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神戸物産 Research Memo(5):2020年2月以降は内食需要の高まりで業務スーパーの既存店向け出荷額が伸長  8月07日15時05分

■神戸物産<3038>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前年同期比24.3%増の157,586百万円、営業利益は同34.0%増の13,300百万円となり、半期ベースで過去最高を連続更新した。新規出店効果に加え直轄エリアの既存店向け商品出荷額伸び率が前年同期比19.3%増と大きく伸長したこと、PB商品の販売好調によりグループ製造会社の収益も軒並み拡大したことが要因だ。

既存店ベースの商品出荷額伸び率の推移を見ると、第1四半期(2019年11月-2020年1月)は、テレビ番組への露出効果や消費税増税に伴う消費者の低価格志向の強まりを背景に、前年同月比10%台前半で推移していたが、第2四半期(2020年2月-4月)に入って伸び率が加速し、4月には前年同月比31.0%増と驚異的な伸びを記録した。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が発令されたことにより、外食を控えて家庭内で食事をする消費者が増えたこと、また、外出自粛により買い溜めをするため、リーズナブルな価格でより多くの商品を購入できる業務スーパーに来店する客が増えたことが大幅増の要因になったと考えられる。新型コロナウイルス感染症の影響により、食品スーパー業界全体が活況を呈していたが(4月の業界全体の既存店売上高は前年同月比12.4%増)、そのなかで同社の伸び率が際立って高かったことからも、それが裏付けられた格好となっている。

PB商品の売上構成比は前年同期の30.88%から31.38%と若干上昇した。全般的に販売が好調で、なかでも賞味期限の長く、手軽に調理できるレトルト食品やお米などが伸長したほか、輸入商品ではパスタ類やオートミールが好調だった。2020年2~4月は自社グループ工場の生産が追い付かない商品も出たほか、物流センターについても一時的に処理能力を超える状況になったほどだ。

グループ会社の収益も増収効果によっていずれも伸びており、利益率の上昇に寄与した。特に、冷凍麺やチルド食品を製造する秦食品(株)、養鶏・鶏肉加工の(株)グリーンポートリーや(株)朝びき若鶏などの増収効果が大きかった。また、清酒メーカーの菊川(株)も酒類を扱う店舗が首都圏で増えたことにより伸長したが、地域社会貢献活動の一環として、5月下旬に消毒用アルコールを地元の岐阜県各務原市を通じて、市内保育所、幼稚園、小中学校等に2,400本寄贈した。消毒用アルコールについては、業務スーパー各店舗でも利用し、また、5月29日より順次販売も開始している。

なお、新たな取り組みとして、2020年4月に岡山県の洋菓子メーカーであるサラニから洋菓子製造工場を譲受した。同工場は主力商品としてパウンドケーキを年間100万本、カップケーキを年間300万個製造する予定。工場取得後、他社から仕入れていたパウンドケーキ等を同工場からの調達に切り替えており、新たなPB商品についても2020年8月以降の商品化を目標に開発を進めている。同社のデザート類はPB商品のなかでも需要が高く、今回の工場取得によりさらに強化されることになる。

なお、業務スーパーの出店状況については、新規出店で25店舗、リロケーションなどによる退店で8店舗となり、前期末比17店舗増の862店舗となった(前年同期末比では36店舗増)。地域別の前期末比増減を見ると、関東直轄エリア(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で4店舗増、九州直轄エリア(鹿児島県除く)で6店舗増、北海道で2店舗増、その他地方エリアで5店舗増となっている。特に、九州直轄エリアは長らく店舗のなかった長崎県にも出店するなど2019年10月期以降、出店ペースが加速している。

(2) 神戸クック事業
神戸クック事業の売上高は前年同期比13.5%増の1,235百万円、営業利益は同64.6%増の79百万円と増収増益が続いた。

このうち、「神戸クック・ワールドビュッフェ」の店舗数は、新規出店が2店舗、退店1店舗となり、前期末比で1店舗増の23店舗となった。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2020年3月中旬より営業時間の短縮や臨時休業を実施した。一方、「馳走菜」は新規出店が8店舗で退店はなかったため、前期末比で8店舗増の18店舗となった。業務スーパーとの同時出店を進めており、業務スーパーの来店客数増加やメディアに取り上げられたこともあって各店舗とも堅調に推移し、「神戸クック・ワールドビュッフェ」のマイナス分をカバーする格好となっている。

(3) クックイノベンチャー事業
クックイノベンチャー事業の売上高は前年同期比3.0%増の15,772百万円、営業利益は同13.9%減の379百万円となった。消費税増税に伴う節約志向の高まりや人件費、原材料価格の高騰など厳しい環境が続いていることに加え、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2020年3月以降、一部店舗において営業時間の短縮や臨時休業を実施した影響により収益が大幅に悪化した。なお、主力業態の焼肉業態「肉匠坂井」については新規出店効果もあり堅調に推移した。なお、クックイノベンチャー事業については事業主体である子会社のジー・テイストが3月決算のため、4月の緊急事態宣言による大幅な売上の落ち込みは反映されていない。なお、2020年6月30日付でクックイノベンチャーの株式をすべて売却しており、第3四半期より連結対象から外れる。

(4) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業の売上高は前年同期比3.6%増の1,192百万円、営業利益は同18.8%増の183百万円となった。2020年10月期は新規発電所の稼働がなく、発電量は太陽光発電所が16ヶ所で約22.0MW、木質バイオマス発電所が1ヶ所で約6.25MW、合計で約28.25MWとなっている。

(5) その他
その他の売上高は前年同期比41.2%増の281百万円、営業損失は116百万円(前年同期は112百万円の損失)となった。売上高は2019年より新たに焼肉業態「プレミアムカルビ」を直営で2店舗(神奈川県)出店したことにより増収となったが、観光事業等の先行投資費用もあり営業損失の計上が続いている。「プレミアムカルビ」は焼肉食べ放題で、他社との差別化ポイントとして、デザートが充実していることにある。特にジェラートは店内で作っており、女性客から好評で、客足も順調に推移しているようだ。このため、同社では直営及びFC展開を今後進めていく予定にしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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