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国外財産・国外所得への課税強化本番 -12月末時点で国外財産時価5千万円以上なら調書提出義務

著名人の海外財産の申告漏れを大々的報道
平成23年7月、ジャーナリストの故筑紫哲也さんとバイオリニストの諏訪内晶子さんの海外財産や所得の課税申告漏れがたて続けに報道されました。
筑紫さんの相続税申告では海外不動産売却資金の海外口座の申告漏れ。諏訪内さんの所得税申告では、海外公演報酬が申告漏れ。ともに仮装隠蔽と認定され、重加算税を課されています。
この報道は、海外課税強化のアドバルーンだったようです。その後、海外財産や所得を脱漏させないための制度が次々と繰り出されました。

日本の税制は全世界課税
日本の税制は、全世界課税制度です。現地国で課税を受けたら、日本の制度に引き直して、外国税額控除で調整します。
世界でも最高税率の日本ですから、多くの企業や個人資産が海外に流出しています。この「逃税」を防止するために、平成24年、政府は各国との租税条約の整備を完成していました。
そして平成24年度税制改正で国外財産調書制度を創設、今年平成25年4月以降は、外国居住の外国籍者が日本居住者から相続贈与を受けた場合も、全世界財産について日本の相続税課税を受けるという驚きの制度も法制化しました。

年所得2千万円超の財産申告制度
財産調書と聞くと、「財産債務の明細書」を思い浮かべた人もいるでしょう。
その年の総所得が2千万円超の人は、12月31日現在の財産と債務の明細を、翌年確定申告期限までに提出しなければなりません。高所得者の財産の生前申告制度です。
本人の死後、本人が生前に申告した財産債務内容と、相続税申告との突き合わせが行われます。不提出に対する罰則規定はありませんでした。

新たに始まる「国外財産調書」制度
こちらは国外財産の申告です。
平成25年末現在国外財産の時価が5千万円超の人は、所有する国外資産リストを提出しなければなりません。
フロー所得を基準にする「財産債務の明細書」に対して、「国外財産調書」は、財産時価というストック財産を基準にし、かつ不提出については罰則規定があります。

1.所得税

国外財産調書の提出していて申告漏れがあった場合は、所得税・相続税の5%を加算税から減免。不提出で申告漏れの場合は、加算税にさらに5%を重課する。

2.相続税

提出者の申告漏れは、加算税を5%減免。
亡くなった人が不提出でも、相続人にその責任はない、と考えるからか、不提出者に重課はありません。
また、不提出や虚偽記載は1年以下の懲役又は50万円以下の罰則もあります。

平成25年3月15日迄に調書提出義務
時価5千万円の基準は、海外資産を持つほどの人にとっては、すぐ達してしまう基準でしょう。
年末現在の時価が問題とされるために、海外財産を5千万円以下になるように、親族に贈与してしまうなどの「対策」もあるようですが、近視眼的な対応は禁物です。
「天網恢々疎にして漏らさず。」マイナンバー制度など、今後、国税の個人資産をくまなく把握する制度は、さらに進みます。

国外財産調書制度のスタートをきっかけに所有資産全体の運用を検討してみてください。

飯塚 美幸(いいづか みゆき)プロフィール
過去コラム一覧


税理士・中小企業診断士

静岡大学人文学部卒業
平成7年 飯塚美幸税理士事務所開業
平成25年 松木飯塚税理士法人設立、現職
事業承継協議会会員、千代田区議会政務調査諮問委員
不動産コンサルティング登録技能士試験委員、日本税務会計学会委員

著書:
「各年度版よくわかる税制改正と実務の徹底対策」(日本法令)、「財産を殖やすための相続対策プログラム」(日本法令)、「税制改正と資産税の実務Q&A」(清文社)、「最新相続税の物納実務取扱事例Q&A」(日本法令)、「新版『資本の部』の実務」(新日本法規出版)

資産税の税理士ノートhttp://expresstax.exblog.jp/


掲載日:2013年12月09日

 
    

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