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上場株源泉分離課税の影響-個人投資家は年内売りまくり、年明け買いまくり?

利益確定原価上げは平成25年末までに

低株価時に取得した上場株や投信は、利益確定の時期を迎えています。

株式等を譲渡した場合の現行の課税は、原則として他の所得と区分して税金を計算する譲渡益の20%の申告分離課税ですが、
①証券会社等を通じた上場有価証券の譲渡益は、10%税率であり、
②特定口座取引を選択した場合は、源泉分離課税で確定申告も不要です。

ところが上記2つの特例が平成25年12月31日で廃止され、平成26年1月以降、原則に戻り倍額20%に課税強化されるのです。代わりに平成26年1月以降、年100万円までの上場有価証券投資の配当や譲渡益を総額500万円まで5年間非課税とするNISA(少額投資非課税制度)ができますが、それなりの投資をしている人には、焼け石に水。この小さなアメをなめて、ムチの痛みに耐えよ、というに等しいでしょう。

この流れで言えば、年内は、個人投資家の利益確定原価上げのために売り一色になりそうですし、年明けは、NISA申込300万人が一斉に買いに入ります。買われたNISAは、途中売却すると非課税枠再利用ができないため、売られません。買い一方になるでしょう。これが株価にどう連動するか、よく注意したいところです。

増税後の課税を最小減にするためには、いったん売却して10%課税で、利益確定してしまいます。その銘柄を継続するなら、新たに買い直せばよいでしょう。いったん利益確定して時価までの課税を完了させ、次の値上後の課税を最小に抑えるのです。

(1)例えば5千万円の株式が8千万円に上がっていた場合、売買委託手数料等を無視すると(図①)

  (8千万円-5千万円)×10%=300万円の課税。 

  買い換えた銘柄が、平成26年以降9千万円に上昇したら、(9千万円-8千万円)×20%=200万円です
  から、課税合計は500万円。平成26年以降譲渡時の原価(簿価)を引き上げておくのです。

(2)これに対して(図②)簿価上げをせずに、9千万円に上がった後売却した場合は、

  (9千万円-5千万円)×20%=800万円の課税。

  
簿価上げしない場合に比べ、税率差分の税負担が増加してしまいます。

今年2月、楽天の三木谷浩史夫妻が三木谷社長15.4%、配偶者晴子氏10.7%の持株3,600万株を、12月27日までの売却を条件に三井住友銀行に信託、関東財務局に届け出たと報道されました。株価は1月678円、2月801円、5月1,300円とうなぎのぼり。課税10%のうちに利益確定して納税を済ませてしまえば、この後の上昇分の20%課税を最低減に抑えることができてしまいます。10%分離課税は証券会社経由売買が条件ですから、場外取引として買い戻すのか、信託し、別会社等に移すのかはともかく、賢い人は既に着手しています。

価格の変動を見据えて、有利に対応してください。


飯塚 美幸(いいづか みゆき)プロフィール
過去コラム一覧


税理士・中小企業診断士

静岡大学人文学部卒業
平成7年 飯塚美幸税理士事務所開業
平成25年 松木飯塚税理士法人設立、現職
事業承継協議会会員、千代田区議会政務調査諮問委員
不動産コンサルティング登録技能士試験委員、日本税務会計学会委員

著書: 
「各年度版よくわかる税制改正と実務の徹底対策」(日本法令)、「財産を殖やすための相続対策プログラム」(日本法令)、「税制改正と資産税の実務Q&A」(清文社)、「最新相続税の物納実務取扱事例Q&A」(日本法令)、「新版『資本の部』の実務」(新日本法規出版)

資産税の税理士ノートhttp://expresstax.exblog.jp/


掲載日:2013年10月17日

 
    

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