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テリロジー Research Memo(7):コロナ禍でも4期連続増収は必達目標、新商材獲得で売上高50億円突破へ(1)  7月03日15時07分

■今後の見通し

1. 2021年3月期業績の会社計画公表値は必達目標
テリロジー<3356>は2021年3月期の連結業績について、売上高が前期比3.2%増の4,180百万円、営業利益が同24.2%減の200百万円、経常利益が同30.6%減の200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同34.8%減の140百万円と増収減益見込みを公表している。なお、増収を見込みながら減益予想とする理由は、積極的な人員拡充による人件費増と自社製品の開発費増を織り込んでいるためである。また、「配当性向50%以上を目標」とする株主還元方針のもとで、2021年3月期末の配当は1株当たり5円を予定している。

今回の公表値は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮した保守的な予想と言え、後述するRadware事業の積み上がりも織り込まれていない。社内的には、公表値は必達目標と位置付けであり、4期連続での実質2ケタ増収と減益回避を目指す一段高い目標が設定されている。なお、2020年4月の実績を見ると、先行投資として例年以上の新卒採用を行ったにもかかわらず、リモートワーク・在宅勤務等の導入効果により営業費用(売上高-営業利益)が予算を7%下回る一方で、営業の活動量はむしろ増加する順調な滑り出しとなっている。なお、在宅勤務については6月半ばまで継続したもようである。

事業部門別に四半期売上高の推移を見ると、セキュリティ部門を除く3つの事業部門で2020年3月期第4四半期が前年同四半期比減収になっているものの、同社は2021年3月期通期において4つの事業部門すべてでの増収を見込んでいる。

まず、セキュリティ部門では、サイバー攻撃や不正アクセスの増加を受けてネットワークセキュリティ案件やサイバースレットインテリジェンスサービスが堅調に推移している。大型案件の一巡で2020年3月期第2四半期以降、前年同四半期比減収傾向にあったネットワーク部門は、米Infoblox製のDHCP/DNSアプライアンスの買い替え需要が再び発生することを主因に増収転換が見込まれる。モニタリング部門でもネットワークモニタリング分野に注力した受注活動が奏功し、自社製品/サービスである「momentum」の販売拡大が続く見通しである。

多言語リアルタイム映像通訳サービス「みえる通訳」を主力プロダクトとして抱えるソリューションサービス部門については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による訪日外国人旅行客の大幅減少が痛手となるが、在留外国人対応による「みえる通訳」の需要掘り起こしや「Zoom」などの遠隔会議サービスのラインナップ強化や自社開発のRPAツール「EzAvater」の販売代理店網拡大といった施策により増収確保を目指している。

2. ウィズコロナ時代における市場変化への対応に注目
同社は2021年3月期における取り組みの大枠として、「新型コロナウイルス感染拡大によるマーケットの変化に対応」と「売上高50億円規模を視野に入れたエクストラ事業戦略」を掲げており、前者の具体策として、1)社会生活・経済活動に向けたサイバーセキュリティ対策、2)猛威を振るう新型コロナウイルス対策、3)在留外国人に向けた新型コロナウイルス対応の外国語通訳支援、に注力していくことを示している。

同社のセキュリティ部門では、サイバー攻撃/不正アクセス対策のネットワークセキュリティ(米国RedSealのネットワークセキュリティ分析)に加えて、サイバー犯罪グループなどがやり取りする悪意ある情報を収集・分析し、契約先企業に提供するサイバースレットインテリジェンスサービス(2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックでテロ抑止の実績を持つイスラエル国KELAの脅威監視ソリューション)やIoTの活用が進む工場やビルにおけるサイバーセキュリティ対策(企業の拠点間通信の安全を守る米国Tempered Networks製のサイバー防御製品、社会インフラや工場などの産業用制御システムのサイバー脅威と異常プロセスを素早く検知する米国Nozomi Networks製の産業用制御システム(ICS: Industrial Control Systems)をサービスラインナップにそろえている。

厚生労働省が公表した「新しい生活様式」では、働き方の新しいスタイルの実践例として「テレワークやローテーション勤務、時差通勤でゆったりと、オフィスはひろびろと、会議はオンライン、名刺交換はオンライン、対面での打合せは換気とマスク」が明記されており、事業を継続するうえでオンライン環境・ツールの整備が強く求められている。こうした時代の流れは、ネットワーク基盤構築からサイバーセキュリティやネットワークモニタリング、各種ITソリューションまで提供している同社にとって明らかな追い風と言えるだろう。

同社のサービスラインナップから見て、「社会生活・経済活動に向けたサイバーセキュリティ対策」では、1)東京オリンピック・パラリンピックの開催延期によるサイバーテロ対策強化の継続・延長、2)社会全体でのオンライン化進展により増大するサイバー攻撃/不正アクセス等の脅威への対応、などが大きな事業機会になると考えられる。

「猛威を振るう新型コロナウイルス対策」としては、オンライン会議だけでなくオンライン飲み会でも利用され、世間一般でも高い知名度を誇る「Zoom」の活用で同社らしい付加価値サービスを展開している。具体的には、「Zoom」とログ管理・分析サービスである「SumoLogic」を連携することで、オンラインでの会議/商談/授業/イベント等の利用状況を利用者のニーズごとに最適化した形で管理できるサービスを提供している。また、「Zoom」を利用した海外拠点/取引先との会議や商談に同社の「みえる通訳」を連携させることで参加者間の通訳を可能とする遠隔サービスも提供している。

「在留外国人に向けた新型コロナウイルス対応の外国語通訳支援」については、多言語リアルタイム映像通訳サービス(みえる通訳)に対する需要が拡大している。在留外国人がアジア国籍を中心に7年連続増加するなかで、自治体や医療機関、金融機関では提供サービスの多国籍化対応が求められていたわけだが、新型コロナウイルス関連の支援策等が在留外国人にも適用されたことを受けて、そのニーズが一気に高まってきたことが背景にある。

「みえる通訳」は、タブレット・スマートフォンを利用した映像通訳サービスで、いつでもどこでもワンタッチで、通話オペレーターが接客等をサポートするもので、英語、中国語、韓国語、タイ語、ロシア語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語、フランス語、タガログ語、インドネシア語、ネパール語、ヒンディー語、日本手話の通訳に対応している。利用料は定額制(10時−21時対応のライトプランが15千円/月、24時間対応のスタンダードプランが25千円/月)で医療通訳オプション(英語、中国語、韓国語のみ、35千円/月)も用意している。

現時点で在留外国人向けと考えられる同入先としては、自治体~品川区役所、飯塚市役所、福生市役所、宮古島市役所、つくば市役所、読谷村など、金融機関~(株)横浜銀行(全店導入)、医療機関~長崎港停泊中大型クルーズ船乗組員医療機関(無償提供)、ドラッグストア~(株)トモズ、(株)大賀薬局(福岡県)、ココカラファイン<3098>、となっている。新型コロナウイルス問題については、感染拡大の第2波、第3波への準備が必要とされるだけに、更なる需要拡大が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)




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