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【第4回】東京オリンピック開催決定により電機セクターで恩恵を受ける企業を探る

 

 今回は、電機セクターについて考えます。ここ数年の日本の電機業界では、エルピーダメモリの倒産、シャープ、ソニー、パナソニックの大幅な業績の悪化など暗い話が続いていました。背景にあるのは、国際競争力の低下によるヒット商品の不在です。世界を席巻するような製品が今の電機メーカーには少ないことが問題です。

このことは、時価総額の推移にも表れています。図表1には1980年からの電機7社(日立東芝三菱電機NEC富士通ソニーパナソニックシャープ)と完成車メーカー8社(トヨタ日産ホンダスズキマツダ富士重工業三菱自動車ダイハツ)のそれぞれ合計の時価総額の推移を示しました。ここから明らかなように、2000年のシドニー五輪までは電機は自動車を上回っていましたが、アテネ以降は自動車に抜かれ、その差は拡大しています。

7年後の東京オリンピックに向けて電機株がどう動くのか。完成車メーカーとの差を埋めることができるのかは、大手電機メーカーが国際競争力を回復できるかを問うことになります。

図表1:大手電機メーカー及び完成車メーカーの時価総額推移(兆円)

最近の大手電機メーカーの中期計画では、「クロスバリューイノベーション」(パナソニック)、「ニューコンセプトイノベーション」(東芝)など、イノベーションを起こすための仕掛けとして、分散している経営資源をまとめ上げ、新たな価値を創造するという考え方を強調しています。赤字事業を整理する「引き算型」経営から、内部リソースの有効活用という「掛け算」経営への転換です。

興味深い変化ですが、こうした取り組みも薄型テレビ、スマホといったデジタル分野で稼ぐことができなくなったための苦し紛れの施策で、絵に描いた餅で終わってしまう可能性もあります。

とはいえ、スマホも、薄型テレビも高成長局面が終わったことや、東京オリンピックに向けて、環境先進国としてのエネルギー効率が高い都市、工場、家庭を再構築する機運が高まってきたことは、日本の大手電機メーカーには追い風になる可能性があると私は考えます。

例えば7年前にはスマホがここまで大きく成長すると予想できなかったように、2020年には、自動走行のクルマが実用化されているかもしれません。自動走行車は、交通事故を減らすだけではなく、渋滞を解消することで環境にも寄与するため、オリンピックに向けて取り組む価値のある技術であるためです。実現には自動車メーカーだけでは不可能で、電機メーカーの活躍の機会が増えると見られます。

オリンピックは7年後のイベントですが、開催される確実性の高いイベントです。2020年の社会や生活をイメージした技術開発が活発化する可能性が高いと見られます。

先ほどの自動走行も一例ですが、それ以外にも、次世代ハイビジョン技術(4Kテレビ)、次世代移動体通信技術(5G)など、これまでは、「いつかできたらいいな」という開発テーマが「2020年まで実用化を目指さなければいけない」テーマにかわります。このため、大手電機メーカーは、これまで抑制傾向にあった研究開発投資を増やす可能性が高いと見られます。

こうした新技術の寄与で大手電機メーカーが復活するかを、今から予想するのは困難ですが、研究開発に関連した中堅企業(例えばモバイル通信関連の計測器を製造するアンリツや、製造業の開発現場の効率化に寄与する3DCADメーカーの図研など)は早い段階から「オリンピック効果」を享受できる可能性があります。長期投資ではこうした切り口での銘柄選別も一つの可能であると私は考えます。

執筆:和泉美治 株式会社ナビゲータープラットフォーム調査部アナリスト

和泉 美治(いずみ よしはる)プロフィール

2013年に個人投資家向け投資アイデアサイト「Longine(ロンジン、http://www.longine.jp/)」 に参画。

英国バーミンガム大学にてMBA 取得。UBS証券、J.P.モルガンにて22年間、電機セクターを担当。

掲載日:2013年10月24日

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