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7年後に何を見せるのか

2020年の五輪開催地が東京に決まったことで、その経済効果に期待する向きも多い。
一方で、東京五輪はコンパクト五輪を標榜し、既存設備を最大限生かし、財政負担を極力抑えるとしている。

東京都によれば、五輪のための直接的なインフラ整備費用は4,500億円程度と試算している。その規模は、今年2月に決まった12年度補正予算が13兆円規模、そのうち東日本大震災からの復興加速や事前防災・減災のためのインフラ再構築などの復興・防災対策費4兆円弱と比べても、圧倒的な"小規模"である。したがって、景気を押し上げる効果はほとんど無い、と言ってしまっても言い過ぎでは無い。

前回の東京五輪のように、新興国で行われるオリンピックには、インフラを整備して経済成長の基礎を作り上げ、新興国からの脱皮を図ることに期待できる部分も大きい。しかし、経済が成熟し、(老朽化という問題は残すものの)十分なインフラが整備されている先進国においては、五輪にそのような効果を期待するわけにはいかないだろう。多くの先進国では、高齢化などの構造問題など、財政悪化に繋がる不安を抱えている。税金を使って、あるいは国債を発行してインフラを再整備したところで、新興国に比べて圧倒的に高い賃金の労働者を雇い、整備されたインフラを使って国内でモノ作りをする企業が増えるとは考えにくい。

そこで発想を転換する。すなわち、高コストの労働者を雇用してもペイできるようなモノ作りを促すためのインフラを整備すれば、税金を使う価値もある。たとえば、自動車の場合、ガソリンからハイブリッドへという流れの先には、電気自動車、あるいは燃料電池車という進化がイメージされる。そうした車がいつでも充電(あるいは充水素?)できるようなインフラが求められる。または、スマートフォンやタブレッド型端末など、携帯型の情報機器はより発達するだろうが、現状でも安定した高速通信は得られているとは言い難い。バッテリー消費の問題も、バッテリーの性能を向上させるのか、手軽に充電できる設備を整えるのか、様々な解決手法がある。

日本の技術進化は、いつの間にか世界標準から外れ、利用価値があるのか無いのかさえ分からないものが多く、ガラパゴス化しているといわれて久しいが、ガラパゴスもダーウィンが発見して初めて世界を驚かせ、あるいは進化論に繋がるきっかけとなった。

多くの外国人が訪れるオリンピックは、日本のガラパゴス技術の見本市の場とも言える。それが、様々な分野に応用できるモノ、利用価値のあるモノ、素晴らしい可能性を秘めているモノと認識してもらえれば、日本は高付加価値の技術立国の立場を取り戻すことが出来よう。

そのためには、そうした技術が"使われていること"を示す必要がある。東京都や国には、そのためのインフラ整備、法整備を求めたい。

嶌峰 義清(しまみね よしきよ)プロフィール
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株式会社第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

1990年青山学院大学経済学部卒。同年岡三証券入社。岡三経済研究所、日本総合研究所を経て、1998年第一生命経済研究所入社。2011年より現職。日本経済、米国経済など各国経済担当を経て、現在は金融市場全般を担当。


掲載日:2013年9月30日

 
    

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