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2014年相場見通し

前回コラムで、市場関係者による相場見通しについて述べた。今回は、その見通しが明らかになったことで、改めて解説を述べたい。

日経ヴェリタスが集計した市場関係者約70名による相場見通しによれば、2014年の日経平均株価は安値が14,000円台半ば、高値が18,000円台半ばとなった。一方、ドル円相場は円の最高値が1ドル=100円、最安値が1ドル=110円という見方が最も多い結果となった。

この予想結果から、市場関係者がどのような環境を考えているかが分かる。円安が進むということだが、であれば日米の金利差は拡大するということになる。しかし、日本の金利に低下余地はほとんど無い。したがって、日米金利差が拡大して円安になるためには、米金利が上昇する必要がある。当然、米金利が上昇するということは米国経済が明るさを増すということが前提であろう。すなわち、円安予想の背景には、米国経済の回復がより進むという経済環境が前提となっている。

1ドル=110円まで円安が進展する場合、上場企業の企業業績は15%程度の増益になると試算されている(証券会社など)。15%の増益で日経平均株価が18,000円台になる場合、PER(株価収益率)は足元と同じ17倍程度になる。PERは市場の期待を表す指標と考えられ、高ければ高いほど強気の度合いが高まっているとされる。PERが横ばいということは、足元と同程度の市場センチメントが想定されているということになる。

株価と為替、それぞれが高安をつける時期についての市場関係者の見解だが、為替については1月が最も円高で、12月に最も円安になるとの見方が圧倒的に多い。すなわち、米国経済は徐々に改善していくという見方だ。一方、株価も高値は12月につけるとの見方が過半だが、安値は1月につけるとの見方と、5月前後につけるという見方に分かれている。為替の動きからすれば、株価も1月に安値をつけるとみるのがノーマルだが、そうではない見方がある背景には、5月頃は株の需給環境が悪いという見方が多いことと、4月の消費税率引き上げの影響見極めのため、4~6月期中は株価は売られやすいとの見方が多いことが挙げられる。

さて、筆者も同紙のアンケートに回答している。筆者の予想は円の最安値は1ドル=125円、日経平均株価の最高値は22,000円だ。為替相場は最も円安を、株価は最も高い水準の予想となった。日本株がここまで上昇するためには、まず為替相場が1ドル=125円程度まで円安となることが必要だ。筆者は、米国経済に対する見方が市場関係者の平均よりも強気なうえ、消費税率引き上げ後も日本経済が拡大基調を保つことで(4~6月期の実質GDP成長率はマイナスを余儀なくされるものの、それ以降はプラス成長に回帰すると予想)、早期のデフレ脱却期待が高まる結果、日本の実質金利(金利から期待インフレ率を引いたもの)が大幅低下することで日米の金利差は大幅に拡大すると予想していることが円安の背景だ。この程度まで円安が進む場合、企業業績は25%程度の増益が見込まれ、PERが19倍程度まで上昇すれば、株価は22,000円程度となる。PER上昇の理由は、日本のデフレ脱却期待の高まりであり、19倍程度であればバブルというほどの割高感も無い。

このような強気の見方が目立つ2014年相場だが、年明け後は不安定な動きが続いている。きっかけは米国の金融政策や、予想外の低迷となった米雇用統計だ。筆者を含めた市場関係者の予想通り上昇相場となるかどうかは別として、米国経済の動向がカギを握ることは間違いなさそうだ。

嶌峰 義清(しまみね よしきよ)プロフィール
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株式会社第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

1990年青山学院大学経済学部卒。同年岡三証券入社。岡三経済研究所、日本総合研究所を経て、1998年第一生命経済研究所入社。2011年より現職。日本経済、米国経済など各国経済担当を経て、現在は金融市場全般を担当。


掲載日:2014年1月27日

 
    

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