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シンバイオ製薬 Research Memo(1):グローバル・スペシャリティファーマへの脱皮を目指す  4月03日15時11分

■要約

シンバイオ製薬<4582>は、患者数が少ないが医療ニーズの高い「がん、血液、希少疾病」領域をターゲットに、臨床試験段階からの開発を進めるバイオベンチャーである。主要開発パイプラインは悪性リンパ腫向け治療薬として適応拡大が進んでいる「トレアキシン(R)」や骨髄異形成症候群(MDS)向けに開発が進む「リゴセルチブ」のほか、2019年9月に抗ウイルス薬「ブリンシドフォビル(BCV)」が新たに加わった。「BCV」はグローバルライセンス契約となっており、国内だけなく海外での開発も今後進めていく方針で、グローバル・スペシャリティファーマへの脱皮を目指している。

1. 2021年12月期の黒字化に向けた準備が進む
2021年12月期の黒字化達成に向けたポイントとして同社は、「トレアキシン(R)」の自社販売体制構築、付加価値の高い液剤タイプ(RTD製剤)の販売開始、「トレアキシン(R)」の適応拡大の3つを主要ポイントとして掲げていたが、それぞれ順調に進捗している。エーザイ<4523>との販売契約が2020年12月に終了する「トレアキシン(R)」について、同社は2020年12月期第2四半期までに営業スタッフ、流通及び物流体制、販売システムなどのサプライチェーン機能の構築を完了し、契約終了後に迅速な販売を行える体制を構築する。また、RTD製剤については2019年9月に承認申請を完了し、順調に進めば2021年12月期第1四半期より販売が開始され、1年で既存の凍結乾燥注射剤タイプからの切り替えを進めていく。自社販売体制の構築とRTD製剤への切り替えによって、「トレアキシン(R)」の利益率は大きく向上することになる。また、「トレアキシン(R)」の適応拡大に関しては、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を対象とした承認申請を2020年12月期第2四半期に行う予定で、2021年12月期第3四半期頃の販売開始により、対象患者数の増加による「トレアキシン(R)」の更なる売上拡大が期待できる。これらが順調に進捗すれば、2021年12月期の売上高は9,008百万円、営業利益は1,031百万円となる見通しだ。

2. その他の開発パイプラインの動向
「リゴセルチブ」(注射剤)については、導入元のオンコノバ・セラピューティクス(以下、オンコノバ)(米)が実施する国際共同第3相臨床試験についてのトップライン(主要評価項目)データが2020年度下半期頃に発表される見通しとなっており、その結果をもとに欧米と同時期に同社も日本での承認申請を行う計画となっており、2023年の販売開始を目指す。また、2019年9月にキメリックス・インク(以下、キメリックス)(米)から導入した「BCV」は、DNAウイルスの増殖を大幅に抑制し、かつ高い安全性を持つことが特徴で、広範なDNAウイルス感染症の治療薬としての開発が期待されている。まずは、国内で造血幹細胞移植後に発症するウイルス性出血性膀胱炎(vHC)※を適応対象とした臨床試験を、2020年12月期下期に開始する考えだ。また、海外でも対象疾患の地域特性などを考慮しながら、パートナーシップ戦略なども視野に入れて事業を推進していく方針となっている。「BCV」は臓器移植後のウイルス感染症にも治療効果が期待されており、欧米だけでなく中国を始めとしたアジア市場も重要なターゲットとなり、潜在的なポテンシャルは極めて大きい。2020年12月期第3四半期までに海外市場における開発方針を決定する。なお、「BCV」については製造権も取得しており、現在、臨床試験に向けて製造委託先を選定している段階にある。

※ウイルス性出血性膀胱炎(vHC):造血幹細胞移植後に頻発するウイルス感染症の1つで、BKウイルスまたはアデノウイルスの増殖によって出血性膀胱炎となる。日本では同種造血幹細胞移植での発症率が8.6~24.0%となり、臍帯血移植ではさらに上昇するとの報告がなされている。一般に難治性であり、頻尿、腹痛、排尿痛、血尿などの症状が代表的で、軽症の出血性膀胱炎では無症状のことも多いが、重症化すると播種性の感染症を来して致死性となることもある。また、アデノウイルスが腎臓に移行して腎不全をもたらし致死となる例も報告されている。特に国内で比率が高い非血縁者ドナー及び臍帯血移植において発症しやすい。国内で承認薬がなく、根治療法がないため、個人輸入でシドフォビル(CDV)を使用している医師もいるが、腎毒性が強く効果も限定的なため、有効で安全な治療薬の開発が望まれている。


3. 業績動向
2019年12月期の業績は、売上高で前期比26.0%減の2,837百万円、営業損失で4,301百万円(前期は2,656百万円の損失)となった。「トレアキシン(R)」の販売が仕入先の品質問題により一時的にストップしたことが減収要因となっている。費用面では、「BCV」導入に伴う契約一時金約540百万円を計上したことや自社販売体制構築に向けた準備費用の計上などにより、販管費が前期比34.9%増の5,166百万円と増加し営業損失の拡大要因となった。2020年12月期の業績は、売上高で前期比20.0%増の3,404百万円、営業損失5,090百万円を見込む。品質問題の鎮静化による売上回復を見込む一方で、自社販売体制構築費用や研究開発費が増加するため、営業損失が継続する見通しとなっている。なお、ザ・メディシンズ・カンパニー(以下、メディシンズ)(米)に対してライセンス契約不履行により、賠償金82百万ドルの支払請求を行っていた米国ICC(国際商業会議所)での仲裁結果が、2020年3月−6月にも発表される見通しとなっているが、業績計画には織り込んでいない。

4. 中期経営計画
同社は中期経営計画の業績目標として、2022年12月期に売上高10,816百万円、営業利益1,482百万円を掲げ、営業利益率で持続的に10%以上を確保していくことを掲げた。目標を達成するために、2021年12月期の黒字化必達に加えて、「BCV」の国内外での事業展開、及び高い収益性と高品質化を実現するための製剤の自製化、などに取り組んでいく方針だ。

■Key Points
・2019年12月期は「トレアキシン(R)」の品質問題発生により減収、研究開発費及び自社営業体制構築のための準備費用が増加
・2021年12月期の黒字化達成と営業利益率10%以上を継続的に確保していくことを目標に掲げる
・BCVのグローバル展開が進めば売上成長ポテンシャルは一段と拡大

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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