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Workplace NISA

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2014年からNISA(少額投資非課税制度)がスタートしました。1999年に英国でスタートしたISA(個人貯蓄口座)を参考に日本に新しい非課税制度を導入するこの試みは前回の自民党政権時代に話が始まったもので、長い議論を経てやっとここまでたどり着きました。

制度が始まったばかりではありますが、既に次の改正が図られる予定です(税制改正大綱に盛り込まれており、今後国会で審議される予定)。まず2015年から口座の開設金融機関を毎年変えられるようになる見込みです。この制度改正で、一度NISAの口座を開設したもののその金融機関で利用できる金融商品やサービスが自分に合わないときには、翌年に別な金融機関に口座を開設できるようになります。また同様に口座を一度閉鎖しても翌年には再度口座を開設できるようになります。例えば海外転勤で口座を閉鎖せざるを得なくなった方は、現状では4年間の勘定設定期間のうちは口座の再開設ができませんでしたが、この改正で口座閉鎖の翌年以降であれば帰国後口座開設ができるようになります。

NISAはISAに比べると、制度の恒久化、非課税期間の恒久化などで大きく遅れていますが、少しずつながら利用者の利便性向上に向けて進みつつあるように思います。

一方で、英国のISAも進化を止めていません。英国では2011年くらいからWorkplace ISAという言葉がよく使われるようになり、新しいISAの使い方が考えられ始めています。

Workplace ISAは制度の改正ではありませんが、企業の従業員が年金制度とISAを併用させることでより強固な資産形成ができるようにしようとする試みです。英国でも公的年金だけでは十分な老後の生活費を確保できません。確定拠出年金やそのほかの企業年金制度を利用することは多くの従業員にとって不可欠なことですが、いろいろな制約があり、それだけで十分な老後生活費の確保ができるわけではありません。さらに、住宅購入資金、子供の教育費、子供の結婚資金といった退職までに起きる幾多のイベントでも資金が必要ですが、そこに年金資金を使うわけにはいきません。

そこで年金とISAを組み合わせて資産形成に充てることで、全体としての非課税投資資産から老後資金はもちろんのこと途中に必要な住宅、教育、結婚といった人生の一大イベントにも支出できるように組み上げていくことを、企業としても奨励しようというわけです。これがWorkplace ISAなのです。

英国では、2011年に年金拠出額の所得控除枠が大幅に引き下げられたことで、Workplace ISAへの注目が集まり始めているのです。Workplace ISAは、それを企業の福利厚生の一環として、企業年金とISAを従業員が自ら一体として管理できるようにWebでの対応などを可能にし、従業員の利便性を向上させるものなのです。

振り返って日本ではWorkplace NISAの素地はあるのでしょうか。少なくとも、現在の確定拠出年金に加入しているサラリーマンなどは、中途引き出しができない不便さを感じています。NISAとうまく組み合わせて資産形成を考えることは英国同様必要なところです。また個人型確定拠出年金とNISAの併用活用は自営業者にとっても、大きな使い勝手の良さを提供することになるのではないでしょうか。

Workplace NISA、これはまだ議論の端緒に着いたばかりですが、新たに英国に追いつき、追い越したいテーマが出てきたのではないでしょうか。

野尻 哲史(のじり さとし)プロフィール
過去コラム一覧

フィデリティ投信 フィデリティ退職・投資教育研究所所長

一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て、2006年からフィデリティ投信株式会社 フィデリティ退職・投資教育研究所所長。大規模なアンケート調査をもとに投資家への提言をするなど、投資教育に従事。

退職金は何もしないと消えていく」(2008年) 、「老後難民 50代夫婦の生き残り策」(2010年)、「40代のサイフ」(宝島社、2012年)、「50歳から始めるお金の話」(2013年2月、小学館文庫)など著書も多数。

現在、日本アナリスト協会検定会員、日本FP学会、日本証券経済学会、行動経済学会などの会員。

 

掲載日:2014年1月6日

 
 
    

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