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大切なことはすべて経営者から学んだ

「100本かけてみたの?」

電話をかけても門前払いでうまくいかないと落ち込んでいる営業スタッフに、社長が一言そうおっしゃいました。これは、とあるクライアントで見た光景。ただし、守秘義務がありますので、多少、脚色しています。

弊社のクライアントはベンチャー企業ばかり。当時、創業数年だったその企業の名前を知っている人など、日本に何人いたでしょうか。その状況で営業電話をかけたところで、ほとんど無視されるのがオチ。相手にされないのが「当たり前」なのです。社長はそれをスタッフに伝えたかったのです。

考えてもみてください。たとえ有名な企業であっても、そんなにすんなりと営業電話を受け入れてもらえるでしょうか。新人営業マンの電話など「うちは結構です」と即座に断られてしまうことでしょう。ましてや、聞いたこともないような企業からの電話です。無視されて当然と思うくらいでちょうどいいのです。

ちなみに、これは弊社の若いスタッフにも良く伝えていることです。弊社は、メインとなる仕事を他に持っている公認会計士が集まっているコンサルティング会社。プロジェクトごとにチームを組んで対応にしていますが、監査法人を辞めたばかりの会計士をクライアントに連れていくと、ほとんど相手にしてもらえないという経験をすることがあります。ありがたいことに、公認会計士というだけで、資格がない場合と比べるとずいぶんまともに相手をしてもらえていると感じますが、会社名もわからない初めての相手に対して、簡単に会話をしてくれるはずもないのです。

みんな、そんなに暇ではありません。

回数を重ね、コミュニケーションを重ね、仕事の成果を出して初めて関係を作り上げることができるのです。そして、それこそが、ベンチャー企業で働く者や組織から独立して働く者の醍醐味でもあるのです。

 

無視されるのが当たり前と思うくらいでちょうどいい。

落ち込むのは、電話100本かけてみてからでいい。

この社長の言葉を聞いた当時、私はたぶん26歳。

自分の年齢の記憶は定かではありませんが(笑)、光景は今でもはっきりと覚えています。

 

ところで、断られるのが当たり前の営業電話を、どうしてかけ続けるのでしょうか。

いくつかの理由が考えられます。まず、どこかにそのサービスを必要としている人がいて、その人にヒットすることがあるから。また、電話をしてみることで、売り込もうとしているサービスの良い点や悪い点がわかるなど、いわゆるマーケティング的な効果があるから。でも、何よりも、何事もある程度、量をこなさないと身につけられないことが多いからなのだと思います。

上手な文章を書くためには、上手な文章の書き方を本で勉強することも無駄ではありませんが、やっぱり、たくさん書いて、たくさん読んでもらうことが遠回りなようで一番の王道だと思います。コミュニケーションも同じ。コミュニケーションの方法といった書籍を読んでみることも無駄ではありませんが、とにかくたくさんのコミュニケーションをとってみる。その中で、磨かれて行くのだと思います。

「1本の電話でヒットする方法」みたいな本を読む前に、社長の言うとおり、100本電話をかけてみたら、きっと何か見えることがあるのではないでしょうか。

・・・・・これはもしかして、体育会的で時代遅れな発想?

でも、当時、売上高が数千万円だったその企業。現在は売上高が10億円を超える企業に成長しています。その企業を率いている社長の言葉ですから、信じてみる価値はあると思います。

 

平林 亮子(ひらばやし りょうこ)プロフィール
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公認会計士。中小ベンチャー企業をサポートする公認会計士集団アールパートナーズ代表。

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。大学3年次在学中に公認会計士試験合格。太田昭和監査法人(現新日本有限責任監査法人)にて国内企業の監査に多数携わった後2000年に25歳で独立。現在にいたる。

企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。コンサルティング業務のかたわら、テレビ朝日『モーニングバード!』のレギュラーコメンテーター(2011年)、ラジオNIKKEI『平林亮子と岸田恵美子のちょっぴりおとなのマネー&マネー』のメインパーソナリティー(2013年)を務めるなど、マスコミでも活躍。さらに中央大学商学部客員講師(2010年度)、上場企業等の社内研修講師、中小企業総合展(中小企業基盤整備機構主催)特別講演講師を務めるなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。

決算書を楽しもう』(ダイヤモンド社)、『お金が貯まる5つの習慣』『相続はおそろしい』(幻冬舎新書)『レシートで人生を変える7つの手順』(幻冬舎)など、著書は40冊を超える。

 

アールパートナーズ
http://www.r-cpa.co.jp

平林亮子の酸素派人間のススメ!
http://www.hirabayashi-cpa.com


掲載日:2013年9月3日

 
    

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