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土地の値段は底打ち?夫婦間での不動産贈与が今、お得な訳

資産運用の場面では、税の問題は絶えずついて回りますが、ふだんの生活では、なかなか税金とは接しにくいものです。

一方、日頃会社の財務について税理士さんや会計士さんと接している社長さんでさえ、個人資産や、場合によっては会社資産の運用の税務について、聞きあぐねている姿を散見します。日本の税制、とくに資産に関する税制は、重税であるにもかかわらず、改正が連年転変と著しく特例が輻輳(ふくそう)し、複雑怪奇の伏魔殿です。知ってる人だけが得をするという現実では、うっかり踏み外してはたいへんです。

そこで、このコラムでは、なるべくわかりやすく、税務の現場の相談事例を取り上げて、「ふだん」の言葉に翻訳して、読者の皆様がぶつかっている問題の解決や、将来起こりうることの参考にしていただこうと思い立ちました。

そしてご自身の「税務リテラシー」を培って、有利に、主導権をもってご自身の資産を守り殖やしていただきたいと思います。

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相談:

「アベノミクスと言われ、株価が上がり、最近では路線価は底打ちと新聞で発表されていました。かねてより妻から、結婚20年の配偶者への住宅の贈与をせがまれていましたが、地価はまだ下がるとして延ばしてきました。底を打ったという今、実行したほうがいいでしょうか。」

回答: 

「ご質問のように路線価は平成24年以前の不動産取引を反映して底値状態にあります。贈与を実行なさってもいいのではないでしょうか。ただし、贈与の方法に注意して有利に進めてください。」

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ポイント1 【平成25年路線価は底打ち】

相続税路線価は、その路線に面する土地の1㎡あたり価格をいいます。相続税や贈与税の課税の対象となる財産評価の基礎になるだけでなく企業会計上の土地の時価や減損評価などで多用されています。

平成25年相続税路線価が7月1日に公表されました。

図は日本の最高路線価である銀座鳩居堂前の路線価の推移です。全国の土地がこれと同様とはいえませんが、ここにあるように、昭和バブル崩壊後の路線価は平成9年に底を打ち、その後平成20年のミニバブル、そしてリーマンショック後の低迷状況にありました。

平成26年4月の消費税増税後は一段下落が予想されますが、アベノミクス後、消費税増税前の平成26年1月1日の公示価格や路線価が高くなる可能性がある、つまり、平成25年路線価は、底打ち価格といえるのです。

ポイント2 【配偶者へのマイホーム贈与特例】

婚姻20年以上の夫婦が既に住んでいるマイホームを贈与、またはマイホーム資金を贈与した場合、贈与税の年間非課税110万円のほかに、2千万円まで非課税とできるのが、贈与税の配偶者控除特例です。同一の夫婦間では、一生に1回だけしかできませんから、なるべくなら評価額が低いときに実行すれば、より多くの土地建物を贈与することができます。

このメリットは2つ。

①贈与によって共有となったマイホームを将来売却する際に、マイホームの譲渡益の3千万円非課税特例や買換特例が、夫婦でダブルで使える、②贈与する配偶者の将来の相続の際に、贈与分は相続税課税対象とならないことです。 

このマイホーム贈与の合計2,110万円までというのは、土地は相続税路線価、建物は固定資産税評価額で計算します。例えば、土地5千万円、建物評価200万円のマイホームの場合、2/5の持分を贈与すれば、贈与は2,080万円。贈与税は非課税となります。仮に2,110万円を越えても、2,310万円までは越えた額×10%の贈与税ですから、負担は多くないでしょう。これで贈与した人の将来相続税率が仮に50%なら、相続税が1,055万円軽減されるわけです。

注意すべきは、贈与税は非課税でも、贈与を受ける人に、登録免許税や不動産取得税がかかり、また特例適用は翌年3月15日までに贈与税申告が必要ですから、専門家に依頼する場合は、その報酬もかかります。なるべく土地と建物の持分割合を同じにして土地建物セットで贈与すれば、自己居住用としてこれらの税金が軽減されます。中には、これらの諸費用を、贈与の前年の110万円の非課税の範囲内でご主人からもらってしまうというちゃっかり奥様もいます。

よくご夫婦で話合って決めてください。

そうしてこそ、ご夫婦贈与の意味が生きてくるというものです。

飯塚 美幸(いいづか みゆき)プロフィール
過去コラム一覧

飯塚 美幸

税理士・中小企業診断士
静岡大学人文学部卒業、
平成7年 飯塚美幸税理士事務所開業、
平成25年 松木飯塚税理士法人設立、現職
事業承継協議会会員、千代田区議会政務調査諮問委員
不動産コンサルティング登録技能士試験委員、日本税務会計学会委員

掲載日:2013年7月23日

 
    

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