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大切なことは経営者から学んだ

「それで、そのプロジェクトは"やるの?"
それとも"するの?"」
「それでは、今回は"する"でお願いします。」

......そんな、コントのような会話が繰り広げられる経営会議に、アドバイザーとして定期的に出席させていただいています。この会議で、会長から突きつけられる選択肢は、やるかやらないか、ではありません。やるかするか、なのです。そう、「やる」も「する」も同じこと。「やらない」という選択肢はないのです。

もちろん、無謀な要求をしているわけではありません。
お金を魔法のように生み出せとか、生身のまま空を飛べということでもなければ、人生すべてを犠牲にしてでも仕事をしろ、ということでもありません。

新しいアイデアが出てきたときには、「実現する」という前提で動けという意味です。

新商品の開発、新市場への進出など、ビジネスにおける新しい挑戦は、常に失敗するリスクがつきまとうもの。
将来の成功のシナリオをいくら描いても、挑戦を止めようとする力の方が大きくなりがちです。なぜなら、挑戦しない理由を考える方が簡単だし楽だからです。

失敗する理由はいくらでも挙げられます。
「前例がない」
「同業他社はそんなことしていない」
「その国の法律がわからない」
挑戦というのは、そもそもわからないことだらけですから
「分からない、危険だ!」
と言ってしまったら、そこで終わってしまうのです。しかも、挑戦しなければ、失敗しません。
ずっと座っていれば、転ぶこともないというわけです。

そして、その先を考える必要がなくなります。
何もしなければ、コストもかからないですし、安全で楽なのです。

だから、冒頭の会話が生まれるというわけです。
実現する、挑戦する、という前提で話を進めなければ、単なる思考停止に陥ってしまう危険があるのです。

前例がないのなら少しずつ作ってみる。
同業他社が挑戦していないからこそ、儲かるかもしれない。
分からないことがあるのなら調べる。

そうして動いてみて、本当に無理なら、それは仕方がありません。でも、そうした試行錯誤の中からこそ
「それならばどうしたらいいのか」
という新しい議論や考えが生まれてきて、物事が前に進んでいくのです。

本当は、企業もビジネスパーソンも、常にその精神を持っていなくてはなりません。私達をとりまく環境は刻一刻と変化しており、同じ状況が何十年も続くことはありえないからです。つまり、
「何もしなければ、コストもかからないですし、安全で楽なのです」
は本当は間違いで、何もしないことは決して安全なことではないのです。

何もしなければ、実は、新しいチャンスという利益を逃すことにつながりますし、変化に対応できないために危険で、結果として楽ではない状況を自ら引き寄せてしまうのです。

常に変化し、価値を創造し続けなければ、ビジネスは衰退します。
常に変化することを「挑戦」と呼ぶのかどうかはわかりませんが、考えるべきは「どうしたらできるか」であり、「できない理由」を見つけることは重要ではないのです。
どういう失敗要因があるのか、失敗した場合にどれくらいの損失が出るのか、といったリスクについて考えることは重要です。でも、「リスクについて考えること」と「できない理由を考えること」は、まったくの別モノなのです。

「やるか、するか」の話は、数年前に書かせていただいた本の中にも盛り込んでいますが、今でも変わることなく続いています。
だからこそ、この会長は、何十年もの間、ビジネスを成功させることができているのだと思います。

平林亮子(ひらばやし りょうこ)プロフィール
過去コラム一覧


公認会計士。中小ベンチャー企業をサポートする公認会計士集団アールパートナーズ代表。

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。大学3年次在学中に公認会計士試験合格。太田昭和監査法人(現新日本有限責任監査法人)にて国内企業の監査に多数携わった後2000年に25歳で独立。現在にいたる。

企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。コンサルティング業務のかたわら、テレビ朝日『モーニングバード!』のレギュラーコメンテーター(2011年)、ラジオNIKKEI『平林亮子と岸田恵美子のちょっぴりおとなのマネー&マネー』のメインパーソナリティー(2013年)を務めるなど、マスコミでも活躍。さらに中央大学商学部客員講師(2010年度)、上場企業等の社内研修講師、中小企業総合展(中小企業基盤整備機構主催)特別講演講師を務めるなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。

決算書を楽しもう』(ダイヤモンド社)、『お金が貯まる5つの習慣』『相続はおそろしい』(幻冬舎新書)『レシートで人生を変える7つの手順』(幻冬舎)など、著書は40冊を超える。

2013年10月、女性会計士チームCPA745メンバーの共著による消費税の入門書『やさしく解説はじめての消費税』(中央経済社)を発刊。

アールパートナーズ
http://www.r-cpa.co.jp

平林亮子の酸素派人間のススメ!
http://www.hirabayashi-cpa.com

掲載日:2013年10月24日

 
    

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