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現役経営者が何を思い、何を気を付けているか(その3)

戦争や企業競争などでは、独裁者の国やワンマン企業が最初に有利に展開します。

トップからの命令伝達は迅速かつ的確で、徹底してそれが実行されます。しかし、前半戦で勝ちきってしまわないと中長期的には形勢が逆転する場合が多いです。それは、独裁者が有能であればあるほど下の人達が考えることをやめておべっか体質の縦社会になり腐敗するからです。みんなが自分の頭で判断し、考える体質であれば、組織は強固になります。どうすればそんな会社を作れるのでしょうか。そんな課題に悩みながら私が日々考えていることを引き続いてご紹介しましょう。

【ポイント7】社長の仕事は社風づくり

3人でベンチャー企業を立ち上げてから18年経ちました。最初は自社製品の企画と政策、それを販売するマーケティングやセールス、アライアンス、社員の採用と育成などあらゆることをやっていました。10年くらい経ってそれぞれの仕事に任せられる責任者が配置できるようになると、ふと社長の仕事はなんだろうと思います。そして、私なりに出した結論は、「社長の仕事は良い社風作り」というものです。

学生の頃から不思議に感じていたのが、伝統的に強いクラブの謎です。特待生で一流選手を集めた場合は特別ですが、同じように初心者からはじめたケースでもしばらくすると成長に差が出てきます。指導者にしっかりした人がいるということもあるのでしょうが、強いクラブには自然と強くなるなにかがあるのだと思います。

以前、ある会社でプロジェクト管理の講演を行いました。数十名もの方々が参加したのですが、午後の眠い時間帯なのに2時間もの間、誰一人眠そうにせず熱心にお話を聞いていただいて感激しました。同じようなシチュエーションで、たいていは何人か眠ったりするのですが、こういうことを大事にする良い社風なのでしょう。

私が当社で目指す社風は、「社員全員が一流の技術者」という社是や「風通し良く、相互尊重あふれる職場環境」という経営方針などに明文化しています。目指す社風を思い描き、それを明確にして、何度も繰り返して社員に伝える。そんな繰り返しの中から少しずつ目指す社風に近づくのだと信じています。

【ポイント8】ロバスト性を高めるには

近年はいろいろな工業製品においてロバスト性が重要視されています。人間に当てはめると、「打たれ強さ」とか「困難を乗り越える強さ」でしょうか。仕事にはさまざまなトラブルや挫折、失敗、試練、不条理がつきものですが、同じような困難な状況に出遭った人でも、いちいちつまずいている人と小石のようにひょいひょいと飛び越えて行く人がいます。特にIT業界はプレッシャーや過労働から心の病になる人が多いのですが、そういう職場環境にしないのはもちろん、一人一人のロバスト性を高めるということも大事だと思っています。

じゃあ、どうすればロバスト力を付けられるだろうか。そんなことも考えてみました。人間の場合は工業製品と違って後天的要素が重要です。通常、いくつもの困難を乗り越えて、より頑強になってゆくものなのですが、あることを意識するかどうかで到達できる頑強さに差がでます。私の考えるそれは「言い訳はしない」「人のせいにしない」ということです。いろいろなことを自分自身の課題として対面してゆく姿勢、その行く先にロバストが待っているのだと思います。

企業にも当てはめてみましょう。「景気変動に強い」とか「為替変動に強い」、『時代の変化に強い』などでしょうか。上記の意識で言えば、経営者が「景気のせい」「政治のせい」にしているようではロバスト性の強い会社を作れないということですね。

【ポイント9】自らチャレンジしていない経営者はチャレンジを口にするなかれ

テニスのコーナーに来たボールの不思議、感じたことありますか。無理かなって思いながらも必死に追いつこうと走るとぎりぎり拾えたりするのに、最初からあきらめると到底無理だったと思うような先にボールが落ちています。チャレンジするかギブアップするか一瞬の判断でこんなにも結果の差が大きいのです。トライしない人は、その結果を見て「ほうら、だから最初から無理だって言ったのに」などと訳知り顔をするのですが、可能性を信じてトライした者にだけチャンスがつかめるのです。

「結果を恐れずチャレンジしよう」「失敗は挑戦したものにしかできない」。これらの言葉は経営者も社員もよく口にしますし、誰しも好きな言葉です。しかし、実際にはいざという時にやらない理由を並べ立てる人が実に多い。チャレンジして失敗するリスクを考えるのでしょうが、決断すべき時に理由を付けて先延ばしにするリスクの方が大きいこともままあります。 何も挑戦しないで、悪くなったら政府や不況のせいにする経営者にだけはなりたくないものです。

では、どうすれば口だけにならないでしょうか。大事なのは自己チェックです。この一年何をチャレンジしたかを洗い出してみましょう。さっぱり項目が上がってこないようでしたら、いくら口先でチャレンジを唱えても、そんな社風になるわけがないのです。

梅田 弘之(うめだ ひろゆき)プロフィール
過去コラム一覧

 

株式会社システムインテグレータ(証券コード:3626) 代表取締役 社長

1957年新潟県生まれ。新潟高校、静岡大学出身。株式会社東京芝浦電気(現東芝)、株式会社住商コンピュータサービス(現SCSK)を経て1995年株式会社システムインテグレータを創立。現在に至る。 

「日本のITを世界に!」と「IT業界の合理化」の2つをライフテーマにし、「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」というコーポレートスローガンを掲げて、時代ニーズに合ったパッケージソフトウェアを次々にリリースしている。主なプロダクトに、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」、開発支援ツール「SI Object Browser」、Web-ERP「GRANDIT」、プロジェクト管理システム「OBPM」、O2Oマーケティングサービス「モバポタ」、設計書ジェネレータ「OBDZ」などがある。

 「グラス片手にデータベース設計」シリーズ(翔泳社)や「実践!プロジェクト管理」(翔泳社)、「パッケージから学ぶ4大分野の業務知識」(翔泳社)など著書も多数。

システムインテグレータ社

掲載日:2013年9月24日

 
    

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