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『終のすみか - イメージと現実』

2年前に本屋さんで立ち読みして気に入った本がありました。「あしたも、こはるびより」というタイトルで、つばた英子、しゅういち夫妻が著者です。そして、昨年も「ききがたり ときをためる暮らし」という本を買いました。現在、たぶん夫88歳と妻85歳。愛知県の住宅団地に敷地は600坪以上あるのでしょうか、そのなかに平屋のログハウスと200坪のキッチンガーデン(野菜等食材のための菜園)、雑木林などがあります。隣近所は、普通の開発住宅団地だそうです。この団地に夫妻が住んで30数年以上になるそうです。食の安全を確保するために自家栽培にこだわるのですが、基本は農作業が好きなことにあります。夫妻で役割分担し、85歳を超えても元気に日々の作業が出来るようです。

夫妻にとっては、ここが終のすみかになのでしょう。30年以上も住み、地域のコミュニティとも一定の関係ができ落ち着いているものと、勝手に想像します。田舎暮らしを都市部近郊の住宅団地で行っているわけですから、世間に注目されるのでしょう。都市部で普通のサラリーマンをやっている人間には、なかなかむつかしいようと思えます。

2冊の本を見ながら、思い浮かべたのが、ちょっと突飛ですが、アメリカ映画のゴッドファーザーです。ゴッドファーザーであるマーロン・ブランドが、孫と一緒に家庭菜園で、なにかをのどにつめたのでしょうか、死んでしまう場面です。マーロン・ブランドがなぜそこで死ぬのか、それが事実なのかどうか分かりません。ただ、ギャングの抗争で死ぬのとは違って、平和な裏庭で死を迎えたのがゴットファーザー。連想したのは、家庭菜園だからだと思います。

欧米の映画では、高齢期夫婦の物語としては、ヘンリー・フォンダとキャサリーン・ヘップバーンの「黄昏」が有名ですが、亡くなる場所に関して、アメリカ映画では、あるイメージがあるのではないかと思えます。トム・ハンクスの「フォレストガンプ」で、生涯愛し続けるジェニーが病で亡くなるのを見送るのが、広い庭のある一軒家、出窓があり明るく風通しのよい部屋にあるベッド、そこで亡くなるというものです。同じようなイメージの映画があったのですが、映画のタイトルを思い出せません。

と、ながながと書いてきましたが、終の住処、あなた自身が亡くなる場所、そのイメージはいかがでしょうか。

現在だけでも手一杯、老後のその先までは、まだまだ手が届かない。そうだと思います。しかし、老後や終のすみか、イメージだけでも、早くから考えておきたいものです。そして、実践できるもののイメージができれば、若いうちからでも準備ができるのではないでしょうか?

冒頭のつばた夫妻の場合、50代からスタートしています。
ところで要らないお世話ですが、ご夫婦ともに自立できなくなった時はどうされるのでしょうか。そして、相続となると、残された者にとっては解決しなければならないことが結構あるように思います。

美術品等、生涯をコレクターで過ごされた方は、ご本人にとってはかけがいのものであっても、残された者にとって、集められた品々をどうか評価するのか。老婆心ながら、体も頭も元気なうちに、どう処分するのかの決定を行い実行しておく必要があるように思えます。

私個人としては、相続するものがあれば、形見分け以外は現金預金か流動性の高いものにしたいと思います。そして、終のすみかは、むかしから「起きて半畳、寝て一畳」、最後までシンプルライフです。できれば葬儀と財産の処分が半日で終わるのが、個人的な望みです。

なやましいのは、人生の最後をどのようにむかえるのか。

だれもが平穏に住み慣れた自宅で最後を迎えたい、少なくとも病院や介護施設は避けたいという思いがあるのではないでしょうか。自宅で亡くなりたい、そして実現したいなら、しっかりと準備し周囲の理解と協力をお願いしておく必要があります。現在の日本では自宅で亡くなるのはなかなか叶わぬ願いのひとつではないかと思います。

井戸 美枝(いど みえ)プロフィール
過去コラム一覧


CFP®、社会保険労務士。
社会保障審議会 企業年金部会委員

生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とし、経済エッセイストとして活動。人生の神髄はシンプルライフにあると信じる。

著書
世界一やさしい年金の本』(東洋経済新報社)『お金が貯まる人と、なぜか貯まらない人の習慣』(明日香出版社)など多数。

近著『人気セミナー講師・いどみえ先生の 社会保険がやさしくわかる本』(日本実業出版社)

井戸 美枝ホームページ

掲載日:2013年12月7

 
    

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