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逆算の資産準備

95歳から逆算して今どんな資産形成をすべきかを考える「逆算の資産準備」をいろいろなところで紹介しています。詳細はフィデリティ退職・投資教育研究所ホームページLibrary(調べる)にあるViewpoint 2014 でご覧いただけますが、概要をここで少し説明しておきましょう。


フィデリティ退職・投資教育研究所ホームページ
若年層のための資産形成と非課税制度の活用~Workplace NISA~(PDF)

95-75歳までを運用からも引退した「使うだけの時代」と考えます。その時代には定額引き出しを念頭に使うことをしっかりとコントロールします。75-60歳は「使いながら運用する時代」として運用と引き出しの両立を図る時代です。「使いながら運用する時代」には引き出しは資産残高の一定率で行う「定率引き出し」を行い、例えば4%で引き出して残りを3%で運用するといった具合です。そのための60歳時点の資産を30歳から年代ごとに少しずつ投資額を増やす「ステップアップ投資」で実行していこうという提案です。

グラフでは、「使うだけの時代」では月10万円ずつの引き出しを念頭に20年間で2,400万円、それを75歳で用意するためには60歳で2,800万円用意する必要があることが計算できます。
60歳以降95歳までの引き出し総額は約4,000万円となり、60歳時点での資産残高よりも引き出し総額が大きくなることが理解できます。60歳で2,400万円を用意するには、30歳で老後の資産0円として、積立額は30代で4万円、40代で5万円、50代で6万円となります。

さて、このグラフをご覧いただいて、「果たして現役時代の積立額が4万円、5万円、6万円というのは現実的か」ということに疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際先日もそういったご指摘をいただきました。「これはあまりにも無茶な金額だ」と。

<逆算の資産準備>

では、何を変えると「無茶でなくなる」のでしょうか。

計画期間を95歳より短くする。当然必要金額は少なくなりますが、これは自分では何とも決められません。とすれば、できるだけ保守的に、すなわち長めに考えるべきでしょう。短くなったら、その分、相続すると考えればいいでしょう。

では資産運用の収益率を3%よりもっと高めることはできるでしょうか。投資の収益を高めればその分少ない積立額で目標を達成できますが、一方でリスクが高まることは避けられません。ほとんど収益をもたらさない現金預金の資産もポートフォリオに組み入れると考えると平均で3%を大きく上回る水準での運用は避けたいところです。無理は避けましょう。

引き出す資金を減らすことも可能でしょう。例えば75歳以降に年金以外に月5万円の引き出しで十分とすれば、75歳時点での必要額は1,200万円となります。これを残すために、4%引き出しで3%運用だとすると、60歳時点では1,400万円程度で済みます。これなら「ステップアップ投資」の目標1,400万円も3%運用を前提に30代2万円、40代2.5万円、50代3万円で可能になります。ただ、問題は本当にその引出額で大丈夫かということです。ちなみに、60歳から95歳までの引出総額は2,000万円強です。

私個人としては、上記4つの解決策はいずれも無理があると思います。限られた方法としては60歳以降も働くことではないでしょうか。例えば65歳までの5年間を働くことでこの5年間は資産から資金を引き出さないで済めば、単純計算で30代3万円、40代4万円、50代5万円と各月1万円ずつ引き下げることができます。

さらに退職金をつぎ込むことができればもう少し楽になります。例えば500万円の退職金をすべて老後生活資金にできるとすれば30代と40代では月額2万円、50代で3万円と推計されます。

働くことも含めて、老後の生活の大枠を考えてみることから始める必要がありそうです。

野尻 哲史(のじり さとし)プロフィール
過去コラム一覧


フィデリティ投信 フィデリティ退職・投資教育研究所所長

一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て、2006年からフィデリティ投信株式会社 フィデリティ退職・投資教育研究所所長。大規模なアンケート調査をもとに投資家への提言をするなど、投資教育に従事。

退職金は何もしないと消えていく」(2008年) 、「老後難民 50代夫婦の生き残り策」(2010年)、「40代のサイフ」(宝島社、2012年)、「50歳から始めるお金の話」(2013年2月、小学館文庫)など著書も多数。

現在、日本アナリスト協会検定会員、日本FP学会、日本証券経済学会、行動経済学会などの会員。

 

掲載日:2014年2月6日

 
    

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