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日本人の睡眠と仕事のやる気

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日本の生産性が世界的に低く、仕事の効率(=労働生産性)が国際的にみても非常に悪い国であることは、前回のコラム「日本の仕事の生産性を上げよう」で触れたが、日本は国民の平均睡眠時間が世界で最も短い国の一つでもある。 

経済協力開発機構が行った2009年の調査によれば、世界の18か国(欧米・アジア・オセアニア諸国等)における1日の平均睡眠時間(15歳以上対象)を比較したデータで、日本人の睡眠時間は最短の韓国(469分)に次いで短い(470分)という結果が出た。逆に、最長はフランス(530分)、次いで米国(518分)、スペイン(514分)の順で、フランスと日本の差はなんと60分もある。また、NHK放送文化研究所のデータによれば、国民の平均睡眠時間はここ40年間で約40-50分短縮しているという。

さらに、それをビジネスパーソンに限って調べてみると、当社の調査・研究機関である国際EAP研究センターが2012年に実施した「ビジネスパーソンを対象とした睡眠傾向調査」によると、7割のビジネスパーソンが平均睡眠時間は「5~6時間台」と回答した。理想的とされる7~8時間台の睡眠をとれているのは15%のみで、「睡眠不足で支障が出ている」との回答は全体の56%に達した。さらに同調査では「眠れないときに誰のことを考えるか」で最も多かった回答は、部下・同僚、上司など「仕事関連の人」だった。データを見ても感覚値として納得する方が多いように思うが、世界的に睡眠時間の短い国民である日本人の中でも、とりわけビジネスパーソンの睡眠環境は一層深刻であることが改めて認識される。そして、仕事が睡眠に与える影響も顕著なのである。

さらに最近、仕事に関する興味深い世界の調査結果が出た。米国ギャラップ社が発表した世界23万人を対象にした大規模調査結果("State of the Global Workplace")によると、世界の従業員で、「仕事に意欲があり積極的に仕事に取り組む従業員」はわずか13%だった。大部分の約63%は「仕事に意欲がない従業員」であるという。そして24%が「仕事をかなり嫌っている従業員」だった。つまり、世界の労働者の9割近く(87%)にとって、仕事は達成感ではなく、むしろフラストレーションやイライラの原因になっているというわけだ。

さて、気になる日本の結果は、「仕事に意欲があり積極的な従業員」はわずか7%(中国をわずか1ポイント上回っただけ)。69%は意欲がなく、24%は仕事が嫌いだという。これは非常にショッキングなデータだ。ちなみに、米国は全世界でみると比較的良い結果が出ていて、幸せな従業員(=仕事に対して意欲があり積極的に取り組んでいる従業員)が30%、意欲がない従業員が52%、仕事を嫌う従業員が18%だった。

これらのデータや調査結果を踏まえると、日本の職場は世界標準に比べ、「睡眠時間を削りながら働きつつも、仕事についての満足感や幸福感が低い職場」ということになり、これは非常にもったいないことである。 こうした傾向がある中で、「職場のウェルビーイング(Well-being)」という概念が、多様化する社員と組織の最適なタレントマネジメント(※)を実現し、個々人と組織全体のパフォーマンスを最大限に高めるためのキーワードとして、グローバルで大きく注目され始めている。「ウェルビーイング」とは、日本ではまだあまり馴染みのあるフレーズとは言えないが、要するに、「心・身体・仕事の調和がとれていて、健やかな状態にある」ことを意味する概念である。ヨーロッパ・アメリカの企業を中心に、ウェルビーイングを経営の健全度の指標として組織分析に利用し、職場の改善に活かす企業が増えている。例えば、ベルギーのISW Limits社が開発した、個人と職場のウェルビーイングを判定するツール「ISAT©」は、欧州においてグローバル企業から国営企業まで幅広く職場改善に活用され、効果を上げていることで注目されている。 

まさに日本の企業こそ、「心の状態も、睡眠含めた体の状態も、仕事の状態も調和がとれていて、健やかな状態」を目指す「ウェルビーイング経営」を志向し、自社の組織状態や取組状況をチェックしてみることが必要だろう。

(※) 該当する人材がどのような素養や能力、スキル、経験を持っているのかを特定し、人材の力を最大限に引き出すような投資や教育を戦略的に行って、組織のパフォーマンスや生産性の向上を図ること。

荻原 国啓(おぎわら くにひろ)プロフィール
過去コラム一覧


ピースマインド・イープ株式会社代表取締役社長

慶應義塾大学経済学部卒。在学中より人事コンサルティング会社新規事業開発や、新卒人材紹介事業等、人事マネジメント分野に従事後、(株)ピースマインド代表取締役社長(1998年創業~2011年3月)を経て現職。

日本国内最大規模のEAP(従業員支援プログラム)提供企業としてEAPやメンタルヘルス支援など、心理学・行動科学の専門性を活かした人と組織に関わる支援とコンサルティングを550以上の組織に展開。精神保健福祉士・産業カウンセラー・心理相談員。日本の起業家を世界に輩出する唯一の世界的起業家表彰制度EOYjapan2008セミファイナリスト。日本の次世代若手ベンチャー起業家を称える表彰制度DREAM GATE AWARD2008受賞。『クリックからはじめる自殺予防支援』代表世話人。

専門分野は人事・組織マネジメント、人材開発、EAP(従業員支援プログラム)、ストレスマネジメント、メンタルヘルス、震災ケア、レジリエンス、クライシスケア、ソーシャルビジネス等。

掲載日:2013年11月22日

 
 
    

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