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明日の株式相場に向けて=「バリュー系材料株」が新潮流  3月08日17時00分

 週明け8日の東京株式市場は、日経平均株価が121円安の2万8743円と3日続落。上下に振れやすい不安定な地合いが継続している。朝方に先物主導で340円あまり高く始まり、その5分後に391円高の2万9255円まで駆け上がった。しかし、残念ながらそこがきょうの高値となった。大方の予想通り、その後上値が重くなり、後場に入って日経平均はマイナスに転換した。前週末の米国株市場でNYダウが570ドルの上昇をみせるなど主要株指数が揃って切り返しに転じたとはいえ、これは突っ込み警戒感からの買い戻しであって、先高期待を映し出したものではない。東京市場でもそこら辺の事情は理解しているだけに一本調子の上げとはなりにくい。必然的に米株価指数先物とアジア株市場の動きを横にらみに神経質な値動きを強いられることになる。

 2月の米雇用統計は市場予測を大きく上回る雇用者数の増加を示し、バイデン大統領肝いりの大型追加経済対策も可決。ワクチン普及も加速している状況とあっては、景気回復のシナリオに待ったをかける材料はない。しかし、もはやマーケットの関心は新型コロナの感染状況よりも米10年債利回りの動向に移ってしまっている。極論すれば景気はまだ弱い状態を続けてほしいというのが本音であって、長期金利がそれを見透かしたように意地悪く投資家の不安心理をくすぐっている、というのが現在の状況だ。

 米10年債利回りが1.6%台で売り、1.5%台なら買い戻しという、この0.1%の差にどういう意味があるかといえば何もない。しかし例によって、長期金利にリンクさせたAIアルゴリズム売買に振り回され、その値動きに人間が後講釈をつけるという見飽きたパターンがしばらくの間は繰り返されることになる。

 今週はECB理事会(11日)が予定され、来週は日米の会合が、FOMC(16~17日)、日銀金融政策決定会合(18~19日)の順で行われる。ここでのラガルドECB総裁、パウエルFRB議長、黒田日銀総裁の3氏の記者会見で、それぞれどういうコメントをするのかを、マーケットは固唾を飲んで見守るという構図だ。とりわけパウエル氏の長期金利上昇を容認する発言を怖がっているが、ここでこれまでの超金融相場が断崖絶壁に遭遇するというような短絡的なものではなく、冷静に構えておくところだ。日銀のETF買いに対する黒田日銀総裁のコメントにしても相場を混乱に陥れるようなケースは考えにくい。

 個別では、前週取り上げた三機工業<1961.T>が地味ながら上値追い基調を継続、高配当利回り・低PBRでバリュー株シフトの流れに乗っている。コード番号1900番台の銘柄というのは全体相場に流されずに独自の強調展開をみせる銘柄が意外に多い。高田工業所<1966.T>も超割安で全体相場が軟調でも売りにくい銘柄であるし、同じ観点から関電工<1942.T>なども特徴的な値運びをみせている。

 PBR0.5倍台の共和レザー<3553.T>は今期減配でも配当利回りが3.5%近くあり、足もとの業績悪さえ織り込めばここは買い場であるとの認識に違和感はない。また、PBR0.5倍前後の大同メタル工業<7245.T>も目立たないが投資資金を継続的に誘引している。NC放電加工機でグローバルニッチトップ銘柄に位置づけられるソディック<6143.T>は当欄で何度か取り上げてきたが、改めて目を凝らしてみると、成長期待株のポジションながら、PBR0.8倍台でなおかつ毎期増配を繰り返す“株主思いの会社”であることが分かる。材料性に富む一方でバリュー株としての横顔をみせている。このように、イメージ的には“材料株っぽい”が実際は割安に放置されている銘柄群への資金シフトが観測されるようになった。

 低位株ではネット広告や電子書籍を手掛けるインプレスホールディングス<9479.T>も、人知れずアクセルを踏み込み始めたバリュー系材料株として注目。巣ごもり化で拡大に拍車がかかった電子書籍市場だが、特に電子コミックの伸びが顕著。同社はこの恩恵を正面から享受している。21年3月期営業利益は期中2回の増額修正を経て前期比5割増の6億5000万円を予想するが、20年4~12月期時点で営業利益は14億8900万円に達している。テクニカル的にも昨年10月の高値204円を上抜き新高値圏に突入した。

 あすのスケジュールでは、20年10~12月期GDP改定値、2月の工作機械受注など。海外では、20年10~12月期ユーロ圏GDP確報値など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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