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『江戸のおもしろさ 現代のお金習慣ができた時代』

無くて七癖。自分には癖はないと思いがちですが、人からみれば七つ、つまり本人に気付かない癖が多くあるということわざです。お金に関しての考え方や習慣は、自分たちが気付かないものや思い込み、迷信に近いものもあります。そして、お金に関しての習慣は、最も保守的な部分に属し、表向きは変わったようでも、実際にはそんなに変わっていないのではないでしょうか。その根源は日本では江戸時代にあるのではないかと思います。

なじみのある漫画の主人公やコミックのヒーローから、このあたりを考えてみましょう。

まず、日本の事例としてジョージ秋山の漫画で「浮世雲」。渡哲也、ビートたけし、それぞれが主演でテレビドラマになっている原作で、ご存知の方は多いでしょう。幕末の時代設定で、主人公である雲(くも)のお金に対して態度は、淡白、こだわりがほとんどない態度です。関心事は他にあり、そして隠された才能がすごく、まさに漫画的な活躍があるわけです。お金に対して「きれい」、「きたない」という区分では、明らかに「きれい」ことに価値があると読めます。日本人のお金に対する上品さというのは、世界でも稀なもので誇れる資質だと思います。

このような凄い才能と実力を持ちながら、お金に無関心な、現代の日本でもヒーローのような人物が江戸時代に実存していました。「葛飾北斎」です。当然、現役時代には人気がありましたが、明治という無骨で田舎者の時代に忘れ去られてしまいます。そのため上質な北斎を見ようとするとアメリカからの里帰りという情けない状況になってしまっています。この冬、ボストン美術館から北斎が帰ってくるのですが、その保存状態の良さには目を見張るものがあります。話が逸れてしまいましたが、是非ご一覧を。

次に、アメリカのコミックヒーローは、相当なお金持ちで、自分なりの正義感を持ち、単独主義というところに特徴があると思います。バットマン、アイアンマンというところでしょうか。この特徴、どことなくアメリカ外交の本質のようにも見えてくるのですが、やはり、お金に話を戻しましょう。前提として、お金持ちと、そうでない、品のない言い方になりますが貧乏(ビンボー)という区分が前提となっています。コミックヒーローは絶対にビンボーな層に属してはいけないようです。お金のある層が社会をリードしていくという近代現代的な考えですが、イギリスが発祥の地だと思います。その時代の雰囲気を表すのに、言葉では限界がありますが、絵画ではいくつかのコレクションを見ればなんとなく理解できるというのも不思議なものです。代表的なのが「ターナー」です。イギリスのターナーと言ってもピンとこない方がいらっしゃるかもしれませんが、本国では国民的な画家と言われています。ターナーも、実はこの秋から冬にかけて日本で見ることができます。ロンドンのテート・ブリテン美術館にあるターナー・コレクションが日本にやってくるのです。

北斎とターナー、この2人は同じ時代に生きています。北斎の生まれは1760年、ターナーは1775年です。北斎は幕末・明治維新を見ずに江戸人としての生涯を1849年に閉じます。ターナーは1850年ロンドンで開かれた第1回世界博覧会翌年に亡くなり、パックス・ブリタニーカ、覇権国イギリスへの「坂の上の雲」、その坂の上に差し掛かろうとする時代を生きたのです。

時代はイギリスの方が先行したかもしれませんが、まさに近代の入り口で、現代のお金に対する習慣や生活態度などが決定づけられた時代ではないかと思います。

ところで、二人とも早くから画業の才能を認められ、北斎は70年以上、ターナーも60年以上にわたって、現役を続けます。現代に通じる天職という言葉が生まれた時代でもあったのかもしれません。そして、北斎とターナーにはいくつかの共通点があると思います。旅journeyの持つ意味、新たな時代の宗教性、そして印象派への影響です。

紙数が尽きてしまいましたが。続きは機会があればということで、ご容赦、ご容赦。


井戸 美枝(いど みえ)プロフィール
過去コラム一覧


CFP®、社会保険労務士。
社会保障審議会 企業年金部会委員

生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とし、経済エッセイストとして活動。人生の神髄はシンプルライフにあると信じる。

著書
世界一やさしい年金の本』(東洋経済新報社)『お金が貯まる人と、なぜか貯まらない人の習慣』(明日香出版社)など多数。


井戸 美枝ホームページ

掲載日:2013年9月14日

 
    

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