株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

0.01%の株主にできること

手にした硬貨を何気なく眺めた時に、たまに48歳になる自分の生まれよりも古い年代に作られたものを見かけます。「いったどのくらいの人の手を渡ってきたのだろう。使われる人を選ぶこともなく人から人へと渡り、半世紀に及んで多くの人の命や生活を支えてきたのだろう」と想像すると、私は思わず「ありがとう」と声を掛けたくなります。

私の実家は、田舎で小さいながら商売をやっていました。そこで、お客様からお金を頂いたときに、母親が「有り難い、有り難い」といっていたことが、かすかな記憶として蘇ります。若いころはすっかり忘れていた光景ですが、最近では、仕事柄、頻繁に思い起こされるようになりました。「お金には、色はない。しかし、お金は、使う人、届ける人の心の色模様に染まる。そして、受け取る人の心に何かを伝える力がある」と感じるのです。

金融の世界でいう投資は、お金を介して行われます。お金は、投資という行為を通じて変幻自在に、株式や債券、不動産、商品などに変身していきます。そこに、どんな想いを乗せるかは人それぞれです。例えば、単に「自分が儲かればいい」という想いを乗せる人もいれば、「応援する。頑張れ!」といった想いを乗せる人もいます。人それぞれですが、鎌倉投信はもちろん後者です。

鎌倉投信の運用・販売する「結い2101(ゆいにいいちぜろいち)」が投資する「いい会社」は、公募投信という仕組み上、上場会社が中心です。しかし、現在投資をしている44社の中には、売上規模でみてまだ1億円に満たない非上場の小さな会社もあります。こうした会社は、今は小さくても、将来この国になくてはならない会社になると確信して投資をしているのです。
ポートフォリオという視点で考えると、「既に完成度の高い安定した上場会社」、「発展の軌道に乗り始め、成長力のある上場会社」、「リスクはあるけども将来性のある非上場の会社」を全体のリスクをコントロールしながらバランス良く組み合わせることで、投資家のリスクの低減や分散を図り、一方で事業サイクルを分散させて長期的なリターン源泉を確保しているともいえるのです。
投資信託という金融商品には、「満期をなくし無期限に投資することが出来る」というユニークな特色があります。こうした「金融商品としての無期限性」を強みに変えることで、小さな会社が挑戦する事業の成功確率を高めているのです。

(鎌倉投信の場合、その割合は限られていますが、)非上場の小さな会社にこうした視点で投資することは、プライベート・エクイティに近い領域ですので、投資先の会社に対して相応の影響力を持つことになります。しかし、一方で、上場会社、とりわけ時価総額の大きな会社ともなれば、その会社の株式は市場で誰でも自由に売買することができるので、その会社から見れば、誰が株式を保有していようが関係ない、といった意見をよく耳にします。

しかし、次のようなご縁を頂くと、どうもそうした一般論は全てに当てはまる訳ではないようです。
先日、鎌倉投信の「結い2101」が投資している、数少ない大企業の社長さんからお声掛けを頂き、運用責任者の新井と一緒に3時間にわたって面談の機会を頂きました。「結い 2101」はその会社に株式時価総額に対して僅か0.01%しか保有していませんが、次のようなお言葉を頂きました。「当社の、経営理念や想い、本当に大切にしていることを良く分かって下さって本当にありがとう。・・・鎌倉投信は、私たちにとって特別な存在です」と・・・
この言葉を伺い、「投資額の大小ではない、届ける想いの純粋さが大切なのだ」と感じ、心が震えました。

鎌倉投信の投資哲学は、「投資はまごころであり 金融とはまごころの循環である」です。その言葉に込めた意味のとおり、「利よりも先に 心がなくては 信頼は絶対に築けない。損得よりも先に 信義がなくては 絶対に信頼を築けない」と、改めて確信しました。

人と人、企業と企業の信頼の深さ、そこから新たに生み出される連鎖的な価値創造の拡がりこそが本来の金融のレバレッジであり、その善の拡がりは、無理がないので無限大です。そして、その善の拡がりを生み出す「ともしび」が、本来の「投資(灯資)」だと思うのです。

鎌田 恭幸(かまた やすゆき)プロフィール
過去コラム一覧


鎌倉投信株式会社 代表取締役 社長

1965年島根県生まれ。日系・外資系信託銀行を通じて25年にわたり資産運用業務に携わる。
2008年11月 鎌倉投信(株) 創業。2011年8月テレビ東京系列「ガイアの夜明け」で紹介される。

著書「日本で一番投資したい会社」(アチーブメント出版)
共著「21世紀をつくる人を幸せにする会社」(ディスカヴァー21)

 掲載日:2013年11月1日

 
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »