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日経平均は5日続落、コロナ再拡大での「楽観後退」に「政局不透明感」  7月20日12時13分

 日経平均は5日続落。88.22円安の27564.52円(出来高概算5億4000万株)で前場の取引を終えている。

 週明け19日の米株式市場でNYダウは大幅に続落し、725ドル安となった。世界的に新型コロナウイルスのデルタ株が流行しており、景気の先行き懸念が強まった。産油国が週末の会合で減産規模を縮小することで合意し、原油価格が下落したことも相場の重しとなった。米10年物債利回りは1.2%を割り込み、「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)も節目の20を上回るなど、金融市場全体にリスク回避ムードが広がった。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで300円安からスタートすると、前場中ごろには一時27330.15円(322.59円安)まで下落。ただ、週後半の連休を前に売買が膨らみづらいなか、下値では個人投資家の押し目買いも入っているとみられ下げ渋った。

 個別では、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、ソニーG<6758>などがさえない。ファナック<6954>は2%超下落し、中小型株では前日ストップ高のファーマF<2929>が利益確定売りに押されている。INPEX<1605>などは原油価格の下落に連れ安。また、やはり前日大きく買われたJVCKW<6632>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、業績上方修正を発表したキヤノン<7751>が賑わい、東証1部上昇率トップ。エプソン<6724>やウエルシアHD<3141>も上昇率上位に顔を出している。また、前日の米フィラデルフィア半導体株指数
(SOX)が小幅ながら上昇し、レーザーテック<6920>が4%超の上昇。東エレク<8035>
などもまずまず堅調に推移している。

 セクターでは、鉱業、石油・石炭製品、不動産業などが下落率上位で、その他も全般軟調。上昇したのは精密機器と医薬品の2業種のみだった。東証1部の値下がり銘柄は全体の62%、対して値上がり銘柄は33%となっている。

 前日の米国株が急落し、日経平均も連日で下落を強いられて、5月13日の取引時間中に付けた安値27385.03円を下回る場面があった。先週の当欄で取り上げたとおり、グローバル投資家はこれまで世界経済の減速を徐々に意識しつつも、株式や商品の大規模な買い持ち(ロング)を維持したままだった。米10年物債利回りの低下(債券価格は上昇)に歯止めがかからないことからも、金利上昇を見越した米国債の売り持ち
(ショート)がいかに膨らんでいたかわかるだろう。世界的な新型コロナデルタ株の感染拡大がこうした過度な楽観(あるいは悲観に傾きつつも維持されていた持ち高)
を大きく後退させた格好だ。

 米メディアによればまだまだ押し目買い推奨という強気の声もあるようだが、多くの市場参加者やストラテジストは「自分たちが見落としていたリスクは何か」と投資戦略の見直しに動いているという。筆者もここまでの相場は楽観シナリオに傾き過ぎ、リスクシナリオへの目配せに欠けていたと感じざるを得ない。米10年物債利回りの低下が多くのヘッジファンドにとって「ペイントレード(痛みを伴う取引)」となっているだろうことも見逃すべきでない。

 東京市場では日経平均が27600円台に位置する200日移動平均線を割り込んでいるが、ネット証券売買代金ランキングを見ると、日経レバETF<1570>などに個人投資家の押し目買いが入っているのだろう。ただ、先々週の急落局面と比べると日経レバETFの買い持ち高の積み上がりは鈍い印象。週後半に連休を控え、積極的にポジションを取りづらいところだ。また、一昨日の28000円割れあたりから既に押し目買いを入れている個人投資家も多いとみられ、この後ある程度戻したとしても損益や資金余力の改善につながるか慎重に見極める必要がある。戻り売り水準の更なる低下は避けられないかもしれない。

 個別でもキヤノンなど好材料があった銘柄がまずまず賑わっているが、ファーマFやJVCKWの反落から資金の逃げ足の速さが感じられる。明日までの今週残りの取引でも、中小型の材料株を中心に短期の値幅取りでしのぐ格好となりそうだ。

 さて、日本株を巡る不安は世界的な新型コロナ感染拡大や景気減速への懸念だけではなくなってきたかもしれない。主要メディアが先週末に実施した世論調査の結果を発表しているが、内閣支持率は軒並み30%台まで急落し、発足以来最低を記録した。
一方、不支持率は60%台まで上昇した調査結果が多い。度重なる緊急事態宣言の発出やワクチン供給不足などの感染対策への不満、東京五輪を巡るスキャンダルが相次ぎ報じられたことなどが響いたとみられる。また、東京五輪で「TOPスポンサー(ワールドワイドパートナー)」を務めるトヨタ自が国内で五輪に関するテレビCMを放送しない方針を明らかにするなど、逆風が止む気配は感じられない。

 衆院解散・総選挙を前に自身の当落に不安を覚える議員は増えるだろうし、後継首相を巡る観測報道も見られるようになってきた。もっとも名前が挙がるのは「党有力者のいずれかが許容しづらいだろう」候補ばかりで、実際に政局となれば混乱必至と考えざるを得ない。党を挙げて支持できそうな有力候補がおらず、野党の支持も広がりを欠く状況で、党有力者らが政局にしないことで一致すれば菅義偉首相の続投の可能性も高い。ただ、求心力回復への道のりは易しくないだろう。政局を巡る不透明感は日本株に一層重くのしかかるとみておく必要がありそうだ。
(小林大純)


<AK>

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