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霞ヶ関キャピタル Research Memo(4):2021年8月期第2四半期は、新規事業への取り組みを強化  5月18日15時04分

■霞ヶ関キャピタル<3498>の業績動向

1. 2021年8月期第2四半期業績概要
2021年8月期第2四半期の日本経済は、コロナ禍により2度目の緊急事態宣言が東京都や大阪府など11都府県で発出する等、予断を許さない状況が続いている。同社の主たる事業領域である不動産市場においては、東証REIT指数の堅調な推移が示すように総悲観の状況から良化しつつあり、特に需給が逼迫する物流施設においては価格上昇が顕著に見られている。一方で、商業施設や宿泊施設等、一部アセットタイプは様子見の姿勢が続いており、コロナ禍の影響については注視すべき状況にある。

このような状況のなか、同社は引き続き社会的潮流に着目した成長性及び社会的意義のある事業分野への投資及びコンサルティングに注力するとともに、投資機会の創出及び投資案件の収益最大化に努めた。その結果、2021年8月期第2四半期の連結業績は、売上高6,659百万円(前年同期比153.2%増)、営業利益8百万円(同87.0%減)、経常損失43百万円(前年同期は8百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失55百万円(同11百万円の利益)となった。

売上高については、物流施設開発用地や賃貸マンション、保育園の売却が牽引したことで大きく伸長し、第2四半期累計で過去最高を記録した。一方、利益面では、加速的な事業の成長を実現するために積極的に人員採用を行った結果、人件費・採用関連費用が増加したことや、人員増に伴うオフィス増床関連の費用が増加したこと、売却案件の利益率が低めであったことなどから、減益となった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症流行の収束後(以下、ポストコロナ)を見据え、2021年8月期上期決算発表時点で物流施設開発用地を7件仕込んでいることからも、新規事業への取り組み強化を図った前向きな決算であったと評価できる。

セグメント別に見ると、不動産コンサルティング事業では、投資用不動産の売買及び投資家に対するコンサルティング受託や、保有するショッピングセンターフォルテにおける各テナントからの賃料収入により、売上高は6,222百万円(前年同期比265.1%増)、セグメント利益は674百万円(同328.1%増)となった。一方、自然エネルギー事業では、太陽光発電案件の売却等により、売上高は437百万円(同52.8%減)、セグメント利益は26百万円(同87.6%減)となった。


高水準の自己資本比率を確保

2. 財務状況と経営指標
2021年8月期第2四半期末における資産合計は、前期末比2,462百万円増の10,902百万円となった。流動資産は、同783百万円増の7,908百万円であった。これは主に販売用不動産が590百万円減少したものの、現金及び預金が849百万円、前払金が648百万円増加したことによる。販売用不動産では、ショッピングセンターの保有目的変更に伴い固定資産へ移動するとともに、既存案件の売却と新たな物流用地等の取得によって、アセットミックスの入れ替えを実施した。また、前払金は売買の手付金である。一方、固定資産は、同1,669百万円増の2,982百万円となった。これは主に販売用不動産の保有目的を変更し、有形固定資産へ振り替えたことなどによる。

負債合計は、前期末比2,399百万円増の6,966百万円となった。流動負債は同1,647百万円増の4,241百万円であった。これは主に短期借入金等(1年内返済予定の長期借入金を含む)が1,290百万円、未払金が385百万円増加したことによる。固定負債は同751百万円増の2,725百万円であった。これは主に長期借入金が421百万円、社債が144百万円増加したことによる。以上から、有利子負債(長短借入金)合計では同1,712百万円増の5,569百万円となった。また、純資産合計は、同62百万円増の3,935百万円となった。これは主に新株発行に伴い資本金と資本剰余金がそれぞれ42百万円及び45百万円増加したことによる。

同社のビジネスモデルは、高収益と財務の健全性を同時に実現するものである。2021年8月期第2四半期は積極的な案件仕込みの積み上げと、今後の成長に向けた資金調達を実施した結果、自己資本比率は前期末の45.7%から35.9%に低下したものの、同社が目指す東証1部上場企業(不動産業)2020年3月期の30.7%を上回り、引き続き高い安全性を確保していると評価できる。

2021年8月期第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は前年同期末比796百万円増の3,025百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは775百万円の支出となった。これは主に、預け金の70百万円の減少(収入)、たな卸資産の増加(支出)が454百万円あったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは166百万円の支出となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出206百万円、敷金及び保証金の差入れ及び回収によるネット支出57百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは1,890百万円の収入となったが、前年同期よりも1,712百万円減少した。これは主に、前年同期には株式の発行による収入2,312百万円があったが、当四半期にはなかったことによる。


物流施設開発事業の本格稼働により、利益のV字回復を予想

3. 2021年8月期業績見通し
2021年8月期の業績見通しについて同社は、コロナ禍に伴い、人と物の移動制限、経済活動制限、個人収入減少などにより、日用品・必需品以外の消費活動の減退など急速に経済状況が悪化するなか、現在の状況が中期的には継続するとの前提で策定している。

2021年8月期連結業績予想については、売上高12,500百万円(前期比56.1%増)、営業利益1,250百万円(同282.8%増)、経常利益1,100百万円(同510.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益770百万円(同472.4%増)と期初予想を据え置き、大幅な増収増益を見込んでいる。人材獲得などの先行投資は2021年8月期上期でおおむね一巡し、下期は計画通りの進捗を予定している。また、2021年8月期下期からは物流施設開発事業などの新規事業の本格稼働により利益はV字回復し、従来までの成長サイクルへの回帰を計画している。物流施設用地の売却については、業績の達成状況を見ながら売却時期を調整するようだ。コロナ禍の収束時期が見通せないなか、経済の先行きは不透明であるものの、足下の業績は計画を上回るペースで推移しているようであることからも、保守的に業績予想を算定していると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)




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