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渡航自由化から半世紀 2014年日本の観光はこうなる

2014年が幕開けた。1964年東京五輪の開催から半世紀となる今年は、日本人の海外渡航自由化50周年という節目の年でもある。それまでは一般大衆が、自由に海外へ旅することは許されなかった。

プラザ合意(1985年)を追い風に、バブル期の1986年、テンミリオン計画(海外旅行倍増5ヵ年計画)が実施され、空前の海外旅行ブームが巻き起こった。目標年を待たずして1990年、日本人の海外出国者数は1,000万人を突破。貿易不均衡の是正に一役買った。90年代後半以降は、日本経済の停滞と重ね合うかのように出国者数の伸びは鈍化したが、それでも年間1,849万人(2012年度)もの日本人が海外を旅する。

時代が変わり政府は、2030年、訪日外国人客3,000万人を目標に掲げた。2013年は、史上初めて1,000万人を記録。2020年東京五輪を起爆剤に、今後はインバウンドへの諸整備が進むことが予想される。

そうしたなか業界団体では、年に一度の観光見本市の在り方を見直した。これまで、海外旅行を主軸にした「JATA旅博」と国内旅行中心の「旅フェア日本」に内際分かれて開催してきた見本市を統合して、「ツーリズムEXPOジャパン」(2014年9月開催予定)として生まれ変わる。ベルリン(ドイツ)やロンドン(英国)などで例年開催される世界最大級の観光見本市に匹敵する規模で世界から集客をはかる狙いがある。
今年は、観光産業界のターニングポイントの年になりそうだ。

また2014年は、ソチ冬季五輪(2月)とブラジルW杯(6月)という二大スポーツイベントの開催が予定されている。スポーツへの関心の高まりから、観戦ツアーへの問い合わせも相次ぎ、スポーツツーリズム人材の育成に旅行会社も力を注ぎ始めた。さらに今後は、渡航自由化50周年を記念した商品やキャンペーンが次々、発表される予定だ。

消費税増税の影響が懸念されるが、もとより旅行商品は内税表示が一般的なため、為替変動や原油高(燃油サーチャージなどの高騰)に比較をすると、増税理由の悲観論は聞こえない。それよりも景気が回復して所得が増すことで、余暇活動にかける費用も増えることへの期待が大きい。

国内旅行のホットなニュースとしては、リゾート路線を主軸に拡充予定のLCCバニラエアが本格始動したほか、LCC国内線に春秋航空が新たに参入(5月)する。陸上ではJR東日本の観光列車「SL銀河」が東北エリアで運行を開始するほか、長崎で造船された大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港を拠点に日本発着クルーズをスタートさせる。かつての歴代飛鳥に代表される超豪華客船よりカジュアルなクラスの船で、洋上の旅がさらに身近なものになる。

京都ではザ・リッツカールトンをはじめ外資系ラグジュアリーホテルが次々、開業予定だ。その京都にも進出(2015年予定)することを発表したばかりのアマンリゾーツは、日本上陸第1号ホテルを今年、先ず大手町タワー内に開業させる。筆者が社会人一年生のころ半年間、研修を受けた旧富士銀行本店跡地なだけに感慨もひとしお。周辺は、さながら日本のマンハッタンのようで、洗練された大丸有(※)が東京の新たな観光名所になりつつある。

今春、釜石線を中心に運行予定の「SL銀河」は車内に宮沢賢治はじめ沿線や東北ゆかりの品々が展示される予定で、小型プラネタリウムも計画案に盛り込まれている(画像提供:JR東日本)

東日本大震災の被災地でも、ホテルの開業ラッシュを迎える。ルートイングループは老人福祉介護施設に転用可能なビジネスホテルを、被災3県に相次いで開業する。被災地における深刻な宿泊施設不足が解消され、復興に弾みがつくと期待される。

アウトバウンド一辺倒だった過去半世紀から、インバウンドもターゲットに双方向の時代へと歩みはじめた日本。2014年、日本の観光は温故知新の一歩を踏み出すことになるだろう。

※大丸有=大手町、丸の内、有楽町地区の総称で再開発が進む。

千葉 千枝子(ちば ちえこ)プロフィール
過去コラム一覧

観光ジャーナリスト 横浜商科大学講師

中央大学卒業後、富士銀行に入行。シティバンクを経て、JTBに入社。96年有限会社千葉千枝子事務所を設立。運輸・観光全般に関する執筆、講演活動を行いラジオ、テレビにも多数出演。神奈川県観光審議会・沖縄県感動体験戦略検討委員会・釜石食ブランド開発検討協議会などの委員。日本観光研究学会、日本観光ホスピタリティ教育学会、日本旅行業女性の会、日本旅行作家協会会員。ファイナンシャルプランナー、総合旅行業務取扱管理者を有する。著書に「JTB 旅をみがく現場力」(東洋経済新報社)、「観光ビジネスの新潮流」(学芸出版社)など多数。

ブログ(毎日更新)「旅のエクセレンス」
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掲載日:2014年1月7日

 
    

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