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アベノミクス相場の行方

「アベノミクスで株が上がり円が安くなった。」
これがわが国において過去8カ月ほどで起きたことです。(ザックリした言い方ですが。)

おかげで、
・手持ちの株の株価が上昇して儲かった。
・積年の塩漬け株がようやく換金できて余裕資金ができた。
・外貨建て資産が円安で儲かった。

というひとが多く出たでしょう。

しかし、そうでなかったひともいるかもしれません。

「アベノミクスで株が上がり円が安くなった。」
しかし、
・上げ相場に完全に乗り遅れた!
・自分の手持ち株はなぜか株価が上がらない。塩漬け株はそのまま。
・期待した新興国の株・投信が不振。
・アベノミクス相場いよいよ本格化と見て、5月23日の前場で株を思い切り買い増し。その後大暴落で投げた。
・予想PER500倍の株を買った。すぐに予想PER1000倍に上がった。しかしその後予想PER100倍に下がってしまった(というようなこと)。
などなど・・・

 上がろうが下がろうが、相場対処はいつでも難しいのですが、ここまでのアベノミクス相場についてみても適切な対処はそんなに簡単だったわけではなかったと思います。

 ひとつには、アベノミクス相場第一ラウンドにおける株価形成が今ひとつイビツで相場のボラティリティ(変動)が異常に高かった、ということ(投機資金が主導する相場だったようだということ)。さらには新興国の株価・為替相場が不安定になってしまっている、ということ。さらには、バイオ関連銘柄がバブル化とバブル崩壊を短時間で演じる、とか、日経225先物主導で乱高下する(よく言う、犬の尻尾が胴体を振り回す)といった相場で、思いどおりの成果をあげるのはなかなか骨の折れる仕事だったと言えますね。

 アベノミクス相場の第一ラウンドは終了した、として、さてこの先をどう想定するか、ということになりますが、相場の常でこれもまた難しい話です。

日本の将来は、どう見ても問題山積です。
・少子高齢化(財政赤字の深刻化)
・膨大な公的債務(長期金利急騰のリスク)
・製造業における国際競争力の低下(日本企業存在基盤の危機)

この条件で日本株の長期上昇相場を信じろと言っても無理というものです。

 国の政策にとって株価の上昇が最優先課題などということはあるはずもありませんが、株価が継続的に上昇するような経済状態を保ち続けることがおそらく多くの国民にとって好ましいであろう、という見方はそんなに間違っていないでしょう。(全く違う意見を持っている人が多数いても私は驚きませんが。)

 そのためには「市場メカニズムをうまく使う」ことがもっとも効果的であるという意見があれば、私はその意見に賛成です。それから、ミクロで見ますと企業業績の向上⇒株価の上昇、となる理屈ですから、日本企業の収益向上が見込めるようになるかどうか?が重要です。この点については、日本企業の収益向上の鍵はコーポレート・ガバナンスにある、というのが私の見方です。

 参院選に勝利して、秋以降の安倍政権がこうした「経済成長・企業収益向上」政策を推進できそうかどうか?がアベノミクス相場の将来を決めることになるだろうと思います。(市場メカニズムは必然的に格差をもたらしますから、市場メカニズムの活用と言いましても副作用対策は当然必要ですが。)

 現実にありそうな展開は、この夏場はアベノミクス第二ラウンドの上昇といった多少強気の相場を示現するものの、秋には毎年恒例とも言うべき世界的な反落局面があって、その後にどの位の回復⇒上昇相場を想定できるか?といったところでしょうか。(数カ月スパンで見て、中国の金融危機懸念、欧州の債務問題再燃懸念、アメリカの金融緩和からの離脱の影響、等々楽観できない材料が目白押しですから。)

 その時にアベノミクスに信任がありそうかどうか?市場メカニズム活用とコーポレート・ガバナンス向上がその時のキーワードになりそうに思いますね。

松下 律(マツシタ リツ)プロフィール
過去コラム一覧

松下 律

証券アナリスト、社団法人日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

1976年慶應義塾大学工学部大学院修士課程修了
大学院修了後国内証券会社入社、証券アナリスト。その後国内投信委託会社、外資系信託銀行、外資系投信投資顧問会社で長年にわたりファンドマネジャー。
2000年以降は独立証券アナリストとして活動。インターネットを通じて個人投資家向けの情報発信している。

掲載日:2013年7月17日

 
    

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