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ドル流出国日本【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】  2月22日13時46分

「「投資立国日本」の中身」(※1)では、日本企業が稼げなくなっていくのであれば、直接投資収益にも影響が及び、それは「投資立国」という姿にも影響を与えてしまうという可能性に触れた。ただ、日本の稼ぎ、収支に潜むリスクはそれにとどまるものではない。2020年の日本の貿易収支は黒字であったが、ドルが継続的に流出している点が気にかかる。

2018年6月の財務省ファイナンス「我が国の経常収支の構造変化:「貿易立国」から「投資立国」へ」では、「貿易決済に使われる通貨は、ドルと円が大部分を占め、ドルは輸入におけるシェアが輸出よりも高い一方、円決済は輸出におけるシェアが輸入よりも高い。このため、通貨別の収支を見るとドルの赤字と円の黒字が圧倒的に大きい。これは、貿易取引に起因する実際の為替取引はネットでドル買い・円売りであることを示唆する」と指摘された。

その後を見ても、状況に変わりはないようだ。関税局の「貿易取引通貨別比率」によると、2020年下期は日本からの輸出のうち米ドルの構成比は48.5%である一方、日本からの輸入のうち米ドルの構成比は64.8%であった。2020年の日本の輸出入に貿易取引通貨別比率を掛け合わせると、ドルの収入は33.2兆円、支払は43.9兆円と試算される。貿易収支は若干の黒字(6,700億円)であったにもかかわらず、ドルは10.7兆円の支払超であった計算となる。

世界的な金融環境は、強力な金融緩和によって安定しており、脆弱な新興国にも資金流入の動きが続いている。IIF(国際金融協会)によると、1月の新興国ポートフォリオ投資は535億ドルの資金流入と、前月から増加し、これで10ヵ月連続での資金流入となった。FRB(米連邦準備理事会)、欧州中央銀行、日銀を含む6中銀の通貨スワップ協定の存在によって、日本はFRBから無制限でドル供給を受けられるという立場にある。当面はドル不足というリスクは顕在化しなさそうであるが、コロナショックの際には日本もドル不足懸念に見舞われた。日本からドルが継続的に流出しているという構造は、頭のどこかで意識しておく必要があろう。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

※1:https://web.fisco.jp/platform/selected-news/fisco_scenario/0009330020210218004



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