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【第2回】東京オリンピック開催決定により機械株はどう動き、今後をどう読み解くか

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 前回、東京オリンピックをきっかけに、積極的なインフラ整備に対する国民的コンセンサスが形成される可能性を指摘しました。そして、仮にそうなった場合には、首都圏の老朽化したインフラ更新や首都圏災害時に対応したBCP(事業継続計画)を目的とした地方都市のインフラ新設と更新が行われることも併せて想定しました。

 具体的にはどのような企業が恩恵を受けるのでしょうか。図表1では機械関連株で恩恵を受けそうな銘柄を取り上げました。

図表1:東京オリンピック・国土強靭化計画で恩恵をうけそうな機械関連株

 ここで一つ注意すべきは、日本は既にインフラ整備がされた国であり、未開発の土地を整備してインフラを整備する状況にはないという点です。新興国のように高速道路、鉄道、空港などインフラそのものが整備されていない国では、ショベルを活用し整地するところからはじめなければなりません。山を切り崩したり、土を掘り返したりする作業が必要だからです。したがって、開発の初期段階でよく利用される建設機械はショベルということになります。

 ところが、日本のように先進国でインフラを改めて整備する場合、つまり更新(リノベーション)の場合には事情が異なります。たとえば、競技場に屋根を設置する場合には、建設資材を高所に持ち上げるクレーンが必要となります。土地を掘り返さなくてもよいので建築物をはじめから作る時と比べるとショベルの出番は少なくなります。

 こうした背景を踏まえて、株式市場は機械株をどのようにみているのでしょうか。 図表2は、代表的な機械株5銘柄とTOPIXの2012年10月末から現在までの株価パフォーマンスを表したものです。加藤製作所はクレーン、小松製作所はショベル、ファナックは工作機械向けNC、キーエンスはセンサー、西尾レントオールは建機レンタルを主な事業としています。機械株は景気に敏感であるといっても、TOPIXのパフォーマンスを上回っているのは加藤製作所、西尾レントオール、キーエンのみで、小松製作所やファナックはTOPIXを下回っていることが分かります。景気に対しての期待があっても必ずしもすべての機械株がTOPIXを上回るパフォーマンスを示すわけではないのです。

図表2:機械関連株のパフォーマンス(2012年10月末=100)

 ここでは、株式市場は何を期待していて、何を期待していないのかを考えてみます。この背景を考えるにあたっては、日本株が急落した2013年5月23日以降の株価の動きをみるとよくわかります。急落という機会を活用して改めて投資家が何を期待し、何を買ったかが読み解けるからです。図表3からは、5月22日(急落の前日であり、TOPIXが年初来高値を付けた日)の株価を大きく上回っているのは加藤製作所、西尾レントオール、キーエンスだということが分かります。これらの銘柄に共通していることは何でしょうか。

図表3:機械関連株のパフォーマンス(2013年5月22日=100)

 TOPIXが5月22日の高値を抜けない中、同日の株価を大きく上回っている銘柄に共通するのは国内売上比率の高さです。株式市場は海外での機械の需要回復よりも国内での需要回復をより期待していると読み取ることができます。これまで機械の需要増を牽引してきた新興国の経済活動の減速が危惧される中、安倍政権の政策次第では国内の機械需要が強くなる可能性の方が高いとみているものと思われます。

図表4:機械株のパフォーマンスと国内売上比率

 株価パフォーマンスが好調だった銘柄はまだ上値を狙うことができるのでしょうか。景気敏感で損益の変動が激しい機械株のバリュエーションを継続的に見る上で、優れた指標であり、多くの機関投資家が活用しているPBRの推移から考えていきましょう。

 図表5で2000年1月以降の各銘柄のPBRの推移を見ると、5月22日以降パフォーマンスが好調だった加藤製作所や西尾レントオール、キーエンスのPBRがリーマンショック前までの水準に近づきつつありますが、まだリーマンショック前までの過熱感はないことがわかります。一方、ファナックはすでにリーマンショック前の水準にあり、小松製作所はリーマンショック前の水準には全く及びません。バリュエーションだけを考えるのであれば、小松製作所に注目したいところです。しかし、個人的には、安倍政権の期待もあり、国内のインフラ更新や設備投資による機械需要の強さを確認しながら、加藤製作所や西尾レントオール、キーエンスがリーマンショック前の水準を超える株価をつける可能性に注目していきたいと考えています。

図表5:機械関連株のPBR推移

執筆:株式会社ナビゲータープラットフォーム取締役 アナリスト兼Longine編集委員長

泉田 良輔(いずみだ りょうすけ)プロフィール

個人投資家向け投資アイデアサイト「Longine(ロンジン、http://www.longine.jp/)」編集委員長

慶應義塾大学商学部卒。日本生命保険、フィデリティ投信で日本株式の証券アナリストや外国株式のポートフォリオマネージャーとして従事。2013年に株式会社ナビゲータープラットフォームを設立し、Longine(ロンジン)を運営。著書に「日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか」(日本経済新聞出版社)

掲載日:2013年10月10日

 
   
    

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