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花の香りとともに春らしさを味わう—ふるさとをめぐる物語【Book】  4月09日17時04分

皆さんのふるさとはどのようなところですか?

自分が生まれ育った場所は、他のどの場所よりも親しみがあり、愛おしく感じられることだろう。大学生になって上京した人、大人になって親の実家を離れて暮らしている人…そんな人はふるさとに帰ったとき、懐かしさと愛おしさでいっぱいになるのではないか。(そう願いたいが、嫌な思い出ばかりでふるさとは嫌いという人もなかにはいるかもしれない…)

ちなみに、私は東京生まれ、東京育ちで、一度も引っ越しをしたことがない。だから、地方から上京してきた友人が、休日に実家に帰り、「やっぱり実家が一番落ち着く~」と話していたり、実家から美味しそうな特産品が送られてきた話をしていたりすると、なんかふるさとっていいなぁと思う。

一方で、東京生まれ、東京育ちの私だってふるさとはふるさとだ。長い旅行から帰ってきたとき、実家の近くを歩いているとき、やっぱりこの街が一番好きだなと思うし、これから先ほかの場所に住むことになったとしても、一番長く住んでいた場所を愛おしく感じるのだろうと思う。

彩瀬 まる著『桜の下で待っている』は、そんな“ふるさと”をテーマにした5つの短編集である。病院の付き添いとして祖母の家へ訪れた大学生を描く「モッコウバラのワンピース」、女性が婚約者の実家へ挨拶をしに向かう「からたち香る」、法事のため実家に帰り、姉の子供の付き添いを頼まれる「菜の花の家」、友達が死んで死が怖くなってしまった女の子が叔母の結婚式に向かう「ハクモクレンが砕けるとき」、新幹線の社内で接客をする販売員女性を描く「桜の下で待っている」。5つの物語が収録されている。

各作品のタイトルからして美しい。お気づきの方もいるかもしれないが、すべて花をモチーフにしているのだ。彩瀬さんのみずみずしく上品で美しい筆致。その表現とともに、やさしく胸に染みこんでくるような作品だ。

ふるさとといっても、始めに述べたような地理的な“場所”の意味だけではなくて、大切な誰かが待っていてくれる場所、誰かにとって心の拠り所になるような場所もふるさとといえる。自分を受け入れてくれて、「帰りたい」と思える場所、いわゆる“心”のふるさともふるさとなのだと感じた。

桜が咲く春の季節にぴったりなこの一冊。花をモチーフにしていることを含め、物語の内容も言葉では説明するのは難しいが、とにかく春らしい感じがするのだ。春うらら♪なこの季節には特におすすめしたい。本書を読めば、春のようにあたたかくやさしい気持ちになれることと思う。

(フィスコ 情報配信部 編集 細川 姫花)

『桜の下で待っている』(実業之日本社文庫)  彩瀬 まる 著 本体価格593円+税 実業之日本社




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