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明日の株式相場に向けて=「AIアルゴリズムVS人間の感性」  8月04日17時00分

 きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比57円安の2万7584円と続落。下値では押し目買いの動きが観測され、朝方に2万7500円割れまで突っ込んだ後は漸次下げ渋る展開となった。全体相場は依然としてはっきりしない動きが続いている。他方、前日の米国株市場では主要指数がいずれも高く、S&P500指数が過去最高値を更新している。なかなか恩恵が巡ってこないが、米株効果によってこの下げ幅でとどまっているという見方もできる。

 注目されたのは後場取引時間中に発表されたトヨタ自動車<7203.T>の決算。同社株は6月16日に1万330円の上場来高値に買われた後は調整局面に入ったが、7月9日にザラ場で9500円を割り込んだところで方向転換、その後は次第に戻り足を強め、きょうの決算発表直前の段階で株価は再び1万円台に戻していた。そして、発表された4~6月期決算は最終利益が前年同期比5.7倍となる8978億3200万円と急拡大。これは過去に記録した4~6月期のピーク水準を上回り最高となった。コロナ禍での想定を上回る新車販売回復、半導体不足による生産調整の影響も最小限にとどめた。大健闘といってよく、業績数字的にも期待にたがわぬ好決算であったといえる。

 問題は株価である。この時期、好決算を好感して素直に買われる銘柄もあれば、事前に織り込みが進み、株価を上昇させていた銘柄については「出尽くし売り」を浴びることも少なくない。トヨタの場合は、世界的に自動車販売が好調を極めていることは広く知られており、業績が良好であることは周知であったが、半導体不足の問題もあり未知数の要素も多かった。株価的には1万円大台とはいえ高値ボックス圏でのもみ合い水準にあり、とても出尽くしで売られるということは考えにくいところだった。しかし、実際は発表直後に大口の売りに晒され、一時230円安の9825円まで突っ込んだ。

 市場でも「本来、この決算で保有株を外すことを考えるのは人間の脳ではない」(中堅証券ストラテジスト)という声が上がっていた。しかし、売りの引き金を引いたのは同社が通期業績予想を据え置いた(増額修正しなかった)ことであった。第1四半期における最終利益の対通期進捗率は39%、つまり4割に達している。普通であれば通期見通しを増額してしかるべきところでそれを見送ったのは、下期をよほど厳しく見ているのであろうという思惑を呼び、株価にネガティブに作用した。

 それでも人間であれば、「トヨタはあえて慎重に上方修正を保留したが、増額含みであることに変わりはない」と考える。むしろ増額思惑が残り、出尽くし感が伴わないだけ株高が長続きしそうなものだが、今の相場はそうはならない。なぜか。トヨタ株に売り注文を出したのは人間の脳ではないからだ。ネット証券のマーケットアナリストによると「通期予想の修正を見送ったという事実で、決算分析アルゴリズムが数値的に売りを示唆し、それが実行された」という。こういうケースは同社株に限ったことではない。イベントドリブンで人間が違和感を覚えるような株価の上下動はAIの影響が大きい。しかし、“人間の知恵”はその裏をかくこともできる。同マーケットアナリストによれば「(トヨタ株は)9800円台に売り込まれた後、引けにかけてジリジリと戻した。これはショートカバー(空売りの買い戻し)もあるが、AIバイアスによる下げと見切って、人間が買い向かった実需の買いがかなりの部分を占めているはず」という。外野的な物言いになるが、決算発表シーズンは「AIアルゴリズムVS人間の感性」の勝負にも見応えがある。

 個別株は、海運や鉄鋼など業績変化率が顕著な市況関連に目が向いている。大紀アルミニウム工業所<5702.T>が直近値を飛ばしたが、非鉄関連で東邦チタニウム<5727.T>などもマークしてみたい。また、海運株は目先上げ一巡となった感もあるが、株価指標面からは割安でまだ上値の伸びしろは大きい。大運<9363.T>の上昇一服場面や明治海運<9115.T>、東海運<9380.T>などにも目を配っておきたい。

 あすのスケジュールでは、7月の輸入車販売、7月の軽自動車販売など。海外では英中銀の金融政策発表、6月の米貿易収支、インドネシアの4~6月期GDPなど。国内主要企業の決算発表では、三井化学<4183.T>、資生堂<4911.T>、任天堂<7974.T>、ニコン<7731.T>、オリンパス<7733.T>、NTTデータ<9613.T>などが予定されている。海外では、モデルナ<MRNA>、ビヨンドミート<BYND>などが発表する。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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