株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

【第3回】アナリストレポートの選別の仕方

 

 今回は、アナリストはどのような役割を期待されているか、また、それを知ることで、個人投資家はアナリストオピニオンをどのように、理解し、消化すればよいのかについて述べたいと思います。

教科書的には証券アナリストの役割は、投資家と発行体(事業会社)の情報仲介役(ゲートキーパー)となります。公開情報に基づいて企業価値を算定し「買い」や「売り」の投資判断を投資家に伝えることが基本動作です。ところで、皆さんは、「効率的市場仮説」をご存じでしょうか。この仮説の下では、多種多様の投資家が参加している証券市場では、全ての情報が迅速かつ正確に株価に織り込まれるので、一部の特定の投資家がコンスタントに市場平均を上回るパフォーマンスを得るのは難しいといえます。この仮説に基づけば、証券アナリストがいくら努力しても、顧客に対して恒常的に高いパフォーマンスをもたらす情報提供はできないということになります。

このシリーズの第一回~二回では、証券会社のアナリストの多忙な生活の一端をお伝えしましたが、証券アナリストが日々切磋琢磨しているのは、市場平均をアウトパフォーマンスするための情報を提供することで顧客に貢献するためです。一見すると、効率的市場仮説とは相容れない結果を追求しようとしているとも言えます。しかし、証券アナリストが存在しなければ、実際には効率的な市場からはほど遠いものになってしまう現実も理解する必要があります。

個人投資家はアナリストオピニオンをいかに選別し、活用すべきでしょうか。私は、証券アナリストには、「パッション」と「ロジック」の両方が求められ、どちらかが欠けると役に立たない存在になると考えています。証券アナリストのレポートもロジックはあってもパッションが不足していると空しく、パッションがあってもロジックが欠けていれば投資家を説得するに至らないものとなってしまいます。

足元の業績が悪化している会社について、今が最悪期でこれから回復に向かう、あるいは、好決算を発表した企業について、今がピークという意見を独自の業績予想に基づいて意見表明することには勇気が必要ですが、パッションを持って企業に向き会ってきた証券アナリストは、真価を発揮できます。また、日々のマーケットには様々な雑音や時には大きなショックが起こりますが、そのなかでロジカルに議論を展開できるかが、アナリストの真骨頂です。もし、皆さんが証券アナリストのレポートを読まれて、パッションが感じられない、あるいは、ロジカルではないと感じられたら、それは、役立たずのレポートと判断してよろしいかと思います。

執筆:株式会社ナビゲータープラットフォーム 和泉 美治

和泉 美治(いずみ よしはる)氏

経歴
22年間、外資系証券会社に所属したセルサイドアナリストとして、電機セクターを担当。
現在は、個人投資家向け投資アイデアサイト「Longine(ロンジン、http://www.longine.jp/)」を運営するナビゲータプラットフォームに所属するアナリストとして電機、情報通信、機械セクターの企業を中心に調査レポートを執筆中。

掲載日:2013年12月5日
   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »