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寄付と投資の違いを考え、クリスマスは寄付してみよう

■寄付と投資の違うところ、似ているところ

あの3.11の震災を受け、多くの人が寄付をしたと思います。日頃は素行の悪い不良のような人がコンビニの募金箱にお金を入れた美談のような話はツイッターなどでもよく見かけました。「初めて1,000円札以上の寄付をした」という人も多かったと思いますし、寄付のお金の使われ方について初めて意識した、という人も多かったのではないでしょうか。

実は寄付と投資が似ていると言ったらどう思いますか? 寄付は喜捨の精神で行うものでお金は戻ってきません。投資は自分のお金を増やそうとするものであり、基本的には戻ってくるものです。寄付と投資は、一見するとまったく違うもののように見えます。

しかし、寄付と投資には共通点がいくつかあります。そこを理解できるようになると「寄付と投資の使い分け」もできるようになって、お金の使い方に広がりが出てきます。少し考えてみましょう。


■寄付も投資も、世の中を良くする可能性があるが、お金の流れは異なる

寄付と投資の似ているところに、「どちらも世の中をよくできる」可能性を秘めている点があげられます。

寄付をした団体がそのお金を目的に掲げた活動に用いることで、世の中が少し良くなる可能性があります。私たちにとっては些少な金額でも、アフリカの子どもの食事や教育に役立てることができます。国内でも社会的支援の弱い問題を解決するためにたくさんの団体が活動をしており、寄付によって取り組みが前進します。

投資も、実は世の中をよくする仕組みです。債券投資による資金は国や地方公共団体が取り組む社会資本の充実に役立ちます。株式投資による資金は、企業の活動を支えますが、企業は世の中を便利にしたり改善する商品開発によって利益を生み出しますが、企業活動を通じて私たちは快適な生活、安全の高い環境を手に入れます(企業は付加価値を高めることで成長してくため)。

ただし、寄付と投資についえはお金の流れの違いがあります。寄付は寄付団体に資金のすべてを渡して、その使い道を一任します。原則としてお金は戻ってきません(活動の報告やお礼状が届くことはあるが)。投資については、債券なら元本と利回りが、株式なら株券と配当が得られます。破たんや企業評価の低下によって、債券の投資額や株式の投資元本が毀損することはありますが、投資家としての権利があるところに大きな違いがあります。


■寄付も投資も、自分で選ぶことができる楽しみがある

寄付や投資のよいところは「お金の使い道を自分で決められる」ところです。かつて行われた事業仕分けについて、その結論に怒りをあらわにする人がいましたが、国が限られたリソース(資金)の配分を真剣に考える社会と、ルーズな社会のどちらがいいか考えれば、私は(結論がいまいちでも)配分を議論し、ムダを省こうと努力する社会のほうがマシだと思っています。

このとき、「国がそう考えても、私は○○事業にもっとお金を投じるべきだと思う」という人には寄付という選択肢があります。寄付は自身のお金を、自身が応援したいと考える事業、団体に投じることができる仕組みだからです。

もしあなたが「はやぶさ2号」の開発が必要だと思うのでしたら、あなたの個人的なお金を直接JAXAに寄付すればいいのです。もし、同じように考える国民100万人が5万円ずつ寄付をすれば、JAXAは500億円の資金を得られます。私たちは寄付金控除を受けられるので、「納税→国がJAXAに配分」という流れを変え、「寄付→直接JAXAに資金提供→その一部を納税額免除」というルートがあるのです。

投資も自身が応援したい国や地域、個別企業を選ぶことができるところにおもしろみがあります。イヤならイヤな会社は投資から除外し、応援したい企業、好きな企業に投資をすることができるわけです。

「選ぶ自由」はとても楽しいことです、ぜひ選択肢を有効活用してみたいところです。


■寄付も投資も、自らの生活を破たんさせてはいけない

ところで、寄付も投資も、私が強く声を上げておきたいことがもうひとつあります。それは「自分の生活が優先」でいい、ということです。

投資において自分の生活のバランスを欠く運用はすべきではありません。これは時間というリソースの配分の問題でもあり、投資金額の問題でもあります。家族との時間や仕事の集中を妨げてまで投資に集中しても、得られるパフォーマンスはそれほど高まりません。また、市場の急落等に際して、日常生活に支障を及ぼす投資金額を投じることも行うべきではありません。ここまでは誰でも気がついていることでしょう。

