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チャラいアスリート

東北楽天ゴールデンイーグルスの「マー君」こと田中将大投手が、開幕から無傷の24連勝を達成し、自身の持っていたプロ野球記録を更新した。

この記録にたどり着くまでの道のりは決して平坦ではなく茨の道の連続であったろう事は想像に難くなく、幾多のピンチを切り抜けての達成だろう。今年のシーズンに入って、田中投手の投球が一味変わったと色々な人が指摘しているが、その中で目についたのが以前の恩師の話であった。一味変わったのは、速球に磨きがかかったのではなく、出来の悪い時にその調子なりのベストなピッチングをするようになったという点だという。

私は様々な所で講演会やセミナーを行っているが、いつも「トレードはスポーツと同じである。」と言っている。ルールを学ぶことは、その商品性を理解する事に当てはまり、素振りや投球練習などは事前の訓練で、練習試合はデモ口座での取引であり、そして実際の試合はリアルマネーでのトレードという事になるのだ。しかし、「トレードはスポーツと同じである。」と言うのにはそれだけではなく、優れたアスリートの行動・考え方が、優れたトレーダーに通じると考えている面も少なくない。この田中投手の大偉業までの道のりで、「悪い時にはそれなりの投球をする。」と言う事は、トレーダーにとってとても参考になる事であろう。

様々な状況の変化に対して大きく上下する相場の中では、普段と同じような調子でトレードをしてもうまく行かない事が多々あり、人はそれを「スランプ」などと言う。未熟なトレーダは、そういう場合自棄になってしまい無茶なレードを繰り返して自滅してしまう事が多いのだが、先の田中投手のような姿勢で相場と向き合う事が出来ると、調子悪いならばそれ相応のトレードの仕方で危ない所を切り抜けることが可能となると考えられるし、現に私自身そのような考えで幾度も不調な時を乗り越えてきた。

言い換えれば「臨機応変」の考えが出来るかどうかという事かもしれないが、このような事はチャートの分析技術や聖杯と呼ばれるようなテクニカル指標などよりも、トレーダーにとってはよっぽど重要な事と認識している。

実は、田中投手の事だけではなく、他でもとても参考になる事があった。それは、日本女子ゴルフオープンで優勝した宮里美香選手の優勝インタビューの中の言葉である。

最終日のスタート時点では単独トップであった宮里選手は、前日までの調子と違い前半で4つのボギーをたたくなど大乱調となり、一時は2位となった佐伯選手にトップの座を奪われた。しかし、後半になんとか盛り返して、最終ホールでは5メートル以上の長いパットをねじ込んでのバーディーを決め、佐伯選手を再び抜き返して優勝したのだ。この時の心境を聞かれた宮里選手はこう言った。

「最後まで自分なら出来ると信じていましたから。」と。

トレードで調子を崩すと自分に自信が持てず不安になり、多くのトレーダーはあれやこれやと手法を変えたりするのだが、そういう事ではなく「最後まで自分は出来る」と信じて正しい判断を行う事こそ、きちんとした結果を生み出す基となると思う。しかし、一流アスリートと紙一重なのが「体育会系気質」である。

先日、私のトレーダー養成講座の生徒と話していた時の事だが、野球部出身の彼は含み損を抱えると、持ち前の"根性"(笑)を出して無茶な踏ん張りをしてしまうのがダメな所と自己分析していた。確かにそうである。その時、彼と話したのはトレーダーとして適しているのは、「体育会気質」ではなく「チャラ男」のように軽やかに身を翻すスタイルであるという事。

そう、トレードはある意味スポーツであり、トレーダーはアスリートの様であるべきなのだが、気質だけは「チャラ男」で・・・

私はそんなトレーダーであり続けたいと思っている。

鈴木 隆一(すずき りゅういち)氏プロフィール


1965年 生まれ 立教大学理学部物理学科卒

1990年  大和證券株式会社に入社、支店営業を経た後為替ディーラー業務に従事。証券売買に付随する為替取引のカバーや自己資金の為替運用のほか、為替オプション・外債・金利先物・金利スワップ等、あらゆる金融商品を駆使して運用を行う。
大和証券分社時には、為替部門の立上げを行ったのちチーフディーラーに就任。
2000年  同社を退社。退社後は、投資教育会社やFX業者数社の立上に参加、その後独立してプライベートファンド運用・為替情報提供会社である株式会社ワムを設立、代表取締役に就任。

その他、テクニカル分析およびシステムトレードの技術開発および情報配信に特化した有限会社ガンパウダーの代表取締役も勤め、2006年には同社の株式会社化とともに株式会社ワムを完全子会社化し、以降は外国為替の総合情報サービスを行いながら全国で投資家育成教育を行っている。

掲載日:2013年10月29日

 
    

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