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明日の株式相場戦略=原油暴落と北朝鮮リスクの狭間  4月21日17時51分

 きょう(21日)の東京株式市場は日経平均が388円安の1万9280円と下値模索が続いた。前週末に2万円大台復帰を視界に入れたかと思えば、きょうは1万9000円ラインを意識させる攻防と非常に目まぐるしい相場展開だ。新型コロナウイルスの感染拡大によって(厳密にはそれを封じ込める政策的行為によって)世界経済のメカニズムは狂った計器のように左右に振れまくっている。米国では感染者拡大ペースがピークを越えたとの見方もあり、株式市場でもアフターコロナをにらんだ選別物色の動きが静かに進み始めていたが、そうした合理を追求した投資マネーの動きを御破算にするようなインパクトで原油市況が大波乱の様相を呈した。

 WTI原油先物の期近5月物で史上初のマイナス圏に沈むという現象が起きた。終値ベースで前日比55ドル90セント安のマイナス37ドル63セントというのは、何かの間違いではないかと正直目を疑ってしまったが、現物を取り扱っているがゆえに理屈としては成り立つ。原油需要の低迷が続くなか新型コロナの影響による世界的な経済活動の停滞に対し、今の減産が到底追いつかないとの見方が、原油在庫が貯蔵能力を超えてしまうとの思惑を呼び、投げ売りではとどまらず、お金を払ってでもいいから引き取ってほしいという状況に陥った。原油が究極の粗大ごみと化し、捨てる場所に困るというのも漫画的な話ではあるが、事実として価格に反映されたわけだ。

 株価であれば当該企業が潰れても0円を下回るようなことはないだけに唖然とさせられるが、原油価格のマイナス圏突撃は虚を突く売り方の仕掛けとして成立した。これによって巨額の損失を被ったところが出る一方で、大幅な利ザヤを得たところもあることは容易に想像がつく。ただ、経済的にはマネーを委縮させる出来事には違いなく、株式市場においては保有株を大口でオーバーナイトすることがますます難しい地合いとなっている。まず、現実味を帯びている米国シェール企業の破綻リスクについては「シェール関連のジャンク債に占める比率は2割以下とみられ、FRBの資金供給も考慮してデフォルトリスクが株式市場に与える影響はそれほど大きくない」(国内ネット証券アナリスト)という指摘がある。しかし、原油にロングポジションをとるヘッジファンドの破綻となると、金融リスクにつながっていく懸念も拭えない。

 もっとも、売り方の立場としても動きにくい意味がある。少し前のブリッジウォーターの変調が伝わった株式市場で、不可解な株価上昇を示した主力株が数多く存在したが、これは株式売買のアンワインドによるもの。つまりショートポジションを積んでいれば、買い戻しという形で株価に浮揚力が働く。「仮に今回、原油のロングで苦境に立たされたヘッジファンドが株を売り建てていたら、また不可解な上昇を演出することになる可能性がある」(前出のアナリスト)という指摘がある。必ずしも株安に直結する話ではない。

 もう一つ、きょうの東京市場を揺るがした材料は、北朝鮮の金正恩委員長の重体観測が出回ったことだ。にわかに地政学リスクが意識され、後場は日銀のETF買いに対する期待があったにも関わらず、一段安に売り込まれた。これについても「実際問題として北朝鮮の暴発リスクは高くなく、少し時間を経て振り返れば株高材料だったということにもなり得る」(準大手証券ストラテジスト)という声も聞かれた。しかし、報道の真偽はともかく、新型コロナウイルス問題で関係が悪化している米国と中国において、今後北朝鮮を巡る主導権争いは新たなネガティブ材料として相場にのしかかる可能性は否定できない。

 防衛関連株に位置づけられる石川製作所<6208.T>、豊和工業<6203.T>、細谷火工<4274.T>といった銘柄を拾ってオーバーナイトできるかといえば今はそういう相場でもない。前日取り上げた半導体関連のエノモト<6928.T>はプラス圏で着地したが、こういったチャートの崩れていない銘柄の細かい押し目を日々の商いのなかで捉え、機敏に立ち回るという相場が今しばらく続きそうだ。エノモトと同様の観点で、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連のテーマに乗る2銘柄、YE DIGITAL<2354.T>やTDCソフト<4687.T>あたりに注目してみたい。

 日程面では、あすは海外で2月の米FHFA住宅価格指数。また、3月の英消費者物価指数(CPI)のほか、トルコ中銀の金融政策決定会合が行われ政策金利が発表される。
(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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