実は、寄付も同様です。たとえば「借金がある人」「子育て中など経済的に余裕がない人」は無理をして寄付をする必要はないと思います。優先すべきは自身の生活の安定だからです。また、資産はある程度あったとしても、「老後の生活資金など使用目的のあるお金について、無理をして取り崩す必要はない」と思います。あくまで寄付は余裕の範囲で行うべきであるからです。

特に寄付の場合、寄付金は原則戻ってこないお金であり投資と大きく異なります。寄付をしたいという気持ちはとても大切ですが、無理はしないようにしてください。


■寄付金控除の制度が拡充され、一部は戻ってくる

先ほど「税金の一部を直接団体に寄付できる」と述べましたが、これは寄付金控除の仕組みによります。寄付金控除という仕組みにより、すでに納税した額について、寄付金額に応じてその一部を還付しておらえるからです。つまり「本来なら国が使途を決めるお金について、個人がその使途を決められる」わけです。

寄付金控除の概要は国税庁のホームページ等に解説されていますが、原則として((年間寄付金額-2,000円)×40%)が還付されます(税額控除の場合。年収によっては所得控除が得になる場合もあり、有利なほうを選択可能)。寄付をすると税金が戻ってくるなんて、なかなか愉快な話です。ぜひ確定申告にチャレンジしてみてください。

しかし、いくつか注意点があります。寄付金控除の対象となる団体かどうか確認してください。活動規模の小さいNPOなどは寄付は受け付けていますが寄付金控除の対象とならない場合があります。また、領収証が必要となりますので、数円単位で行うような寄付や、募金箱に千円札を入れるような寄付は、寄付金控除の対象になりません。


■クリスマスに寄付を。会社員は年末調整の還付金程度を寄付してみてはいかが?

筆者は10年前から毎年12月に寄付をしています。クリスマスシーズンに幸せのお裾分けをしたい、という気持ちから始めたものです。個人の決算(確定申告)の締めが12月末であることをあわせて、「自分にかかる売り上げの1%」を概算し、銀行の最終営業日に入金しています。

私の場合、「教育」に支援をしたいという気持ちがあったので、WFPの取り組み(学校給食の提供を通じ、アフリカ等の児童に教育を受けさせるプログラム)に寄付をしています(同事業は3.11の際には日本向けに緊急食料援助をしてます)。

クリスマスに寄付をする、というのは、気分的にもいいタイミングだと思います。聖なるシーズンだからこそ、自分が今年一年幸せであったことに感謝し、誰かの幸せのためにお金を少し投じる気持ちになれるからです。

「寄付はしてみたい」「でも、まとまったお金なんてないよ」という人にオススメしたいのは、年末調整の還付金です。12月になると納め過ぎていた所得税を会社が精算してくれるのが年末調整とその還付金です。数万円くらいのまとまったお金が、給与やボーナスとは別に支払われます。これを「クリスマス寄付」の原資にしてみるのです。先ほど言ったとおり、一部はさらに還付されて戻ってきます。

山崎 俊輔(やまさき しゅんすけ)プロフィール
過去コラム一覧


1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、消費生活アドバイザー、1級DCプランナー。

企業年金研究所、FP総研を経て独立。商工会議所年金教育センター主任研究員、企業年金連合会調査役DC担当など歴任。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。
論文「個人の老後資産形成を実現可能とするための、退職給付制度の視点からの検討と提言」にて、第5回FP学会賞優秀論文賞を受賞。近著に『お金の知恵は45歳までに身につけなさい』(青春出版社)。日経新聞電子版「20代から始める バラ色老後のデザイン術」など連載多数。
投資教育家として、twitterでも4年以上にわたり毎日「FPお金の知恵」を配信するなど、若い世代のためのマネープランに関する啓発にも取り組んでいる(@yam_syun)。

ホームページ: http://financialwisdom.jp

掲載日:2013年12月10日

 
    

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