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ビットコイン価格に影響する中国法規制、今後の方向性は【フィスコ・仮想通貨コラム】  3月09日11時26分

2020年3月現在、中国では仮想通貨取引は禁止されているが、中国による仮想通貨規制はこれまで幾度かビットコイン(BTC)価格に影響してきた。ここでは中国規制当局による仮想通貨規制の変遷と、BTC価格への影響をまとめる。

最初に、中国の仮想通貨への姿勢を振り返ってみよう。中国では2013年から現在まで一貫して仮想通貨の流通が抑制・禁止されている。規制当局の最初の動きは2013年で、「仮想通貨は法定通貨のような価値の根拠がないのでリスクが高く、通貨として流通させてはいけない」と公表して金融機関などの仮想通貨の取扱いを禁止した。17年9月には当局がすべての仮想通貨取引所に業務停止を要請し、9月14日から取引所が次々に閉鎖を発表するとBTC価格は1日で14%下落した。中国のビットコイン取引高は17年9月以前には世界最大だったが、現在の取引はゼロで、非公式な形で取引するトレーダーがどれくらい存在するかは不明である。

一方で当局はマイニング(仮想通貨の新規発行に必要な計算作業、報酬として仮想通貨を得ることが出来る)行為を禁止しておらず、今なお中国には複数のマイニング企業大手が存在する。また、ビットコインの基盤技術として誕生したブロックチェーン開発には意欲的だ。人民銀行はブロックチェーン技術を利用したデジタル人民元の実現に向けて動いており、昨年10月24日には習近平が「ブロックチェーン技術の推進に取り組むべき」と発言。この翌日、チャイナマネー流入の期待感からBTC価格は前日比15%上昇した。

しかし注意すべきは、当局は「仮想通貨の取引禁止」の方針を変更していないことだ。その証拠に習近平の発言後、当局は仮想通貨関連の取り締まりをむしろ強化した。11月には上海で仮想通貨関連事業の一斉検挙を目指す調査が実施され、20年1月には北京市地方金融監督管理局局長が「仮想通貨の存在を許さない」と発言している。あくまでブロックチェーン開発は「仮想通貨関連以外」の目的に限るということで、決して中国の投資家が公に仮想通貨を取引できる環境に近づいたわけではない。

中国が仮想通貨に対して態度を軟化させたという誤解を招く要因のひとつは、2020年1月1日からブロックチェーン技術の法的な立ち位置などを取り込んだ暗号法が施行されたことであろう。しかし、この暗号法はあくまで暗号技術のひとつであるブロックチェーンを内包しているものであり、仮想通貨以外の用途でブロックチェーン開発に携わる企業にとってビジネスが進めやすくなるという以上のものではない。暗号法案が昨年10月26日に成立した直後、人民銀行が上海の仮想通貨事業の取り締まり強化を発表した際に、仮想通貨とブロックチェーン技術の違いを強調したことが象徴的だ。暗号法が施行された後も当局幹部が「仮想通貨の存在は許さない」と発言している。

17年9月以前、ビットコインの取引高の9割以上は中国の仮想通貨取引所における人民元建ての取引だった。当時から中国の取引所が公開していた出来高の数値の信憑性を問う声はあったし、いま現在に中国でネット制限の壁を越えて仮想通貨取引をしている人が皆無かどうかといった点には議論の余地があるが、もしも中国当局が仮想通貨取引の禁を解くことがあった場合に価格に与える影響は大きい。しかし、その可能性は依然として低いままだ。中国がブロックチェーン開発により注力したとしても、その目的が中央銀行によるデジタル人民元という中央集権型、徹底管理の志向である限り仮想通貨取引が再び自由になる可能性は非常に低いだろう。



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