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日経平均は3日ぶり反発、米CPIはシナリオ変化につながらず?  6月10日12時31分

[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28982.70;+121.90TOPIX;1960.60;+3.46

[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は3日ぶりに反発し、3ケタの上昇で前場を折り返した。ただ、前日までの下落を受けた自律反発の域を出ないだろう。底堅いとはいえ29000円近辺では伸び悩んでおり、日足チャートを見ると28000円台後半に位置する25日移動平均線と29000円台前半に位置する75日移動平均線の間でのもみ合いが続いている。気が付けばかれこれ3週間近くこの状況だ。個別ではエーザイの急反落が目を引くが、米長期金利の低下を追い風に主力グロース(成長)株の一角が堅調。需給ひっ迫の長期化が意識されてか、海運株も強い値動きを続けている。ただ、全体として物色の方向感が見出しづらい印象もある。ここまでの東証1部売買代金は1兆2000億円弱。新興市場ではマザーズ指数が4日続伸し、0.59%の上昇となっている。

 本日は欧州中央銀行(ECB)理事会と米5月CPI発表、それに明日は先物・オプション6月物の特別清算指数(SQ)算出と重要イベントが目白押しだ。特に米CPIは前回4月分の発表時に株式相場の急落を招いただけに、警戒する向きも多いのだろう。ただ、一部トレーダーからは「仮に市場予想を上回る強い数値が飛び出したとしても、相場は一時的に触れる程度で大きなシナリオ変化はないのでは」といった声が聞かれ、筆者もこの見方に同意したい。

 一昨日の当欄で指摘したとおり、日本株については国内勢・現物株投資家らの「強気派」と海外マクロ系投資家らの「弱気派」が真っ向対立している。ただ、コロナ禍からの経済回復はムラが大きい(=指標の振れも大きい)うえ、先行きに自信を持ちきれない投資家も多いとみられ、オプションの取引状況などを見ると強気派・弱気派とも一定のヘッジをかけていることが窺える。米5月雇用統計の発表を受けた週明けの取引でも日経平均が朝方高く始まったが、イベント通過に伴うヘッジ解消の動きが相場を一時的に上下に振ると考えられる。

 今回の米5月CPIを巡っては、確かに足元でも原油など一部商品の価格上昇が続いており、警戒感が根強く残るのかもしれない。しかし、4月分の急伸を見た後では多少強い数字が出てもサプライズ感に乏しくなりがちだ。それに一昨日の当欄でも述べたが、5月雇用統計では市場予想こそ下回ったが、雇用者数の伸びが前月に比べ加速。インフレ加速につながると目されていた労働需給のひっ迫は徐々に解消されつつあるとの見方から、「CPI上昇も一時的な供給制約によるもの」と割り切って捉える向きが多いのではないかと思われる。

 この背景には、「財政支出の一段の拡大は期待しづらい」ことと、それに伴ってかねて述べているとおり「経済改善のモメンタム(勢い)は既にピークを越えつつある」という見方もあるだろう。足元で続く期待インフレ指標の低下や長期金利の低下は、インフレ観測の後退とともに、金融政策当局への「緩和継続」の催促とも捉えられることができる。それだけに、本日のECB理事会、また来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は注目しておきたい。
(小林大純)


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