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ニューツーリズムで進化する日本の観光

ニューツーリズムが注目され始めたのは2010年、元旦の日本経済新聞本紙朝刊に、新年のキーワードとして掲載された。ニューツーリズムとは、旅先でしかできない体験や、地元の人たちとの交流を重視した、新しい旅のかたちの総称である。
具体例を挙げると理解も早いだろう。

例えば、映画やドラマのロケ地をめぐるスクリーンツーリズムや、伝統舞踊やマンガなどカルチャーが対象の文化観光、医療を目的にしたメディカルツーリズム、大人の社会科見学や工場萌えなど流行語も生んだ産業観光、国際会議や国際見本市・イベントなどを総称するMICE(マイス)、長期滞在型観光(ロングステイ)、市民参加型マラソンに代表されるスポーツツーリズムなど、多岐にわたる。

これらニューツーリズムの創出は、アベノミクス第三の矢・成長戦略の実現に向けて日本経済再生本部が発表、閣議決定(2013年6月)された「日本再興戦略-Japan is BACK」にも掲げられた。そこには2030年の未来の日本が、訪日外国人観光客年間3,000万人、国内宿泊客の6人に1人が外国人という、アジア屈指の観光立国の姿で描かれた。

安倍政権発足時から為替相場は円安に向かい、さらには2013年7月から段階的に査証取得要件の緩和がスタートしたことから、親日国・タイをはじめ経済成長著しいアジアの国々からの来訪が、訪日外国人客数を底上げした。
2020年東京五輪の開催決定で、さらに弾みがついた。
そして2014年は、日本人の海外渡航自由化50年という節目の年で、アウトバウンドからインバウンドへのビジネス転換点にもなりそうだ。

そもそもニューツーリズムとは、昭和の時代のマスツーリズムの対極にあるといわれる。団体旅行が全盛だったこの時代、画一的なコースをたどるのが日本人の旅の一般的なスタイルだった。
ところが我が国が成熟経済を迎え、インターネットが普及すると、自分自身で予約手配をする個人旅行者が急増、旅の在り方にも多様性が増している。近隣アジアの国々では、すでに戦略的な観光誘致にニューツーリズムの推進をはかり、大きな成果をあげている。とりわけシンガポールや韓国のような国土の狭い国々が先行しており、いずれもライバルとしては手ごわい。

台湾や香港などではかねてから、ロケーションフォトと呼ばれる記念日写真が流行っていた。結婚という特別なシーンを、まるで映画かドラマの主人公のように、さまざまな名所でポーズをきめて撮影することをさす。派手な舞台メイクと"なりきり"衣装で記念の写真を撮るのは、今や世界的な観光手法の王道で、筆者も韓流ブームのあおりで、ソウルでドラマの主人公になりきった。
日本では変身写真とも言われ、もとはハリウッドの本場・米国カリフォルニアから渡ってきたものだ。 



琉装に挑戦した筆者(千代田ブライダルハウス「沖縄変身スタジオM」で)

ここに商機を見出しているのが、沖縄だ。中韓からのウェディング需要があり、特異の文化をもっているため、観光名所が撮影舞台となる。生涯に1回か2回、人によっては複数回の晴れ舞台を、記念のフォトに収めて、ハネムーンの思い出にする。ニューツーリズムが、二人の人生に華を添えている。

沖縄で、インバウンド向けロケーションフォトや豪華スタジオでの変身写真を手がける千代田ブライダルハウスの元田弘美副社長は、「20数年来、追い続けてきた市場が、今、やっと開花しようとしている」と、日本の観光における新時代に期待を寄せた。
希少で、かつ一生の記念となる特別な背景で、美しくも劇的に撮ってもらいたい。その願望も、一つの確たる観光資源であり、日本にとってのニューツーリズムなのである。

千葉 千枝子(ちば ちえこ)プロフィール
過去コラム一覧

観光ジャーナリスト 横浜商科大学講師

中央大学卒業後、富士銀行に入行。シティバンクを経て、JTBに入社。96年有限会社千葉千枝子事務所を設立。運輸・観光全般に関する執筆、講演活動を行いラジオ、テレビにも多数出演。神奈川県観光審議会・沖縄県感動体験戦略検討委員会・釜石食ブランド開発検討協議会などの委員。日本観光研究学会、日本観光ホスピタリティ教育学会、日本旅行業女性の会、日本旅行作家協会会員。ファイナンシャルプランナー、総合旅行業務取扱管理者を有する。著書に「JTB 旅をみがく現場力」(東洋経済新報社)、「観光ビジネスの新潮流」(学芸出版社)など多数。

ブログ(毎日更新)「旅のエクセレンス」
公式ホームページ「Long Stay Style」

掲載日:2013年12月14日

 
    

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