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NISA(少額投資非課税制度)で得するのは誰?

NISA(ニーサ)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

NISAとは、来年から始まる少額投資非課税制度で、毎年元本100万円までの投資が対象になります。これから投資を始めようとする人で年間の投資金額が100万円までの人は、絶対に使った方が良い制度です。これから毎月3万円、5万円といった金額で積立をしていくきっかけにするには、最適な仕組みです。

しかし、私自身はNISAの口座を開設するつもりは今のところありません。メリットとデメリットを比較すると、既に投資を始めている人にとっては、必ずしも活用すべき制度とは思えないからです。最大の問題は、NISAで投資をした場合、利益に対しては非課税になるメリットはあっても、損失が発生した場合、一般口座や特定口座などの課税口座との損益通算ができないことです。かりやすくするために、単純な例で考えてみましょう。例えば、200万円の金融資産を100万円をNISAで、100万円を課税口座で、運用したとします。すると、次の4つのケースが考えられます。

ケース1 どちらも値上がり(どちらも課税)

例えば、NISAが120万円になって、課税口座も120万円
この場合は、NISAは非課税、課税口座の利益20万円に4万円課税です

ケース2 どちらも値下がり(どちらも課税なし)

例えば、NISAが80万円になって、課税口座も80万円
この場合はどちらも課税なしです

ケース3 NISAは値上がり、課税口座は値下がり(NISAは非課税、課税口座は課税)

例えば、NISAが120万円になって、課税口座は80万円
この場合はNISAは非課税、課税口座は課税なし

ケース4 NISAは値下がり、課税口座は値上がり(NISAは非課税、課税口座は課税、)

例えば、NISAが80万円、課税口座が120万円
この場合は課税口座の利益20万円に4万円課税です


実際の税率には端数が付きます

このように考えると、ケース1、ケース3ではNISAのメリットがありますが、ケース4では逆にデメリットが発生することがわかります。ケース4でNISAを使わないで、200万円がすべて課税口座のままだったら、トータルの値上がりはゼロで課税されず、税制上NISAを使わない方が有利になるからです。ケース4にならないようにするため、儲かる投資はNISA、儲からない投資は課税口座と使い分けられればベストですが、それがわかれば、そもそも投資で損することはありません(笑)。

このように考えていくと、NISA口座を開設すべきかどうかは、これから投資はじめる人、すでに投資をしている人で、次のように整理できます。

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1.これから投資を始める人で、年間の投資額が100万円までの人は絶対に開設すべき(ただしNISA口座はマネックス証券のような、低コスト運用ができるネット証券で)

2.既に投資をしている人は、上記のメリット・デメリットを比較し、手間をかけて開設する価値があると判断したら活用すべき

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最近、このNISAの広告を良く見かけます。新聞やテレビで金融機関が積極的に広告しているからです。また、マネー誌や増刊ムック、そして書籍などNISAをテーマにした出版物も金融機関からの広告をあてにして、大量に出版されています。業界は「NISA祭り」のような騒ぎになっていますが、個人投資家は踊らされることなく、冷静に考えましょう。

むしろ注意すべきなのは、来年からの税率の変更による影響です。株式、投資信託などの年内の売却は、利益に対して10%課税ですが、来年以降は売却すると20%課税になります。これに気がついた個人投資家が年末にかけて益出し取引に殺到して、株式市場が下落しないか。そちらの方が個人的には心配です。


内藤 忍(ないとう しのぶ)プロフィール


株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長

一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事

1964年生まれ。
1982年 東京大学文科2類に入学。1986年、東京大学経済学部卒。大学卒業後、住友信託銀行に入社。東京中央支店に配属。2年目から資金為替部で為替ディーリング業務を担当。
1989年 社内留学生制度で、MITスローン・スクール・オブ・マネジメントで留学。MBA取得。帰国後、市場金融部、企画部、総合資金部で資産運用業務を担当。
1997年 住友信託銀行を退社。英系資産運用会社のシュローダー投信投資顧問株式会社に入社。ファンドマネージャーとして債券とグローバル・アセット・アロケーションを担当。
1999年 株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)に入社。商品開発、資産設計などを担当。
2004年 個人向け投資商品企画・運営会社であるマネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役に就任。
2005年 株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長に就任。
2011年 クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクター
2013年 株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。

     ? 一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任

主な著書に、シリーズ12万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ(自由国民社)、「60歳までに1億円つくる術」(幻冬舎)、「「好き」を極める仕事術」(講談社)、「丸の内朝大学マネーの教科書」(朝日新聞出版)、「内藤忍の投資手帳」(ディスカヴァー21)など多数。
最新刊「貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい!」(ディスカヴァー21)が2013年8月に発売。
公益社団法人日本証券業協会証券検定会員。?


掲載日:2013年9月17

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