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1stコーポ Research Memo(4):22年5月期は増収増益を見込む  8月11日15時14分

■ファーストコーポレーション<1430>の業績動向

2021年7月9日に発表した2021年5月期の決算は、売上高が前期比10.7%減の20,919百万円、営業利益が同24.1%増の1,666百万円、経常利益は同24.0%増の1,608百万円、当期純利益は同29.0%増の1,125百万円と減収増益となった。

売上高は2ケタの減収となったものの、当初の計画が21,000百万円だったため、ほぼ計画通りとなった。目標に対する達成率は99.1%だった。期中にコロナ禍の影響が少なからずあったことを考えれば、減収ながらも健闘したと言えよう。特に共同事業は、販売を促進するモデルルームが度重なる緊急事態宣言の発令による外出自粛のため機能が低下した。モデルルームを活用した商談が営業の基本となるほか、この機能低下は販売広告の打ち直しなどコストアップにつながってくるだけに、今後もコロナ禍による人の動きの変化について注視したいところだ。

利益面については、完成工事総利益が計画値の1,546百万円を下回る1,257百万円で着地した。前期の1,201百万円を上回ったものの、造注案件の着工にずれが生じたほか、一部の現場で近隣対応に伴う工事の一時中断などがあり、これが完成工事利益率低下の要因となっている。完成工事利益率については、計画値では10.2%を想定していたものの、前年の9.4%から低下して8.4%となった。

反面、不動産売上総利益は計画値1,008百万円、前年実績1,030百万円をいずれも大幅に上回る1,493百万円を確保した。これは売却した土地の価格が想定を大幅に上回ったことで、そのまま利益を押し上げる要因になった。完成工事総利益の下振れを、不動産売上総利益の増加でカバーし、全体の利益率を向上させた形となっている。

財務状況では、不動産売却に伴う返済によって借入金が減少した。不動産取得資金の調達等で長期借入金は前期末の3,335百万円から3,675百万円に増加したが、上記の理由により短期借入金(1年以内返済予定の長期借入金を含む)が同3,200百万円から930百万円に縮小し、トータルで1,930百万円の減少となった。剰余金等は前期末の5,355百万円から5,553百万円に増加したことで、純資産は前期末比197百万円増の6,282百万円となり、その結果、自己資本比率は前期末の33.9%から36.0%まで上昇した。

一方、事業を遂行するうえで肝となる用地の確保は、引き続き楽観視できない状況にある。利便性が高い好立地の案件に関しては取得競争が激しい。今後も、あくまで採算を無視して取得することはしないとしている。

東京2020オリンピック・パラリンピック特需と言われていた2~3年前まで、ホテルとの用地確保における競争において、ホテル業界が提示する利回り等の条件で、どうしてもマンションは優位に立てず、良質な用地がホテル建設にさらわれる状況が続いていた。こうした厳しい状況は一巡しながらも、都心部はこれまでと変わらず、郊外においてはテレワーク化も背景に好立地案件についての取得競争が激化しそうな状況で、今後も行方が注目される。

受注については、好調に推移している。2021年5月期は計画の9件を上回る10件を獲得した。受注額は23,103百万円となった。うち、造注方式での受注額は8,274百万円で前期の1,873百万円から大きく伸び、受注額における造注比率は前期の13.1%から35.8%に上昇した。前述したように、造注方式の物件は収益性が高いため、これによって利益率がアップすることになる。

2022年5月期の見通しについては、売上高が前期比26.7%増の26,500百万円、営業利益が同3.2%増の1,720百万円、経常利益が同5.7%増の1,700百万円、当期純利益が同5.0%増の1,182百万円と増収増益を見込んでいる。

引き続きコロナ禍による影響が懸念視されながらも、販売面においては引き続き好調に推移しそうだ。特に、課題になっていた群馬県前橋市の再開発案件が2021年5月期から寄与し始め、これが2022年5月期、2023年5月期ともに安定した収益源として貢献する。利益面については、2021年5月期の不動産事業で想定以上の販売価格となったことを考慮すれば、売上高に比べて伸び率は小さいながらも、好調に推移するとみていいだろう。

実際、完成工事総利益は2022年5月期の1,257百万円から1,695百万円と前期比34.8%増を見込んでいる。2021年5月期の増益は不動産事業に助けられたことが大きいが、2022年5月期は造注比率の上昇もあって、主力のマンション建設・販売で収益を拡大させることになりそうだ。

なかでも、寄与する案件で注目できるのは群馬県前橋市の再開発案件と、現在は解体中の千葉市中央区における大型案件の着工である。全体的に、工事、不動産販売とも現時点で確実性の高いもので見通しを立てており、2022年5月期の予想については保守的とみられ、上振れの余地が大きいとみられる。

2022年5月期の受注額は22,000百万円(前期比4.8%減)を想定している。2021年5月期の10件(うち造注方式による案件4件)から7件(同2件)に減少するものの、造注方式による案件の受注額は15,000百万円と前期比81.3%増と大幅な伸びを見込む。うち、1件は千葉市中央区の10,000百万円を超す大型案件であり、これが向こう3年ほど収益に寄与するなど、将来的な利益率のアップにつながることになると注目できそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)



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