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明日の株式相場に向けて=本領発揮のバリューとAI株シフト  3月30日16時59分

 きょう(30日)の東京株式市場は、日経平均株価が48円高の2万9432円と4日続伸。実質新年度入りとなったきょうの東京市場では、3月決算企業の配当権利落ち分が足を引っ張る形でTOPIXベースでは4日ぶり反落を余儀なくされたが、日経平均ベースでは178円程度の株価押し下げ要因を吸収してプラス圏で着地する強さをみせた。きょうは前引け時点でTOPIXが1%強の下落をみせていたため、市場では日銀のETF買いが入った可能性が指摘されていた。日銀はTOPIX連動型のみの購入手法に一本化する(実施は4月から)ことを先の金融政策決定会合で決めたが、きょうのところは相対的に日経平均の方が強かった。

 背景は定かではないものの、現象面でみれば日経平均寄与率ナンバーワンのファーストリテイリング<9983.T>の上昇が寄与した形となった。市場関係者によると、これは「今月19日から24日にかけて(ファストリテが)1万3000円以上も下落した反動。この時の下げ方は尋常ではなかったが、機関投資家の持ち高調整の売りに戦略的なショート(空売り)もかなり上乗せされていた。きょうから実質年度替わりだが、その時の買い戻し玉がまだ残存している」(準大手証券ストラテジスト)という。

 個別株についていえば、こうした全体の事情とはあまり関係なく、チャートの形よいものを中心に上値を見込んだ買いが素直に流入している感触がある。もちろんきょうの相場でいえば、3月決算企業は配当権利落ちに伴う影響を一様に受けているわけだが、上値を指向している銘柄はそれを忘れさせるかのように軽い値運びをみせている銘柄も多い。

 当欄でこれまで継続的に追ってきた藤倉コンポジット<5121.T>だが、ようやく上げ足を本格化させている。22年3月期はトップラインの回復と利益の大幅な伸びが見込まれるだけでなく、1株純資産が1000円台となれば、PBR1倍までの道程を見据えて600円前後はまだまだ安いというイメージが漂う。新日本電工<5563.T>も値運びこそ地味だが、信用買い残の整理も大分進んでおり、今月15日につけた高値331円払拭からの新波動入りに期待がかかる。EV電池材料や水素ステーションなど、時流に乗るテーマ性を内包しているのが強みであり、かつてのイメージとは違った切り口で輝きを放っている。これ以外の銘柄では、直近紹介したリリカラ<9827.T>がストップ高後にひと押し入れ、一発高では終わらせない足腰の強さで切り返してきた。バリュー系材料株の面目躍如となっている。

 きょうは、東証マザース市場に鳴り物入りの大型IPOがあった。最先端の機械学習を駆使してAIマーケティング・セールス領域を主戦場とする台湾発のAIベンチャーAppier Group<4180.T>だ。公開価格1600円に対して2030円で初値を形成、この時点で時価総額は2000億円に達した。大型IPOだけに上値がそれなりに重いのは仕方のないところで、その後は売りに押され結局1900円で引けたが、投資家の関心は非常に高かった。日米を問わず株式市場ではバリュー株かグロース株かの論議がかまびすしいが、基本的に投資対象の企業価値を判断するうえでのベースが違っていて、バリュー株が買われる地合いだからグロース株が駄目だとか、グロース株が評価される地合いだからバリュー株が駄目だとかいう話ではない。

 AI関連は通常グロース株の範疇に入ると思われるが、例えば赤字のベンチャー企業を果たして本当に成長株との分類で妥当かどうかは分からない。しかし、それは百も承知でいわば将来の可能性を買うわけである。米国のGAFAMなど世界に名だたる大資本企業でグロース株の殿堂入りのような銘柄群も最初から巨額の利益を上げていたわけではない。

 AI周辺では量子コンピューター分野で先駆するフィックスターズ<3687.T>を引き続き注目。また、AI開発に傾注するサイオス<3744.T>もいい株価ポジションにいる。また、600円台で値ごろ感のあるユビキタスAIコーポレーション<3858.T>や強いチャートで異彩を放つデジタル・インフォメーション・テクノロジー<3916.T>にも着目しておきたい。

 あすのスケジュールでは、2月の鉱工業生産指数速報値、2月の自動車輸出実績、2月の住宅着工など。海外では3月の中国製造業・非製造業PMI、3月の独失業率。3月の米ADP全米雇用リポートなど。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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