株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

ナノキャリア Research Memo(2):創薬バイオベンチャーとして着実に進化・成長(1)  2月03日15時02分

■会社概要

1. 会社沿革
ナノキャリア<4571>は、東京大学 片岡一則(かたおかかずのり)特任教授、東京女子医科大学 岡野光夫(おかのてるお)特任教授らにより発明された「ミセル化ナノ粒子技術」をDDS※製剤に応用し事業化する目的で、1996年に前社長である中冨一郎氏とともに設立されたベンチャー企業である。当時を知る創業メンバーの話では、DDSのメッカである米国ユタ州で片岡、岡野、中冨の3氏が知り合い意気投合、ミセル化ナノ粒子技術を世界に向けて日本から発信するため新会社を設立することとなった。すなわち、3氏がファウンダー(創業者)ということになる。

※DDS:ドラッグデリバリーシステム(drug delivery system)とは、体内での薬物分布を制御することで、薬物の効果を最大限に高め、副作用を最小限に抑えることを目的とした技術を指す。


同社は東京女子医科大学や東京大学の研究者によるミセル化ナノ粒子の技術移管や基本特許のライセンス契約を基に、日油<4403>とのポリマー供給契約、日本化薬<4272>とのパクリタキセルミセルの共同開発及びライセンス契約を締結してきた。また、自社での臨床開発も進め、パイプラインの創出を行ってきた。同社は2008年3月東証マザースへの株式上場を果たしたが、同年9月のリーマンショックにより、同社の株価も低迷する期間が続いた。リーマンショック前後は、日本では投資が著しく冷え込んだ時期でもあり、いずれのベンチャー企業もそうであったように、研究開発に必要な資金調達が困難であった。同社も上場時の調達資金が非常に低い水準となり、それまで行っていた欧州での開発を次ステージへ展開することが困難となり、開発戦略の変更を余儀なくされる。同社は、すぐにアジア展開に目を向け、台湾の製薬会社である Orient Europharma Co., Ltd.(以下OEP)とのアジア地域における NC-6004ライセンス契約(投資による資金調達など)を締結することができ、開発を着実に進めることにした。

バイオベンチャーは資金不足による開発延滞や中止などが懸念されるが、同社は2012年にウィズ・パートナーズ(株)からの資金調達および信越化学工業<4063>から第3者割当増資と材料製造技術に関する共同研究契約を締結し、2013年にはグローバルファインダー(主幹会社JPモルガン)がアレンジャーとなり欧米、アジアの機関投資家から約90億円の資金調達を行い、各パイプラインの開発を着実に推進することに成功している。当時、自社のプラットフォーム技術で創薬を行う数少ない企業として、パイプラインの開発戦略や創薬の裾野の広がり方が機関投資家に訴求しやすかったと言える。また、2012年iPS細胞の山中伸弥(やまなかしんや)先生がノーベル賞受賞によりバイオベンチャーブームが再燃したこともフォローの風が吹いた。

2013年の大型資金調達により、複数の臨床試験が進められるようになった。さらに、がん治療薬の研究や臨床開発経験者など幅広い人材を中途採用できるようになった。このころから、自社開発として欧米での臨床開発もスタートしている。また、併行してパイプラインの導入も進めている。2017年11月にイスラエルのVBLからライセンスインした遺伝子治療薬が、米国第III相臨床試験段階(プラチナ抵抗性卵巣がん)にある。これは、2020年3月期第4四半期にも中間解析が実施される予定で、国内開発に期待が寄せられている。また、不妊治療や耳鼻科領域における製品の導入も進めており、ミセル化ナノ粒子の実用化を中心としながらも、早期に経営基盤を安定化する目的としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)




<YM>

 Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »