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「FRB議長を巡るアノマリー」

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FRB(連邦準備制度理事会)議長には奇妙なアノマリー(合理的説明はつかないものの、よく当たる経験則)がある。

それは長期政権を維持したFRB議長が退任した後には、金融経済を揺るがす重大な出来事(結果的にはドル安につながることが多い)が起こるというものだ。長期政権というとどの程度をさすのか?私に言わせると8年以上ということになる。戦後の議長をみると第9代FRB議長のウィリアム・マーチンと第13代のアラン・グリーンスパンの2人が18年を超える長期政権となっている。

まずマーチン議長の後を受けたアーサー・バーンズ議長(1970年2月1日~1978年1月31日)の時代には、「ニクソン・ショック」という通貨制度の変更をともなう大転換が発生し世界は大混乱に陥った。金とドルの交換を放棄することは、大幅なドルの切り下げを意味したが、その後インフレ率の高騰をもたらした。インフレの中で金融政策に悪戦苦闘しながらなんとか2期8年の任期期間を終えた後を引き継いだのはウィリアム・ミラー議長だった。ところが前任者の時代から続くインフレにドル安の加速まで加わり米国はドルの買い支えに回ることになる。とはいえ基軸通貨発行国ゆえに、ドルを買うために売るべき外国通貨がない。そこで為替防衛の介入資金の調達のための債券まで発行したほどだった。時の大統領の名前を取って「カーター・ボンド」と呼ばれる。ウィリアム・ミラー時代はわずか1年8カ月で終了した。

任期が18年超となったアラン・グリースパン議長(1987年8月11日~2006年1月31日)だが、自身も8年を経たポール・ボルカー議長の後を引き継いだ直後の1987年10月19日にNYダウが1日で22.6%も暴落する(ブラック・マンデー)という事態に見舞われることになった。これを利下げと資金供給で乗り切ったグリーンスパン時代は、90年代初めの「貯蓄組合(S&L)の大量破たん」や21世紀に入ったところで起きた「ITバブルの崩壊」を代表に何度かの危機を同様の手口で乗り越えた経緯がある。繰り返された通貨供給は結果的に史上最大のバブルを作ってしまうことになった。

その長期政権のグリーンスパン議長の受け継いだベン・バーナンキ現議長だが、こうしたアノマリーに則り何か危機的なことが起きるのではないかとされていた。結果的には世界を揺るがす住宅および付随する金融バブルが崩壊し、その修復のために史上空前の通貨供給が行われ、それはなお進行形となっている。次の議長候補にはイエレン副議長、サマーズ元財務長官、コーン前FRB副議長などの名前があがっているが、誰が指名そして承認されようが大きな混乱は避けられないというのが、このアノマリーということになる。言うまでもなく今回は出口戦略にともなった混乱ということになろう。

亀井 幸一郎(かめい こういちろう)プロフィール
過去コラム一覧

亀井 幸一郎

生活設計塾クルー取締役
マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表取締役
金融・貴金属アナリスト

中央大学法学部卒業。
山一証券に8年間勤務後、日本初のFP会社で投資顧問会社マネー・マネジメント・インスティチュー
ト(MMI)入社。
1992年世界的な金の広報・調査機関ワールド ゴールド カウンシル(WGC/本部ロンドン)入社。
企画調査部長として経済調査、金市場のマーケット分析に従事。1998年独立し分析、評論活動に入る。
2002年マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表取締役。

「史観と俯瞰」をモットーに金融市場から商品市場、国際情勢まで幅広くウォッチしている。日経C
NBCテレビ「デリバティブ・ワールド」、ラジオNIKKEI「マーケット・トレンド」など数々のメディ
アでの市場分析のほか、住友金属鉱山サイトでは金市場を軸にした金融経済分析と市況解説を、投資
情報誌ネット・マネーにて「亀井幸一郎の金市場の風」、日本証券新聞コラムなど定期寄稿中。

ブログ 『亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」』


掲載日:2013年8月8日

 
 
    

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