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明日の株式相場に向けて=AI全盛相場、人間の“勝ち方”は 10月28日17時00分

 きょう(28日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比278円安の2万8820円と続落。前日の米国株市場でNYダウが4営業日ぶりに反落したとはいえ、260ドルあまりの下げを理由にリスクオフが波及というのも憚(はばか)られる。きょうは日経平均がとりあえず下落するターンであったというよりない。引けにかけてTOPIXのリバランスに絡む売買が加わり売買代金は5兆円台に膨張したが、浮動株比率の定期見直しであり、全体株価への影響は軽微であった。また、きょうは日銀の金融政策決定会合の結果が開示されたが、「日本の場合はオッズの付きようがない鉄板の“現状維持”で相場は99%織り込み済み」(中堅証券ストラテジスト)とされ、無風通過といってよかった。

 ただし、相場の中身は荒れ模様だ。AIアルゴリズムの影響は、個別株にも大きな影響を及ぼしている。この時期特有の事前コンセンサスを絡めた決算プレーもAIが主導しているケースが多い。時価総額の大きい流動性に富んだ銘柄で株価が上下どちらかに大きく振れた場合、勝ち組に回った投資家は大きな利益を獲得できるし、負け組に属すれば多大な損失を被る。もちろん決算跨ぎのトレードは危険であるが、当たれば確かに妙味も大きい。しかし、AIによる「あっち向いてホイ」相場に個人投資家が丸腰で参戦することはあまり得策ではなく、その結果を見極めてから参戦する方が投資スタンスとしては有効といえる。

 具体的にどういうことかというと、例えばきょうは富士通<6702.T>とエムスリー<2413.T>がいずれも大きく下落した。前者は一時2665円安の1万9090円まで売り込まれ、後者は677円安の6568円まで売り込まれた。

 普通に考えて、富士通が12%以上も下落するというのは相当な悪材料が出ないとなかなか実現しない。しかし、今回引き金を引いた21年4~9月期決算は営業利益段階で前年同期比31%増益という立派なものだった。コンセンサスを下回ったという理由で、問答無用に売り叩かれた。個人投資家がもし前日に富士通の好決算を期待して買ったとしたら愕然とするよりないところだ。買うタイミングを間違えている。好決算を先取りするのではなく、きょうのこの急落に買い向かう方がよほど利益を享受できる可能性が高い。

 また、エムスリー<2413.T>の決算に対するマーケットの注目度は富士通以上に高かったといえるが、前日開示された21年4~9月期決算は営業利益が前年同期実績に対し2.6倍化した。医療情報サイトを運営する同社はコロナ禍でも収益デメリットは受けにくく、むしろ海外でのコロナ薬やワクチンの治験支援などで特需を確保した。ところが、株式市場は思いもよらぬ評価を下した。

 「エムスリーについては直近四半期(7~9月期)の売上高の伸びが鈍化したことをネガティブ材料として掲げられ売りが集中した。言われればその通りだが、ここまで売り込まれる材料ではなく、難クセをつけられたようなもの」(ネット証券アナリスト)という見方が出ていた。AIによる怒涛の売り攻勢には誰も抗(あらが)えない。ではどうするか。決算発表直後にイレギュラーに投げさせられた玉を拾いに行くのが正しい。

 AI売買がマーケットを蹂躙しているが、その逆手を取らないと個人投資家はなかなか勝てない。株価は未来を先取りした値動きをみせるというが、ネットトレードの時間軸では人間の相場観は通用しない。高速売買に対応するには敢えて時間軸を後ろにずらし、嵐が去った後に埋もれた宝石を探しに行くのが賢い選択肢となる。マドを開けて急落した銘柄を拾うのは勇気がいる。また、マド開け急落後の戻り足は大抵スピードも遅い。しかし、明らかな悪材料が出たわけではないのに、「コンセンサス未達」を盾に想定外の下げをみせている銘柄については話が違う。そこは人間の相場観が生かせるフィールドである。

 そして、もう一つはAIが獲物の対象としていない中小型株に絞るという作戦。時価総額が小さくても出来高が大きく膨らむ人気株というのはその時々にいくつも存在するが、それらも含めて流動性に富んだ銘柄を極力避けるというのは一つの知恵だ。基本的に収益環境に追い風の強い銘柄を考えた場合、今の地合いでは半導体や5G、電気自動車(EV)あるいはDX周辺株で商機をつかんでいる銘柄が候補に挙げやすく、なおかつ目先決算発表が絡んでこないものが対象となる。半導体関連ではメモリーモジュールを手掛けるミナトホールディングス<6862.T>の500円手前の水準は押し目買い有利とみられる。また、5G関連では水晶デバイス専業大手で抜群の商品開発力を誇る大真空<6962.T>。株式4分割後の1000円近辺は買いに分がありそうだ。更にDX関連ではデジタルマーケティングで新境地を開拓しているクロス・マーケティンググループ<3675.T>などをマークしたい。

 あすのスケジュールでは、9月の失業率、9月の有効求人倍率、9月の鉱工業生産指数速報値、9月の住宅着工、10月の消費動向調査など。国内主要企業の決算発表ではレーザーテック<6920.T>、イビデン<4062.T>、デンソー<6902.T>、村田製作所<6981.T>、商船三井<9104.T>、ANAホールディングス<9202.T>などが注目される。海外では7~9月期仏GDP、7~9月期独GDP、7~9月期ユーロ圏GDP(いずれも速報値)、10月のユーロ圏消費者物価指数速報値、9月の米個人所得・個人消費支出、10月の米シカゴ購買部協会景気指数、10月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)など。米主要企業の決算発表ではシェブロン<CVX>、エクソンモービル<XOM>が予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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