もますます弱まるとし、緩和余地を強調しています。確かに賃金の推移をみると、前年比ベースでは伸びが抑制され、失業率の低下が必ずしもインフレ上昇につながっていないようにも思われます。ただ、安定した暮らしが個人消費を中長期的に押し上げるため好材料には違いありません。

ところで、50年前のアメリカ経済とはどのような状況だったのでしょうか。人口が2億人を超えたばかりで、国内総生産(GDP)が1兆ドルあまりでした。1960年代半ばごろまで経済は比較的安定していましたが、60年代終盤になると所得格差が拡大し始め、インフレは急騰。ニクソン政権の下、経済が減速する過程で失業率は3.5%に「上昇」したと考えられます。

当時、一部の資本家による金融支配を告発した本が出版されていますが、約40年後の金融危機の萌芽と言えるかもしれません。ちなみに1969年はアポロ11号の人類初の月面有人着陸や40万人の聴衆を集めたロックフェス「ウッドストック」などの年としても記憶されています。泥沼化したベトナム戦争も見逃せません。翻って、出口の見えない現在の米中貿易戦争の影響はどのような影響を与えるでしょうか。

(吉池 威)

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。




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