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投資で儲けるためには「成長」か「歪み」を探す

投資で資産を増やす場合、その源泉がどこにあるかを考える必要があります。リターンの源泉は、大きく2つに分けられます。

1つは「市場の平均を上回る超過リターン」です。そしてもう1つは「市場の平均から得られるリターン」です。金融の世界では、前者のような市場平均を上回る超過リターンのことを「アルファ(α)」、後者のような市場平均のリターンのことを「ベータ(β)」といいます。

外国株式を例に考えてみましょう。日本以外の先進主要国の株式を対象にする「MSCIコクサイ」というインデックスがあります。このMSCIコクサイが、10%値上がりした時、外国株式投資によって、15%のリターンを実現できれば、インデックスとの差である5%は、アルファ(超過リターン)と考えることができます。

しかし、このアルファは、市場に存在する平均以下のリターンしか実現できない人が存在することによって実現できます。つまり、平均を上回る超過リターンは、平均未満の人を出し抜いて得られているということです。

一方のベータとは、この場合であればMSCIコクサイというインデックスのリターンである10%になります。ベータを狙う典型的な運用手法は、市場の平均値であるインデックスに連動した成果を目指すインデックス運用です。市場の平均値が「成長」によって長期的に上昇することを前提に、市場全体に連動する投資成果を目標に行う投資です。個人投資家が、ベータを狙う投資を実践する方法としては、インデックスファンドやETFといった市場平均値に連動した運用成果を狙う投資商品を活用することになります。

2つのリターンのうち、個人投資家が最初に狙うべきなのは、アルファよりベータです。なぜなら、アルファによるリターンは、人よりも高いリターンを実現するということであり、そのためには、他の投資家が気が付かない「歪み」を見つけ出す投資スキルが必要になります。誰でも実現できることではなく、ハードルが高いのです。

また、アルファによる超過収益は、長期的に維持するのは簡単ではありません。例えば、ある有効な投資手法によって、「歪み」を見つけ出し、アルファを実現できることがわかると、他の投資家も同じやり方を始めるようになり、「歪み」は消滅します。超過リターンを上げ続けるためには、また次の手法を見つけにいかねばなりません。持続するのは、極めて難しいといえるのです。これは、どこかで割安に販売されている商品があると、そこで買う人がだんだん多くなって、有名になってしまい、最後には割安感がなくなってしまう。するとまた別のお店が格安に販売するようになる。そんな日常生活で起こっていることと同じです。

ベータからのリターンは、市場全体が「成長」すれば、誰でも実現できます。ただし、市場全体の動きに左右されることになります。市場が上昇すれば短期間にリターンを実現できますが、市場全体が下落すれば、運用リターンもマイナスになってしまうのです。

金融の世界は、割安に放置されているような投資対象が見つかりにくい市場です。「歪み」が少ないので、アルファを見つけにくいのです。しかし、同じ投資対象でも不動産のような実物資産には、比較的簡単に「歪み」を見つけることができ、超過リターンを狙いやすいのです。

アルファを狙う投資は「歪み」の見つけやすい投資対象で行い、「歪み」の少ない市場では「成長」に賭けるベータを狙う投資を中心にする。これが一番合理的な投資スタイルだと私は思います。

内藤 忍(ないとう しのぶ)プロフィール
過去コラム一覧


株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長

一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事

1964年生まれ。
1982年 東京大学文科2類に入学。
1986年 東京大学経済学部卒。大学卒業後、住友信託銀行に入社。東京中央支店に配属。2年目から資金為替部で為替ディーリング業務を担当。
1989年 社内留学生制度で、MITスローン・スクール・オブ・マネジメントで留学。MBA取得。帰国後、市場金融部、企画部、総合資金部で資産運用業務を担当。
1997年 住友信託銀行を退社。英系資産運用会社のシュローダー投信投資顧問株式会社に入社。ファンドマネージャーとして債券とグローバル・アセット・アロケーションを担当。
1999年 株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)に入社。商品開発、資産設計などを担当。
2004年 個人向け投資商品企画・運営会社であるマネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役に就任。
2005年 株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長に就任。
2011年 クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクター。
2013年 株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。
       一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

主な著書に、シリーズ12万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ(自由国民社)、「60歳までに1億円つくる術」(幻冬舎)、「「好き」を極める仕事術」(講談社)、「丸の内朝大学マネーの教科書」(朝日新聞出版)、「内藤忍の投資手帳」(ディスカヴァー21)、貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい!」(ディスカヴァー21)など多数。

公益社団法人日本証券業協会証券検定会員。 


掲載日:2013年10月25

 
    

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