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夏枯れせず?!

ここの所、外国為替相場では波乱の展開が続いている。

昨年の衆議院議員選挙での自民党の大勝で発足した第二次安倍政権による経済対策、いわゆる「アベノミクス」を歓迎して、ドル円やクロス円通貨が大きく上昇してきた相場は、日銀の黒田新総裁就任直後の金融政策決定会合での"黒田バズーガ砲"と呼ばれる「異次元緩和」でそのクライマックスを迎え、その後は本邦長期国債相場の波乱、日経平均の急落、中国への懸念などを材料に混乱の相場へとその姿を変えた。その結果、為替市場は株式市場の動静を手掛かりとした波乱相場が続いたのは、皆さんも記憶に新しいだろう。

そして、市場がその次に関心を示した米国の金融政策の行方は、先の(6月19日の)FOMCにおいてバーナンキ議長が記者会見で「雇用情勢の改善」を強調し、その後のテーパリング(先細りの意味で、最近の金融市場では流動性供給の段階的解除の事を指す)に言及し、これが米国の金利先高観につながって、市場は安定を取り戻して再びドル買いと円売りを始めるに至った。?

ところが、先日(7月10日:日本時間11日早朝)「中央銀行の100年」と題して行われた講演において、バーナンキFRB議長はこの雇用情勢に対し「失業率は雇用情勢を誇張している可能性がある。」として、当面の緩和継続を示唆した。?

「舌の根も乾かぬうちに・・」とはこういう事で、市場はこの発言にたいそう驚いて一気にドル売りの流れが強まり、5月31日以来となる101円台まで値を戻していたドル円は、11日の早朝に98円台前半まで急落、ユーロドルに至っては1.28台後半から1.32台まで急騰する始末で、大波乱を演じることとなった。この結果、市場は米国の金融政策の先行きに対して疑心暗鬼の状態となり、これが今後の相場展開が波乱含みとなる事を予感させる下地を作ってしまった。

なぜ、バーナンキFRB議長が短い時間の間に"心変わり"してしまったかについては、様々な憶測があるようだが、実は筆者も今回の「雇用数字」に関しては強い疑問と言うか違和感を感じていたのも事実である。

と言うのは、先のFOMC後になる7月1日に発表された6月の米ISM製造業景況感指数において、構成数字の中の雇用指数は5月の50.1から48.7に急落していたので、6月の雇用統計の数字は大きく好転することは無いと考えていたからだ。確かに、その2日後の7月3日に発表された非製造業部門のISM景況感指数における雇用指数は、5月の50.1から54.7へと大幅に改善している結果となっていたので、製造業部門の悪化を非製造業部門がカバーしたと考えれば納得がいきそうである。

しかし、製造業部門の雇用情勢の悪化は労働生産性の低下につながり、ひいては米国経済の底力低下につながるので、表面数字だけ見ていてもその実態を正確にはつかめないという点があるのも事実で、じつはこれが先の雇用統計の数字と実体経済との齟齬を感じる部分となり違和感に繋がったのだ。

勝手ながら解釈すると、もしかしたらバーナンキFRB議長もFOMC後に発表された数字を見て、筆者と同じような感覚を持ったのかもしれない。

こうなると、市場は今後のバーナンキFRB議長の発言に過敏になり、神経質にそれに反応するなど思惑が交錯するために、今後の相場は大きく振れる波乱が続くと考えられるのだ。どのように動くかは「神のみぞ知る」なのだが、いちトレーダーとしては相場が動いてくれると、その分収益チャンスが増えるので大歓迎なのだが・・・・

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鈴木 隆一(すずき りゅういち)氏プロフィール

鈴木 隆一

1965年 生まれ 立教大学理学部物理学科卒

1990年? 大和證券株式会社に入社、支店営業を経た後為替ディーラー業務に従事。証券売買に付随する為替取引のカバーや自己資金の為替運用のほか、為替オプション・外債・金利先物・金利スワップ等、あらゆる金融商品を駆使して運用を行う。大和証券分社時には、為替部門の立上げを行ったのちチーフディーラーに就任。

2000年? 同社を退社。退社後は、投資教育会社やFX業者数社の立上に参加、その後独立してプライベートファンド運用・為替情報提供会社である株式会社ワムを設立、代表取締役に就任。

その他、テクニカル分析およびシステムトレードの技術開発および情報配信に特化した有限会社ガンパウダーの代表取締役も勤め、2006年には同社の株式会社化とともに株式会社ワムを完全子会社化し、以降は外国為替の総合情報サービスを行いながら全国で投資家育成教育を行っている。

掲載日:2013年7月18日

 
    

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