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明日の株式相場戦略=目先要警戒、しかし嵐は好機を生む  5月14日17時40分

 米国株市場が再び軟化傾向を強めており、NYダウは前日に500ドルを超える下げで25日移動平均線を下回ってきた。4月6日に終値で同移動平均線を上回ってからは初めてのことで、警戒が必要な局面に入っている。相対的に強い動きを見せてきたナスダック総合指数についてはまだこの分水嶺(25日線)を跨いではいないが、もう一段の下げがあれば上方カイ離はほぼ消滅する。

 きょう(14日)の東京株式市場は、再び波乱含みの米国株を横目にリスク回避の売りに晒され、日経平均株価は3日続落。例によって日銀のETF買いへの思惑が車輪止めとなって粘り腰を発揮し、後場終盤に至るまでは2万円大台をキープして推移したが、午後2時近くになって手仕舞い売りがかさみ、その重みに耐えかねたように2万円大台を滑り落ちた。結局350円強下げて、この日の安値圏で着地し引け味は悪かった。企業の決算発表はきょうとあすに集中しており、この2日間で1000社あまりが予定されている。今期業績予想を非開示とする企業が過半を占めるなかで、「こういう環境だから仕方がない」という暗黙のコンセンサスがマーケットには漂っていたが、足もとは現実に引き戻されたような雰囲気も出てきた。日経平均ベースのPERは前日時点で23.7倍まで上昇、しかも今期予想未定の企業の分も含めれば、更に跳ね上がる。決算発表ウイークの喧騒を抜けて、来週は通常モードの相場環境が戻ってくるが、果たしてファンダメンタルズに目をつぶる形で2万円近辺の攻防を続けられるのか否か、市場関係者の間でも見解が分かれている。

 ただ、ひとつ言えるのは米国株がここから明確な下げ基調に転じれば東京市場もその影響を回避することは難しいということ。そして気がかりなのは、次に来るリスクオフ相場では為替市場で仕掛け的な円買いが起こり、株式市場と負の連鎖を生む可能性があることだ。悲観派に与(くみ)する意図はないが、東証1部の騰落レシオが130%前後、東証2部、マザーズ、ジャスダックの3市場は前日時点で140%を超える水準にあることも考慮して、当面は下値リスクに備えておく局面と考えられる。

 きょうのマーケットの売りの根拠は、米国発のリスクシナリオで、パウエルFRB議長が警鐘を鳴らした米経済の停滞長期化の懸念だ。パウエル議長は前日の講演で景気悪化の深刻度は戦後最悪との認識を示し、経済先行きは非常に不確実で長期にわたる可能性も示唆した。それに伴い一段の資金供給や追加金融緩和に言及したが、一部で思惑が浮上しているマイナス金利の導入については「魅力的な金融政策ではない」と否定的な見解を示した。しかし、マイナス金利が米国で俎上に載ること自体少し前までは予想だにしなかったことで、世界を牽引した米国経済は既に跡形もなくなったことを意味している。トランプ米大統領は大統領選を控え、対中強硬姿勢を前面に押し出すとともに、マイナス金利導入についても圧力をかけてくる可能性がある。パウエル議長はこれまでの経緯でトランプ大統領の圧力に屈しやすいイメージもあり、これがドル円相場に新たな波紋を広げるというケースを警戒しておく必要はある。

 しかし、仮に嵐が来ればそこは買い場を探るチャンスだ。2万円台では動きにくいが、全体相場が下押すことで動きやすくなるということもある。例えば日銀のETF買いの1回当たりの購入金額が再び膨らみ始めたら、即ち日銀が本気を出し始めたら、そこは中期スタンスの買いで報われる有力なシグナルとなる。

 個別株についても、直近取り上げた銘柄ではケアネット<2150.T>や富士山マガジンサービス<3138.T>が好決算でストップ高に買われたが、これは正直、僥倖(ぎょうこう)を得たに過ぎない。その他の多くの銘柄はきょうの悪地合いで下に振られされている。中小型株もここは一回仕切り直しが求められる場面だが、基本的な考え方として新型コロナウイルスが収益面にマイナス影響を与えにくい好決算銘柄を押し目買いの対象として考えておきたい。チャートの崩れていない銘柄では、オリコン<4800.T>、アイティメディア<2148.T>、カナミックネットワーク<3939.T>、MCJ<6670.T>あたりをマークしたい。

 日程面では、あすは4月の企業物価指数が朝方取引開始前に日銀から開示される。また、3カ月物国庫短期証券の入札も行われる。海外では米国と中国で重要経済指標が相次ぐ。4月の中国工業生産高、4月の中国小売売上高、1~4月の中国都市部固定資産投資。また、4月の米小売売上高、4月の米鉱工業生産・設備稼働率も発表される。
(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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