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経営者の「覚悟」

継続して良い業績を保っている企業の経営者さんの共通点の一は、「覚悟」なのだと感じます。
腹を決めている、ということです。

この覚悟には様々なレベルというか段階があって、たとえば、脱サラした経営者さんなどは、徐々に覚悟のレベルが上がって行ったりします。
それぞれの段階を具体的に説明するほどには体系化できておりませんが、たとえば、
「サラリーマンとして当たり前のように受け取っていた給料がなくなることに対する覚悟」
くらいから始まり、
「商品やサービスを堂々と売り込み、お客様に「お金をください」という覚悟」
「従業員の給料を払い続ける覚悟」
「自分の人生の全てに自分で責任を持つ覚悟」
といった具合に、レベルアップしていきます。

自分の人生の全てに自分で責任を持つ、なんて当たり前のように感じますが、ともすれば人間は、いろいろな事を他人や環境のせいにしがち。

モノが売れないのは景気が悪いから。
良い人材が就職してくれないのは、自分たちが中小企業だから。
倒産したのは、銀行がお金を貸してくれなかったから。

もちろん、それは事実かもしれませんが、すべては、経営者が自らまねいた結果にほかなりません。少なくとも、そんな愚痴をこぼしていても、景気は回復しませんし、良い人材は遠ざかるだけです。

覚悟が決まっている経営者は少し違います。
たとえば、仲良くさせていただいているとある中小企業の社長さんは、こんなふうにおっしゃっていました。
「うちの会社に就職する子はみんな、本当はもっと有名な大きな企業に行きたかった子ばかり。でも、全部落ちて、仕方なくうちに就職している。だから「こんな会社で働くのか・・・・・・」というマイナスの気持ちを持っている可能性も高い。そんな状態からスタッフを引っ張り上げるところからスタートするんですよ。」

彼は決して、自虐的にこのような言葉を口にしたわけではありません。ましてや愚痴でもありません。
理念と誇りをもって経営していらっしゃいますから、本心では
「うちに就職したのはラッキーだぞ!大企業なんかよりもよっぽどいいぞ!」
と思っているはずです。
実際に、業績も安定していますし、そこらの上場企業に負けないくらい、組織的にもしっかりしています。

ただ、一般的には知名度も低いでしょうし、本社も東京にはありませんから、いわゆる地方の中小企業であることは否定できません。

それを客観的な視点から冷静に分析しているから、上記のような発言が飛び出すのです。その上で、それならばどうしたらいいか、を考えているのです。
それだけの覚悟をもっているのです。

余談ですが、この会社では、中小企業とは思えない新人教育プログラムを作り上げて親友社員を教育すると同時に、常日頃から社長自ら大学の研究室をまわり、少しでも優秀な人材が集まるように自社の説明をしています。

覚悟と言えば、弊社のお客様の中に、
「どんな小さな約束も絶対に守ること。気をつけていることはこれだけだと言っても過言ではない。」
とおっしゃった方もいました。

たしかに約束した以上は守るのが当たり前。
「約束は守ります。」なんて、宣言するまでも無いことかもしれません。

でも、意外と、
「連絡するね」
「調べておくね」
といった程度の会話を忘れてしまうことは珍しくないと思います。
ビジネス上の約束であれば守ったとしても、プライベートにおける些細なすべての約束を、守っていると本当に言えるでしょうか。

この社長は、ビジネスシーンのみならず、プライベートな時間でも、
「あとで連絡するね」
「調べておくね」
といった、約束とも言えないような些細な一言まで、忘れることはありません。
それだけ、自分の言葉に、責任と覚悟を持っているのです。

ところで、怖いことに、覚悟は、外見というか雰囲気に現れてきます。
覚悟レベルの高い人ほど、相手の覚悟レベルを見抜く力も強い。
それに、高いレベルの覚悟を持っている人ほど苦労人であることが多いのですが、そういう人ほど苦労人に見えないことが多いのは興味深い点です。

私自身、素晴らしい経営者やリーダーの方々と向き合うには、まだまだ覚悟のレベルが低いのですが、彼らは意識的に、もしくは無意識のうちに、相手の覚悟を見ています。

覚悟を決めるためには、また、覚悟のレベルをあげるためには、そのための経験を積むことが重要ですが、
「環境のせいにしない」
「人のせいにしない」
「お金のせいにしない」
などの習慣が、覚悟のレベルアップにつながることも確かです。

覚悟レベルの高い経営者さんを見ていると、私もそうありたいと感じます。
地位や知識や過去の実績やキャリアよりも、人生においては「覚悟」が大切なのだと、経営者さんに背中で教えられました。

平林亮子(ひらばやし りょうこ)プロフィール
過去コラム一覧


公認会計士。中小ベンチャー企業をサポートする公認会計士集団アールパートナーズ代表。

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。大学3年次在学中に公認会計士試験合格。太田昭和監査法人(現新日本有限責任監査法人)にて国内企業の監査に多数携わった後2000年に25歳で独立。現在にいたる。

企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。コンサルティング業務のかたわら、テレビ朝日『モーニングバード!』のレギュラーコメンテーター(2011年)、ラジオNIKKEI『平林亮子と岸田恵美子のちょっぴりおとなのマネー&マネー』のメインパーソナリティー(2013年)を務めるなど、マスコミでも活躍。さらに中央大学商学部客員講師(2010年度)、上場企業等の社内研修講師、中小企業総合展(中小企業基盤整備機構主催)特別講演講師を務めるなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。

決算書を楽しもう』(ダイヤモンド社)、『お金が貯まる5つの習慣』『相続はおそろしい』(幻冬舎新書)『レシートで人生を変える7つの手順』(幻冬舎)など、著書は40冊を超える。

2013年10月、女性会計士チームCPA745メンバーの共著による消費税の入門書『やさしく解説はじめての消費税』(中央経済社)を発刊。

アールパートナーズ
http://www.r-cpa.co.jp

平林亮子の酸素派人間のススメ!
http://www.hirabayashi-cpa.com

掲載日:2013年12月12日

 
    

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